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歌姫

僕は別にキミを好きじゃない。


アイドルをしているキミ、なら僕はオタク?


そうはなりたくないな。だったら僕はただの傍観者でありたいと思う。


何にもない、興味も関心も。ほんとうに何もないあの時、僕は初めてライブに行った。高校生の冬のことである。


キミが出てきた時、1番最初にその姿に出会った時に、これがアイドルかと思った。後々調べたら、地下アイドルというものだった。


規模感は小さく、ライブハウスのような場所だった。でも、僕はやっぱりそんなことは気にしていなかったと思う。いや、気にしていたな。気にしていたと思う。


でもそれは決してマイナスではなく、これから伸び代があるんじゃないかという楽観視。もしかしたらこれが、このステージでの千秋楽かとまで考えていたのだ。


でも、僕は別にキミを好きじゃない。顔は可愛い。小さい丸顔で、といっても、〇〇ラインは整っているような気がして、あんま詳しくないけど、とにかく天使のように可愛かった。


でも、僕は別にキミを好きじゃない。衣装は可愛い。ふわふわとして、わたあめみたい。でもそれなのにどこか、温かみすら感じるようなファンサービス。こっちにピースしてくれた時に、揺れたリボンを今でも覚えている。


でも、でも僕は。



なんなんだ、僕は。




「アイドルを卒業します。」



千秋楽。僕の夢見た千秋楽は、このステージではなく、キミだったらしい。ようやく今、僕は現実を受け入れる。透き通るようなキミの目が、今度は心に痛い。



「私、細川ユウキは、新しい道に進むことになりました。今までのたくさんの応援、ほんとっうに!ありがとうございました!!!」



キミの新しい道はどんな道だろう。イバラか、バラ?天国みたいか地獄みたいか、、僕には分からない。


でも、キミがどこまで行っても、やっぱり。



「大好きだよ!!!!」



キミが一生懸命に手を振って、最後の曲を歌う。暑い空間なのに、どうしてこれだけ冷たいのか。僕の頬は、雨粒を浴びたように濡れていた。


キミの泣き声。僕の泣き声。誰かの泣き声。みんなが、みんなが、空間を作り出すのがアイドルか。僕らも気付かないうちに、虜になっていくうちに、大好きなアイドルをもっともっと作り出していたのかもしれない。



「バイバイ、みんな。」



涙を飲み込んだキミに、僕らは言った。



「大好きだよ!!!!」



僕はキミが大好きなんだ、歌姫。

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