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17 前人未踏のエリアに踏み込む僕

タンザ(タンザライト):主人公。霊能者という精神領域の魔術に長けた珍しい魔術師。

ルルス:フェルパー(猫獣人)の女盗賊。

レイラ:人間の女性。職業はヴァルキリー。

カルロ:ラウルフ(犬獣人)のロード。大手クラン<モーニングスター>のクラン長。

ザック:ドラコン(竜獣人)の盗賊。クラン幹部の一人。

インテ:エルフの魔術師。クラン幹部の一人。

 クラン<明けの明星(モーニングスター)>が総出で見つけた、新たなエレベーター。それは未知の地下13階まで続く移動手段だった。

 それから低ランクメンバーの修行に費やす事一月。それを経て、いよいよ本格的に探索を再開する日が来た。


 30名近い人数で、クランの面々は地下へ降りる。

 クラン長の意見で、行く事のできる13階層全て、上から順番に調べていく事になっていた。


 10階までの探索はあっさり終わった。

 どれも未発見の通路の端に出て、隠し扉の裏に続いているだけだったのである。

 どのフロアに行くにもショートカットルートにはなる……それが収穫とは言えるが。

 そして11階。


(さあ、いよいよ未知のエリアだ)


 タンザは気を引き締めた。クランの先輩が先導して修行に使ってくれたのは地下10階まで。そこより下にタンザは一度も行った事がないのだ。

 エレバーターが着いて扉が開く。


(これが……!)


 タンザは新たな光景に軽い感動さえ覚えた。

 今まではどのフロアも灰色のブロックが積まれた石壁と床、天井ばかりだったが……この階層は違う。

 壁に使われているのは白に近い石に薄っすらとマーブル模様が浮いた高級感のある石だ。等間隔で石柱が天井を支えているし、壁の所々には壁画がある。同じ様式で描かれた人や獣がコピーのように並ぶ特徴的な絵が。


(壁画は古代エジプト風? でも通路はギリシャの神殿みたいな……)


 地球人の記憶も持つタンザにはそう思えた。

 しかしクラン長・カルロは戸惑った声をあげる。


「本当に11階か? 俺の知っているフロアと偉く違うぞ」


 クランの高ランク冒険者には11~12階へ行った事のある者もいたが、彼らが知るエリアも、タンザが見てきたような、上層と同じ様式で造られていたのだ。


 クランの皆は見慣れぬ光景に警戒しながらも、決めていた通り、複数のパーティを組んで奥へ進む。

 エレベーターから出れば通路の途中だったので、まずは北へ。扉があったので、現クランで最強のパーティがそれを開けた。


 中には蠢く魔物の影が多数!

 現れた異形の獅子を前に、カルロは盾を構える。


「キマイラか。魔物は今までと変わらな……ん? 妙に数が多い。それに姿が少し違う……」


 しかし魔物はカルロの戸惑いなど構わず襲いかかってくる。激しい戦いが始まった。


 流石にランク12の冒険者は強く、クラン長のパーティは危なげなく魔物の群れを一掃した。

 エルフ魔術師・インテが改めて魔物を調べる。


「これはミルメコレオだな。遠い異国にはいるそうだが、本で見た事しかない」


 獅子の前半身、虫の後ろ半身をもつ砂漠の魔獣だった。


(ミルメコレオ自体は地球のゲームで聞いた事があるけど、この地方にはいないのか)


 魔物にも地方分布がある事に、妙に感心してしまうタンザ。考えてみれば魔物も生物、当然ではある。


「世界中と戦っていた魔王軍の造ったダンジョンだ。不思議はないか」


 ヴァルキリー・レイラのその言葉に、タンザはハッと気づく。


「そうなると……これからは未知の魔物との戦いが増えるかもしれませんね」


 その可能性に他のメンバーも気づく。

 それがかなり厄介な事も。



 扉の向こうは大きな部屋で、複数の扉があった。

明けの明星(モーニングスター)>はこの部屋を拠点とし、確保するパーティを残して別れて探索へ向かう。



 ――数時間後――



 帰還・報告の時間が近づき、各パーティが戻り始めた。


「すいません……第1班、いつもの半分しか踏破できませんでした」


「第2班は4割程度です。消耗が大きく、早めに引き返してきました」


「第3班も同じような物です」


 皆が皆、疲れて戸惑った顔をしている。どの報告を聞いても、魔物の半分ぐらいは初めて遭遇する敵だったのだ。


「いや、これは修行や特訓じゃない。未知のエリアの探索なんだ。みんな思い出せ。元々こんなペースで、手探りで進めて来ただろう」


 カルロは皆にそう言い渡す。

 ドラコン盗賊・ザックも頷き、努めて力強い声を出した。


「うむ。複数パーティで結果を持ち寄るのだ。数倍速でMAPが埋まるとも言える。いや、そう考えろ」


 そしてタンザが緊張した面持ちでカルロへ進言する。


「第4班が遅れています。迎えに行きます」


 定められた時間通りに戻らないパーティへの救援部隊。タンザはそのメンバーなのだ。



 ――第4班が向かった扉の先――



「こっちだぞ……ここを通ったな?」


 フェルパーの女盗賊・ルルスが足跡を探して4班を追う。

 いくつ目かの扉を開けると――


「おわ、出た!」


 部屋の中には魔物ども。

 その姿を見てレイラが叫ぶ。


「何だ、こいつらは?」


 タンザもその魔物を見て驚愕した。

御覧いただきありがとうございます。

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