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Q-File  作者: HIroyuki4727
9/11

第9話:「書く者」

Q-Fileに新しいページが現れた。


《交差ファイル検知:Bファイル書き手、観測に干渉》

《観測者候補:平川ひらかわ 真志まさし


「……誰だ、それ」


「聞いたことないな。クラス違いか? 教師でもないし……」


Q-Fileの“Bファイル”――つまり、敵側の書き手が動いた。

ページは続けて書き加えられていく。


《対象B・藤原 司:校舎北側、午後3時12分 接触予定》

《干渉内容:破片による損傷(重度)》

《イベント進行:不可逆》


「っ……!」


司が狙われてる。

しかも、“不可逆”ってことは――死に戻っても変えられない。


「急ぐぞ!」



午後3時11分。


陸と駿とともに、司を探して校舎北側へ走る。

いた。

非常階段の脇でスマホを見ている司の背中。


「司、逃げろッ!!!」


その瞬間。


ゴウン――! カッシャーン!!


上階の足場が崩れ、鉄製の棒とパイプが降ってくる。


陸が飛び込む。

司をかばうように地面に伏せる。


「ぐっ……!」


背中に何かが当たった。

でも、かすっただけ。

命には別状ない。


「助かった……」


だが、その後ろで。


「あっ……!」


誰かの影が倒れた。


近づくと、制服姿の見知らぬ男子が、鉄パイプの下敷きになっていた。

血を流しながら、薄く笑っていた。


「……読んでた、のに……外れた……か」


「お前、誰だ」


「……俺の名前なんて、どうでもいい。

大事なのは、“まだ俺だけじゃない”ってことだ」


「どういう意味だ?」


「Q-Fileは……一冊じゃ、ない……」

「書いてるのは……俺だけじゃ……ないんだよ……」


そのまま、彼は息絶えた。


ポケットから、血で濡れた黒いノートが滑り落ちた。


表紙には、赤い文字でこう刻まれていた。


“Q-File C”



「……AとBだけじゃなかったのかよ」


「つまり、敵はひとりじゃない。“複数の書き手”が、こっちを見てるってことか……」


陸たちはノートを慎重に開く。

最初のページに、こう書かれていた。


《第三観測ファイル “C”:目標、交差点の破壊》

《次の観測対象:月島 陸》


「次は……俺か」

第10話「観測交差点」

死んだはずの“書き手”が残したCファイルは、さらに深い計画を記していた。

“観測交差点”とは何か?

三人はそれを止められるのか?

そして、第四のファイル――“D”の気配が、静かに動き出していた。

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