31 仲間の躍進を喜ぶ僕
タンザ(タンザライト):主人公。霊能者という精神領域の魔術に長けた珍しい魔術師。
ルルス:フェルパー(猫獣人)の女盗賊。
エリカ:攻撃呪文を得意とする魔術師の少女。
デメトリオ:ムーク族の中年錬金術師。
リアム:君主の少年騎士。
――地下9階――
ウイングデーモン。魔界から召喚された下級悪魔の一種。
空飛ぶ魔神の群れとタンザ達は遭遇した。
機敏に戦うルルスの横で、敵の爪をぎこちなくも確実に止めるリアム。
エリカが火球の呪文を唱える横で、タンザは沈黙の呪文【サイレンス】で敵の呪文を封じながらデメトリオには「【ホイッピング・ロック】を!」と指示する。
デメトリオは岩石弾の攻撃呪文でエリカが弱らせた悪魔どもにトドメを刺した。
勝利後、戦利品を集めるルルスの側でリアムが自分の傷を呪文で治す。
「皆さんの負傷は大丈夫ですか? 僕はまだ魔法力が残っていますが」
デメトリオは魔力回復のポーションを飲みながら感慨深く呟いた。
「うーむ、やればやれるもんだなぁ」
その後の戦闘で9階に不安無しと全員が感じ、タンザ達は下の階層に降りた。
――地下10階――
ナイトストーカー。半幽体の不死怪物。
触れた者の生命力を吸い取る力を持つ亡者の群れと、タンザ達は遭遇した。
機敏に戦うルルスの横で、敵の接触を盾で上手く止めるリアム。
エリカが火球の呪文を唱える横で、タンザは念炎呪文【サイオニック・ファイアー】で攻撃しながらデメトリオには「炎の攻撃呪文を!」と指示する。
デメトリオもまた爆炎の呪文を放ち、炎の三連撃が敵を焼き尽くした。
勝利後、戦利品を集めるルルスの側でリアムが自分の疲労を呪文で癒す。
「盾の使い方が理解できてきた気がします。今までの僕は寝てたみたいですね」
デメトリオは魔力回復のポーションを飲みながら感慨深く呟いた。
「うーむ、私の呪文にも結構な威力があったんだなぁ」
その後の戦闘で10階に不安無しと全員が感じ、タンザ達は下の階層に降りた。
――地下11階――
ガスドラゴン。緑の鱗に包まれた下級のドラゴン。
毒の息を吐く竜の群れと、タンザ達は遭遇した。
機敏に戦うルルスの横で、敵の牙を次々と剣で切り払うリアム。
エリカが火球の呪文を唱える横で、タンザは鈍化呪文【スロー】で敵の動きを鈍らせながらデメトリオには「防御の魔法を!」と指示する。
デメトリオは空気膜を呪文で張り、敵の吐く毒の息の威力を大きく削いだ。
勝利後、リアムが皆の負傷を呪文で癒す。
「剣で切り払う時のコツがやっとわかりました! 今までの僕は何をやっていたんだろう」
デメトリオは新鮮な空気を深呼吸しつつ呟いた。
「うーむ、なぜ私はこの呪文を今まで使わなかったのか」
こうして特訓組は、全12階層の第一ダンジョンを11階層まで途中から一気に突破した。
「え……嘘でしょこれ」
「一皮むけたというか、一気にズル剥けだなぁ」
目を丸くするエリカの横で呆れと感心が半々のルルス。
リアムとデメトリオはまるで別人かのごとく戦えるようになっていた。
だがクラン総出での修業で元々下地はできていたのだ。それを発揮させる術を、二人はわかっていなかっただけとも言える。
一般的なやり方が合わない者もいるし、そういう者は己に適した方法を手探りで見つけるしかないのだ。
二人はやっと自分なりの動き方を理解した。
「アドバイスのおかげです! ありがとう、タンザさん」
「いやはや君のおかげだ。ありがとうタンザ君」
目を輝かせて礼を言うリアム。
上機嫌で礼を言うデメトリオ。
(本当にそうか……?)
正直、タンザに違和感はあったが、まぁとりあえず頷いてはおいた。
「タンザさん! いよいよ第一ダンジョンの最下層ですね!」
「おほぅ、ワクワクしてきましたぞ」
期待に満ちた声を嬉しそうにあげる二人。
しかしエリカが大慌てで叫んだ。
「いやいやいや! 流石に一回帰って休むべきでしょ!」
一度の探索で4階層も動きまわるのは明らかに異常だ。
波に乗っている二人はロクに疲労を感じていないだろうが、感じていないからといって疲労していないわけがない。
タンザも自分がかなりの疲れを感じている事を自覚している。
「それに荷物ももういっぱいだよぉー」
ルルスもまた疲れ切った声をあげた。彼女の背負う荷物袋はパンパンで、入りきらない物が小袋に入れられてぶら下げられている。
かなりの数の魔物を倒し、戦利品が山となっているのだ。
タンザは帰還する事を決定した。
「まぁ調子に乗るのは良くないからね」
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