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33 また昔の知人を見つける僕

タンザ(タンザライト):主人公。霊能者という精神領域の魔術に長けた珍しい魔術師。

ルルス:フェルパー(猫獣人)の女盗賊。

エリカ:攻撃呪文を得意とする魔術師の少女。

デメトリオ:ムーク族の中年錬金術師。

リアム:君主ロードの少年騎士。

 部屋に入った途端に見つかるタンザ達。

 いくかの部屋や短い通路はあるエリアだし、本部は最奥だろうとパーティの皆は考えていた。しかし一つ目の部屋こそが神殿であり、教団員は皆でそこにいたのだ。

 邪教神殿最初の扉を開けると、即邪教団勢揃いの中に入ってしまったのである。


 最奥には明らかに後付けの祭壇があり、ぐにゃぐしゃした神像が飾られている。

 その側にはぐにゃぐにゃした仮面をつけたローブ姿の僧侶がいた。おそらくこの寺院の高僧だろう。

 部屋のあちこちにはぐにゃぐにゃした模様の僧衣を纏った者達。邪教団の僧侶だが、その数は10人以上。

 しかも部屋のあちこちには骸骨戦士やゆらめく幽鬼など、不死怪物(アンデッドモンスター)がいるではないか。


「えーっなんかズルくない!?」


 抗議の声をあげるフェルパーの女盗賊・ルルス。

 その後ろでタンザは思わず額を抑えていた。


(ぬかった……透視呪文で中を見ておくんだった)


 しかし魔法力……いわゆるMPには限りがある。

 なまじMAPがあったせいである程度先を予想してしまったので、なんとなく使わずに入ってしまったのだ。


 そんなタンザを見て、祭壇にいる僧侶が大声をあげた。


「お前はタンザ!」

「えっ誰!?」


 邪教の僧侶に知人などいない。だからタンザは当然驚く。

 だがその僧侶はぐにゃぐにゃした仮面を脱ぎ捨てた。そこの下の顔は……

 駆け出しの頃に組んでいたパーティのメンバー。僧侶のインケンだった。


「な、なんで?」


 意外な再開に驚き続けるタンザ。

 インケンは怒りも露わに叫んだ。


「貴様のせいでしょう! エリカを連れ帰った時に何かしょうもないデマを<力の一打(パワーストライク)>に広めやがったでしょうが! あれから誰も私達と組もうとしなかった。三人じゃロクに探索も進められなくなったんです! 行き詰まりをなんとかしようとして、三人の有り金搔き集めてあの第二ダンジョンに行って……魔物にやられて全滅する所だったんですよ!」


 そこまでは前に再開した戦士のヤカラと同じだ。

 だがそこでインケンは「フッ」と皮肉めいた冷笑を浮かべ、落ち着きを取り戻す。


「しかし私は能力を見込まれて機会を与えられました。闇の神の一柱デプラビテに改宗するなら殺さず迎え入れよう……とね。もちろん私はその場で土下座し、一瞬で改宗しました。そして私はより偉大な神を知り目覚めたのです。それから力を増し、今やこの迷宮のデプラビテ寺院を束ねる高司祭!」


「いくら命が惜しいからって、堕落の邪神に宗旨替えするなんて……」


 呆然と呟くタンザに、インケンは見下しの視線を向ける。


「フッ……この神の教義がいかに素晴らしいか、愚人にはわかりますまい。好きなだけ食って飲んで寝て良い、法律より自分優先で良い、嫌な事は全て弱い者に押し付けて良い。これこそが幸福追求の真理!」


 途中からその目にはどこか陶酔(とうすい)したような光が宿る。堕落神の方が彼には性に合っていたらしい。

 落ち着きを取り戻したインケンはタンザのパーティメンバーを見渡した。


「ほう、エリカじゃありませんか。君も他の女性達二人も、我が教団に入信するなら歓迎しましよ。タンザと毛の塊、男2匹は死刑一択ですがね」


 女性達にねっとりとした視線を向けていけしゃあしゃあというインケン。

 ちょっと困りながら少年ロードのリアムが恐る恐る告げる。


「あの……僕も男です」


 一瞬でインケンは激怒した。


「なにぃ!? おのれ騙したな! 死ねえ!」


 するとそれまで待っていた僧侶達が「ヒャッハー!」と叫び、鈍器を振り回して襲い掛かってきた。

 不死(アンデッド)どもも無言で襲い掛かってくる。

 タンザ達パーティは合計30体以上の敵に殺到された!


「やれえ! 殺せえ! 男は堕落神の生贄だ! 女はおせっせの後で生贄だ! 堕落神は低劣と下劣を否定しないのだ! おお神よ!」


 インケンは祭壇から降りずに一番距離をとったまま熱狂的に叫んだ。

御覧いただきありがとうございます。

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