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真紅のウェディングベール

第1章 不可解な招待状


東京・青山。洗練された街並みに溶け込む高級ブライダルサロン「フェアリーテイル・ウェディング」。その一角、ガラス張りのオフィスで、チーフプランナーの藤崎玲奈ふじさきれいなが山積みの資料と格闘していると、同僚の三枝麗子さえぐされいこが、珍しく興奮と戸惑いの入り混じった表情で駆け寄ってきた。


「玲奈さん! 大変です! なんだか、とんでもない依頼が舞い込んできたみたいで…」

麗子は、どこか曰くありげな雰囲気を漂わせる一枚のカードを玲奈に差し出した。それは、上質だが重々しい漆黒の厚紙に、銀色の箔押しで住所と日時だけが冷たく刻まれた、異様にシンプルで、だからこそ不気味な招待状だった。


玲奈は眉を寄せ、その異質なカードを受け取った。「…これは? 新規のクライアント?」

「差出人の名前は…『緋石家当主』、とだけ」麗子の声がわずかに震えた。


緋石ひいし家――その名を聞いた瞬間、玲奈の背筋を冷たいものが走った。政財界に深く根を下ろし、代々この国の権力の中枢を担ってきたとされる、ヴェールに包まれた名門中の名門。そんな雲の上の存在からの依頼。しかし、この招待状からは、華やかな祝祭の雰囲気は微塵も感じられない。


「まさか…緋石家のご令嬢のウェディング?」玲奈が尋ねると、麗子は不安げに首を横に振った。「それが…分からないんです。招待客リストも、式のスタイルも、新郎新婦の名前すら記載がない。ただ、玲奈さん、あなた個人を名指しで、指定の日時に必ず参列するように、と…それだけなんです」


玲奈は再び招待状に目を落とした。確かに、宛名には自分の名前が、流麗だが冷たい筆跡で記されている。それ以外の手がかりは、日時と、都内の一等地を示す住所のみ。

「…おかしいわ」玲奈は呟いた。「ウェディングプランナーへの依頼なら、もっと具体的な情報があるはず。まるで…尋問への呼び出し状みたい」

玲奈の脳裏に、5年前、自らが関わり解決に導いた「パラダイス・ウェディング殺人事件」の記憶が不意によぎった。あの時も、華やかな結婚式の裏には、どす黒い秘密が渦巻いていた。


「でしょう? だから、どう対応したものかと…」麗子は困惑しきった様子で肩をすくめた。


玲奈は深く息をついた。29歳。この業界では若手ながら、その手腕と洞察力で数々の難題を解決し、「真実を見抜くプランナー」と密かに呼ばれることもある。しかし、これほど不可解で不気味な依頼は初めてだった。

「…分かったわ。これは私が引き受ける」

玲奈は決意を固め、スマートフォンを手に取った。招待状に記載されていた連絡先と思しき番号にかけてみるが、呼び出し音が虚しく響くだけで、誰も出る気配はない。まるで、意図的に外界との接触を拒絶しているかのようだ。


「…逃げるわけにはいかないわね」玲奈は眉間に刻まれた皺を指でなぞった。「これほどの家からの指名だもの。無視すれば、このサロンにも影響が出かねない」

胸騒ぎは強まるばかりだった。だが、プロフェッショナルとしての矜持が、玲奈に後退を許さなかった。彼女はまだ知らない。この一枚の招待状が、華麗なる一族の血塗られた秘密と、忌まわしい悲劇への入り口であることを。玲奈は、自らの意思で、その扉を開けようとしていた。


第2章 血染めのウェディングケーキ


指定された当日、玲奈は緊張を押し殺し、タクシーで都内有数の高級住宅街へと向かった。降り立った場所は、高い塀と生い茂る緑に囲まれた一角。そこだけが、周囲の喧騒から切り離されたように、異様な静寂に包まれていた。


重厚な鉄製の門の前で玲奈が足を止めると、インターホンに触れるより先に、門がまるで生きているかのように音もなく内側へ開いた。監視カメラが彼女の到着を捉え、認識したかのようだ。


一歩足を踏み入れると、そこは広大な日本庭園だった。完璧に手入れされた芝生、四季折々の花が咲き誇る花壇、そして、何百年もの時を刻んできたであろう巨大な古木たち。その美しさは、しかしどこか人間味を欠き、訪れる者を威圧するような冷たさを放っていた。庭園の奥には、西洋の古城を思わせる、荘厳だが陰鬱な雰囲気の洋館が聳え立っていた。


玄関へと続く石畳を歩む玲奈の足音が、やけに大きく響く。玄関扉の前には、背筋を伸ばした老執事が、まるで影のように静かに佇んでいた。その表情は能面のように無表情で、値踏みするような鋭い視線が玲奈に向けられる。


「フェアリーテイル・ウェディングの、藤崎玲奈様でいらっしゃいますね。当主がお待ちかねでございます」

抑揚のない声と、丁寧だが心のこもらない口調。玲奈は軽く頷き、促されるままに館の中へと入った。ひんやりとした空気が肌を刺す。磨き上げられた大理石の床、壁に掛けられた高価そうな絵画や年代物の調度品。その全てが、緋石家の圧倒的な富と、同時に息詰まるような閉塞感を物語っていた。


長い廊下を進み、案内されたのは広大なホールだった。そこは、明らかに結婚披露宴の会場として準備が進められていた痕跡があった。壁には白いドレープが飾られ、テーブルには純白のクロスが掛けられている。だが、その準備は途中で放棄されたかのように、どこか中途半端で、不自然な静寂に支配されていた。


そして、そのホールの中央で、玲奈は予期せぬ人物の姿を認め、思わず声を上げた。

「高木刑事…!?」


数々の事件で顔を合わせてきた、神戸県警捜査一課の刑事、高木誠が、険しい表情で立っていたのだ。(※前作からの繋がりを意識)

「藤崎さん…! なぜ君がここに?」高木刑事も驚きを隠せない様子だった。

「招待状を受け取って…まさか、こんなことになっているとは…」玲奈の声が震える。「刑事さん、一体何があったんですか?」


高木刑事は、周囲を憚るように声を潜め、重々しく口を開いた。

「…昨夜、この館で殺人事件が発生した。被害者は二人。緋石家の次男、緋石翔ひいしかける。そして、彼の婚約者で、人気モデルの七瀬美咲ななせみさき。二人は…今日、ここで結婚式を挙げる予定だったそうだ」


玲奈は息を呑んだ。だから、この中途半端な準備の跡は…。彼女の視線が、部屋の中央に置かれた巨大なウェディングケーキに吸い寄せられた。三段重ねの純白のケーキ。その頂上には、新郎新婦の人形が飾られるはずだったのだろう。だが、そこには代わりに、深紅に染まったレースのベールが、まるで嘲笑うかのように無造作に掛けられていた。純粋な白と、おぞましい赤のコントラストが、玲奈の目に焼き付いて離れない。


「誰が…こんな、酷いことを…」

言葉を失った玲奈の視線が、ふと、近くの壁に向けられた。そこには、まるで血で書かれたかのような、禍々しい赤インクで、歪んだ文字が殴り書きされていた。


『真実の愛は、血の誓いと共に』


背筋が凍るような悪寒が、玲奈を襲った。華やかな祝福の舞台は、一夜にして惨劇の現場へと変貌した。そして自分は、なぜかこの事件の渦中へと招き入れられたのだ。招待状の謎、そしてこの不気味なメッセージ。全てが繋がっている気がした。


玲奈は決意を固め、高木刑事に向き直った。「高木刑事、私、この事件の依頼を受けたプランナーとして、いえ、一人の人間として、真実が知りたい。何かできることがあれば、協力させてください」


高木刑事は、玲奈の真剣な瞳を見つめ、力強く頷いた。「ありがとう、藤崎さん。君のブライダル業界での知識と、あの『パラダイス・ウェディング事件』で見せた洞察力が、この複雑怪奇な事件を解く鍵になるかもしれない」


二人は、言葉を交わさずとも互いの決意を理解した。緋石家という、底なしの闇に潜む真実を暴き出すために。血塗られたウェディングケーキが見つめる中、玲奈の新たな戦いが始まろうとしていた。


第3章 容疑者たちの仮面


緋石家の広間は、死の気配と、そこに集められた人々の間の張り詰めた空気で、息苦しいほどだった。玲奈と高木刑事は、壁際に立ち、緋石家の主要な人物たちから順に事情聴取が行われる様子を見守っていた。


最初に呼び出されたのは、緋石家の現当主であり、長男の緋石龍之介ひいしりゅうのすけ。非の打ち所のない高級スーツに身を包み、端正な顔立ちをしているが、その瞳は氷のように冷たく、感情の起伏を一切見せない。まるで精巧に作られた人形のようだ。


「弟、翔の死は、確かに残念なことです」龍之介は、抑揚のない声で淡々と語り始めた。「しかし、私は緋石家を率いる者。個人的な感傷に浸っている時間は、私には許されません」

その言葉には、弟を失った悲しみのかけらも感じられなかった。玲奈は、彼の完璧すぎる冷静さに、むしろ人間離れした異様さを感じた。


「龍之介さん、昨夜の事件発生時刻とされる時間帯、あなたは何を?」高木刑事が鋭く問うた。

「私ですか?」龍之介はわずかに眉を動かしたが、すぐに無表情に戻った。「書斎で海外との重要なオンライン会議を行っていました。深夜まで及んだはずです」

「それを証明できる方は?」

「いいえ。機密性の高い会議でしたので、私一人でした」

完璧なアリバイとは言い難い。そして、家督を巡る弟との確執があったという噂も玲奈の耳に入っていた。彼が最有力容疑者であることは間違いないだろう。


次に姿を現したのは、緋石家の長女、静香しずか。白いレースのワンピースに身を包み、儚げで病弱そうな印象を与える女性だが、その大きな瞳の奥には、強い意志と、何かに対する深い憎しみが宿っているように見えた。


「…私は…正直、あの結婚には反対でした」静香は、か細いが芯のある声で語った。「あの女…七瀬美咲は、私たち緋石家に泥を塗る存在でしたから」

「具体的に、どのような点が?」玲奈は、静香の感情の揺れを見逃さないように、慎重に尋ねた。

静香は一瞬唇を噛んだが、やがて侮蔑を隠さずに言った。「彼女の過去をご存知ないのですか? 男遍歴、金銭トラブル、黒い交友関係…どれも、清廉であるべき緋石家の名を汚すに十分なものでしたわ」

その言葉には、被害者への敵意が剥き出しになっていた。玲奈は、モデル業界の華やかさの裏にある闇を垣間見た気がした。

「静香さん、昨夜はどちらに?」高木刑事が尋ねる。

「自室ですわ。私は昔から体が弱くて…昨夜も気分が優れず、早々に休んでおりました。侍女が証言できるはずです」

侍女の証言は得られたが、事件の核心となる時間帯のアリバイは曖昧だった。


最後に現れたのは、先代当主の妹であり、翔たちの叔母にあたる緋石雅子まさこ。年齢を感じさせない妖艶な美貌と、華やかな装いが目を引く。彼女は、大げさなほど悲嘆にくれた様子で、ハンカチで目元を押さえた。


「まあ、なんて痛ましいこと…! 翔ちゃんも、美咲さんも、あんなに若くて美しかったのに…。未来ある二人を奪った犯人が、憎くてたまりませんわ!」

芝居がかったその態度に、玲奈は逆に冷めたものを感じた。

「雅子さん、昨夜のご予定は?」高木刑事が尋ねると、雅子は待ってましたとばかりに顔を上げた。

「昨夜は、チャリティーガラに出席しておりましたの。会場には多くの著名人の方々がいらっしゃいましたし、私の姿を見た方は大勢いらっしゃるはずですわ。完璧なアリバイですこと?」

確かに、雅子のアリバイは固いように思えた。しかし、玲奈の直感は、この女の仮面の下には、何か別の顔が隠されていると告げていた。悲劇をまるで楽しんでいるかのような、その瞳の奥の微かな輝きを見逃さなかった。


三者三様の証言。誰もが怪しく、誰もが何かを隠しているように見える。容疑者たちが退室した後、広間には再び重い沈黙が落ちた。


「どう思われますか、藤崎さん?」高木刑事が、玲奈の意見を求めるように視線を向けた。

玲奈は深く息をつき、思考を巡らせた。「皆さん、動機も可能性もありそうです。でも、決定的な証拠がない…。それに、あの壁のメッセージ…『真実の愛は、血の誓いと共に』。あれが何を意味するのか…」


「ええ。そして、被害者たちの関係性、特に七瀬美咲さんの過去についても、さらに深く掘り下げる必要がありそうです」高木刑事は頷いた。


玲奈は、緋石家という閉鎖された空間に渦巻く、嫉妬、憎悪、野心、そして隠蔽された秘密の匂いを強く感じていた。表面的な華やかさとは裏腹に、この一族は深い闇を抱えている。そして、その闇の中心に、自分がなぜ引き寄せられたのか。招待状の謎は、まだ解けていない。玲奈は、自らの洞察力と、プランナーとして培ってきた人間観察能力を武器に、この複雑に絡み合った糸を解きほぐしていく決意を新たにした。


第4章 過去からの囁き


翌日、玲奈は高木刑事と共に、緋石家の闇とは別の角度から事件に光を当てるため、殺害された七瀬美咲の過去を辿ることにした。華やかなモデル業界の裏側には、事件の手がかりが隠されている可能性が高い。


まず訪れたのは、美咲が所属していた大手芸能プロダクション。応対したマネージャーの山田晃は、疲れた顔で深いため息をついた。

「七瀬か…。惜しい才能だったよ。スターになる素質は十分にあったんだが…いかんせん、危なっかしいところがあってね」

「危なっかしい、と言いますと?」高木刑事が鋭く尋ねる。

山田は口ごもり、視線を泳がせた。「…まあ、色々とな。特に、数年前に起こしたスキャンダルは致命的だった。相手が大物俳優で、しかも既婚者だったもんだから…」

「それが、緋石静香さんが言っていた『過去』ですね」玲奈が確認するように言うと、山田は渋々頷いた。「ああ。あれで一度、彼女は業界から干されかけた。緋石家との婚約は、彼女にとって起死回生の一手だったはずなんだが…」

玲奈は、美咲が置かれていた状況の厳しさを改めて認識した。彼女にとって、この結婚は単なる恋愛以上の意味を持っていたのかもしれない。


次に二人が向かったのは、美咲が生前、頻繁に出入りしていたという会員制の高級クラブ「ミッドナイト・ムーン」。重厚な扉を開けると、昼間にも関わらず別世界のような薄暗く妖しげな空間が広がっていた。バーカウンターでグラスを磨いていたマスターの北野は、二人の来訪を予期していたかのように静かに口を開いた。

「刑事さんと…そちらは? ああ、プランナーさんか。美咲ちゃんのことで来たんだろ?」

北野は、美咲のことを「妹のように思っていた」と語った。「あの子は、華やかな世界の裏で、ずっと孤独だった。そんな時、よくここで写真家の立花さんと飲んでいたよ」

「立花圭介…美咲さんをスカウトした?」玲奈が尋ねる。

「ああ。立花さんがあの子を見出したんだ。二人の絆は深かった。師弟であり、恋人…いや、それ以上の、複雑な関係だったのかもしれんな」

「その立花さんと連絡は?」高木刑事が尋ねると、北野はカウンターの下から一枚の名刺を取り出した。「昨夜も来ていた。これを」


北野から得た情報をもとに、玲奈と高木刑事は、都内のフォトスタジオで立花圭介と対面した。無精髭を生やし、黒い服に身を包んだ立花は、才能を感じさせる鋭い目つきをしているが、その奥には深い疲労と悲しみの色が滲んでいた。

「…美咲が、死んだ…?」立花は、絞り出すような声で言った。「信じられない…。あいつは、俺がこの手で育て上げた、最高の作品だったのに…」

「緋石翔との婚約について、どう思っていましたか?」高木刑事が核心に迫る。

立花の表情が苦痛に歪んだ。「…祝福、したかったさ。あいつが幸せになるなら、それでいいと…。だが、心のどこかでは…」

「嫉妬、ですか?」玲奈が静かに問う。

立花は自嘲気味に笑った。「…ああ。醜い嫉妬だ。俺だけのミューズが、手の届かないところへ行ってしまう…。そんな感情があったことは否定しない。だが、誓って殺してなどいない!」

「事件当夜のアリバイは?」

「海外ロケでマカオにいた。航空会社の記録も、現地のコーディネーターの証言もある。完璧なアリバイだ」

立花の証言に嘘はないように思えた。しかし、玲奈は彼の瞳の奥に、嫉妬だけではない、何か別の、例えば後悔や、語ることのできない秘密のようなものを感じ取っていた。


最後に二人が訪ねたのは、美咲のライバルとして常に比較されてきたトップモデル、黒崎沙也香くろさきさやかの住む超高級マンションだった。沙也香は、完璧に整えられた美貌と、人を寄せ付けない冷たいオーラを纏っていた。

「七瀬美咲とのこと? そうね、彼女とは常に競い合ってきたわ」沙也香は、赤いネイルが施された指でワイングラスを弄びながら、冷ややかに言った。「彼女がいなくなったことで、私の道が開けたのは事実ね」

「彼女の死を、歓迎していると?」玲奈が問うと、沙也香は挑発的な笑みを浮かべた。

「まさか。でも、この世界はそういうものよ。誰かが消えれば、誰かがその椅子に座る。感傷に浸る暇なんてないの」

そのあまりに冷徹な物言いに、玲奈は背筋が寒くなるのを感じた。

「事件当夜は?」高木刑事が尋ねる。

「自宅で一人、静かに過ごしていたわ。証明しろと言われても困るけれど」沙也香は、悪びれる様子もなく言い放った。

確かなアリバイはなく、被害者への敵意も明確。黒崎沙也香もまた、有力な容疑者としてリストに加えられた。


捜査本部に戻った玲奈と高木刑事は、集めた情報を整理した。美咲の過去を追うことで、新たな容疑者や動機が浮かび上がってきたが、同時に、事件の様相はより一層複雑さを増していた。まるで、幾重にも張り巡らされた蜘蛛の巣のようだ。


「まだ、何かが足りない…」玲奈は呟いた。「決定的なピースが…そして、私がこの事件に呼ばれた理由…」

その答えは、まだ緋石家の深い闇の中に隠されている。玲奈は、自らの直感を信じ、さらなる深淵へと足を踏み入れる覚悟を決めた。闇の中にこそ、真実の光は隠されているのだから。


第5章 託された想い


事件の捜査は膠着状態に陥りつつあった。玲奈と高木刑事は、突破口を求めて、再び緋石家の館に足を踏み入れた。今回は、より詳細な家宅捜索を行うためだ。館の中は、依然として重苦しい空気に満ちており、住人たちの視線には露骨な警戒心が宿っていた。


二人は手分けをして捜索を開始した。玲奈は、被害者である緋石翔の私室へと向かった。扉を開けると、そこは彼の生前の几帳面さを反映してか、驚くほど整頓されていた。だが、その完璧さが逆に不自然な印象を与える。玲奈は、プランナーとしての経験から、人が隠し事をする際に、かえって周囲を完璧に整えようとする心理が働くことを知っていた。


書棚、クローゼット、デスク周り…。玲奈は注意深く部屋を見渡した。そして、ふと、重厚なマホガニーのデスクの引き出しの奥に、不自然な隙間があることに気づいた。指を差し込み、引き出しの底板をずらすと、そこには隠しスペースがあり、一冊の古い革張りの日記帳が収められていた。


慎重に日記帳を開くと、そこには翔の苦悩と決意が、切々とした筆致で綴られていた。緋石家の悪事を知ってしまった衝撃、愛する美咲を守りたいという強い想い、そして、兄である龍之介への恐怖と対決への覚悟…。


『…兄は、もはや人ではないのかもしれない。家の名誉のためなら、どんな非道なことも厭わないだろう。美咲を巻き込むわけにはいかない。だが、このまま闇に蓋をすることもできない…』


『…結婚式の日、全てを公にする。それが、緋石家に巣食う悪を一掃する唯一の方法だ。メディアも注目するその場でなら、兄も手出しはできまい。…いや、油断は禁物だ。もし、万が一のことがあれば…』


日記の最後のページには、一枚の写真が挟まれていた。それは、翔と美咲が、満面の笑みで寄り添うスナップ写真だった。その裏には、翔の文字でこう書かれていた。


『最愛の美咲。君と出会えた奇跡に感謝する。どんな闇が僕らを隔てようとも、僕たちの愛は永遠だ。必ず、光の中で結ばれよう』


玲奈の胸が熱くなった。二人の純粋な愛と、悲壮な決意。これを踏みにじった犯人への怒りが、静かに込み上げてくる。

「藤崎さん、何かあったか?」部屋の入り口に、高木刑事が立っていた。

玲奈は日記帳と写真を見せた。「…翔さんは、全てを知っていました。そして、戦う覚悟を決めていたんです」


高木刑事は、日記の内容に目を通し、険しい表情で頷いた。「…やはり、龍之介が…。だが、これだけではまだ決定的な証拠とは言えない。彼を追い詰めるには、もう一押しが必要だ」


その時、廊下からすすり泣く声が聞こえた。見ると、緋石静香が壁に寄りかかり、肩を震わせている。

「あの…お話したいことが、あります」静香は、涙で濡れた顔を上げ、震える声で言った。


応接室に移動し、静香は堰を切ったように話し始めた。

「…私、兄が…龍之介兄様が怖いのです。父が亡くなってから、兄は人が変わってしまいました。家のことしか考えず、邪魔者は容赦なく排除する…。翔兄様も、美咲さんのことも、本当は…」

「あなたは、龍之介氏の犯行を知っていた、あるいは感づいていたのですね?」高木刑事が静かに問う。

静香は激しく首を振った。「いいえ! 直接見たわけでは…! でも、兄ならやりかねない、と…。翔兄様も、それを恐れていました。だから…」

静香は、震える手で小さなメモを差し出した。「…結婚式の数日前、翔兄様が私にこれを託して、『もし俺の身に何かあったら、信頼できる人に渡してくれ。特に、フェアリーテイルの藤崎玲奈というプランナーになら、託せるかもしれない』と…」


メモには、数字の羅列が書かれていた。金庫の暗証番号だ。

「翔兄様の書斎に、秘密の金庫があるんです。中に何が入っているか、私には分かりませんが…」


玲奈と高木刑事は、静香に案内され、書斎の奥にある隠し金庫の前に立った。静香から受け取った暗証番号を入力すると、重々しい金属音がして扉が開いた。中には、厳重に封がされた封筒が一つだけ置かれていた。宛名には、はっきりとした翔の筆跡で『藤崎玲奈様』と記されていた。


「…私に…?」玲奈は息を呑んだ。なぜ、翔は自分にこれを託したのか? 5年前の事件のことが、頭をよぎる。

高木刑事は、玲奈の肩に手を置き、力強く頷いた。「開けてください、藤崎さん。これが、真実への最後の鍵かもしれません」


玲奈は、震える指で封を破った。中から現れたのは、一枚の便箋と、最新型の小型USBメモリだった。便箋には、翔からの最後のメッセージが記されていた。


『藤崎玲奈様


この手紙があなたの目に触れる時、私と美咲は、おそらくこの世にはいないでしょう。

突然、このような重荷を託す非礼をお許しください。しかし、あなたしかいないのです。


あなたは、かつて「パラダイス・ウェディング殺人事件」という、華やかな世界の裏に隠された闇を暴き、真実を白日の下に晒しました。その卓越した洞察力、真実を追求する強い意志、そして何より、人の心の機微を深く理解するプランナーとしての感性。それこそが、緋石家という巨大な闇と対峙するために必要な力だと、私は確信しました。


このUSBには、緋石家の罪を証明する、動かぬ証拠が入っています。どうか、これを使い、兄、龍之介の罪を暴いてください。そして、叶うことなら…私と美咲が夢見た、ささやかで真実の愛に満ちた結婚式を、あなたの手で、最後まで見届けていただきたいのです。


私たちの無念を晴らし、真実の光を取り戻してくれることを、心から信じています。


緋石 翔』


玲奈は、便箋を持つ手が震えるのを止められなかった。翔と美咲からの、あまりにも重い遺志。自分がこの事件に呼ばれた理由が、今、明らかになった。そして、プランナーとして、一人の人間として、果たすべき使命を確信する。


「高木刑事…行きましょう。真実を、暴きに」

玲奈の瞳には、もはや迷いはなかった。覚悟を決めた光が宿っていた。USBメモリを強く握りしめ、二人は緋石家の闇の核心へと、最後の戦いを挑むべく歩き出した。


第6章 緋色の真実


警察署内の特別な分析室。玲奈と高木刑事は、固唾を飲んでモニターを見つめていた。技術者が翔から託されたUSBメモリを解析し、その中身が次々と画面に映し出されていく。


そこに記録されていたのは、玲奈たちの想像を遥かに超える、緋石家のおぞましい実態だった。政界の大物や海外マフィアとの秘密会合の盗撮映像、不正な資金の流れを示す膨大な会計記録、過去の不審死事件への関与を匂わせる音声データ…。そして、決定的な証拠として、龍之介が部下に翔と美咲の殺害を指示する、隠しカメラの映像までもが含まれていた。


「…これが、名門一族の正体か…」高木刑事は、苦々しげに呟いた。映像には、龍之介が冷酷な表情で「結婚式は、奴らの葬式となる。抜かりなくやれ」と指示する場面がはっきりと記録されていた。


「翔さんと美咲さんは、命がけでこれを…」玲奈は、二人の勇気と犠牲に胸が締め付けられる思いだった。USBには、二人が協力して証拠を集め、龍之介の監視の目をかいくぐってデータを記録していた様子も断片的に残されていた。


そして、最後のファイルには、翔から玲奈への個人的なメッセージ動画が収められていた。画面の中の翔は、少し緊張した面持ちで語り始める。

『藤崎さん…あなたがこの映像を見ているということは、僕の計画は失敗し、兄に敗れたということでしょう。悔しい…本当に悔しい。でも、後悔はありません。美咲と共に、真実のために戦えたことを誇りに思います。

あなたを選んだ理由は、5年前の事件だけではありません。あなたのブログやインタビュー記事を拝見し、あなたがただ見栄えの良い結婚式を作るだけでなく、カップルの心に寄り添い、真実の絆を大切にするプランナーだと知ったからです。僕と美咲が本当に望んでいたのは、そんな心からの祝福でした。

どうか、この証拠で、緋石家を覆う偽りのヴェールを剥がしてください。そして…もし許されるなら、僕たちの叶わなかった結婚式を、あなたの手で…』

映像はそこで途切れていた。玲奈は、頬を伝う涙を拭うこともせず、モニターを見つめていた。


「…行きましょう、藤崎さん」高木刑事が静かに立ち上がった。「真犯人を、断罪する時です」


玲奈は力強く頷いた。二人は、動かぬ証拠を手に、再び緋石家の館へと向かった。館には、高木刑事の指示により、龍之介をはじめとする緋石家の主要メンバー、そして捜査に関わった立花や沙也香なども集められていた。誰もが、これから何が起こるのかと、緊張した面持ちで待っている。


広間の中央に進み出た高木刑事が、厳しい口調で宣言した。

「皆さん、長らくお騒がせしましたが、本日、この悲劇的な事件の真相が、完全に明らかになりました」

一同に緊張が走る。

「緋石翔さん、および七瀬美咲さん殺害の犯人は…」高木刑事は、冷徹な当主の顔を真っ直ぐに見据え、続けた。「あなただ、緋石龍之介さん!」


龍之介の表情が、初めて劇的に歪んだ。驚愕、そして怒り。

「馬鹿なことを言うな! 私が弟を殺すだと!? 証拠でもあるというのか!」

「証拠なら、ここにあります」高木刑事は冷静にUSBメモリを掲げた。「翔さんが、命がけで残してくれた、あなたの罪を証明する動かぬ証拠がね」


その瞬間、龍之介の顔から血の気が引いた。「そ…そんなはずは…!」


玲奈が一歩前に進み出て、静かだが凛とした声で語り始めた。

「緋石龍之介さん。あなたは、緋石家の闇を守るため、そして自らの地位を守るために、実の弟とその婚約者の命を奪いました。翔さんと美咲さんは、あなた方が行ってきた数々の不正、政界との癒着、裏金工作、そして過去に闇に葬られた数々の不審死…その全てを暴こうとしていたからです」


玲奈は、プランナーとしての観察眼を光らせ、龍之介の心理を突いた。

「翔さんは、純粋に緋石家を正しい道に戻したかった。そして、愛する美咲さんと、真実の祝福の中で結ばれたかった。だから、多くのメディアや有力者が集まる結婚式の場で、全てを公表する覚悟を決めた。それが、あなたにとっては最大の脅威だったのですね?」


「違う…私は…」龍之介は狼狽し、反論しようとするが、言葉にならない。


玲奈は続けた。「だから、あなたは結婚式を『葬式』に変える計画を立てた。招待状も、あえて私を指名したのは、私が過去の事件を解決したことを知り、万が一、翔さんが何かを託していた場合に、その動きを探るため…あるいは、私をも事件に巻き込み、口封じするためだったのでしょう?」


壁のメッセージにも玲奈は言及した。「『真実の愛は、血の誓いと共に』…あれは、真実の愛を貫こうとした二人を嘲笑い、自らの血塗られた支配を誇示する、あなたの歪んだメッセージだったのですね」


次々と暴かれる真実に、龍之介はもはや抵抗する気力も失ったようだった。彼の完璧な仮面は完全に剥がれ落ち、憎悪と焦燥に満ちた醜い素顔が露わになっていた。

「…そうだ…私がやった…」龍之介は、力なく呟いた。「全ては…この緋石家のためだ! 汚れを知らぬ理想論など、この家には不要なのだ!」


「緋石龍之介!」高木刑事が厳かに告げた。「あなたを、緋石翔、七瀬美咲殺害、およびその他多数の容疑で、逮捕する!」

警官たちが龍之介に駆け寄り、手錠をかける。彼は、最後まで憎悪の視線を玲奈に向けながら、連行されていった。


館に残された人々は、呆然と立ち尽くしていた。静香は、兄の罪と、自分がもっと早く行動できなかったことへの後悔に、ただ涙を流していた。叔母の雅子は、信じられないという表情で、その場にへたり込んでいる。立花圭介は、壁に寄りかかり、天を仰いでいた。美咲を守れなかった無力感に打ちひしがれているようだった。


玲奈は、この惨劇の結末を静かに見届けながら、翔と美咲の無念に想いを馳せた。真実は暴かれた。しかし、失われた命は戻らない。


高木刑事が玲奈の隣に来て、静かに言った。「…藤崎さん、本当にご苦労だった。そして、ありがとう。君がいなければ、この闇は永遠に葬られていたかもしれない」


玲奈は、小さく頷いた。「いいえ…私は、翔さんと美咲さんの、最後の願いを果たしただけです」

そして、玲奈は静香の方を向いた。「静香さん、まだ、終わっていません。私たちが、果たさなければならないことが、もう一つあります」

静香は、涙に濡れた瞳で玲奈を見上げた。

玲奈は、決意を込めて言った。「翔さんと美咲さんの、結婚式を。彼らが本当に望んだ、真実の愛を誓う式を、挙げましょう」


第7章 永遠の誓い


事件から一ヶ月後。緋石家の広大な庭園は、かつての陰鬱な雰囲気を脱ぎ捨て、柔らかな陽光と優しい花々の香りに包まれていた。白いオーガンジーの布が風に揺れ、祭壇には純白の百合と、美咲が好きだったという淡いピンクの薔薇が溢れるように飾られている。玲奈は、プランナーとして最後のチェックをしながら、この特別な日の意味を噛み締めていた。これは、単なる追悼式ではない。翔と美咲が夢見た、真実の愛を誓うための、ささやかな結婚式なのだ。


「藤崎さん…」

振り返ると、そこには黒ではなく、淡いグレーのドレスに身を包んだ静香が、穏やかな表情で立っていた。事件を経て、彼女の纏う雰囲気は以前のような儚さではなく、凛とした強さを感じさせた。

「…本当に、ありがとうございます。こんな素敵な式を…きっと、翔兄様も、美咲さんも、空の上で喜んでくれているはずです」

玲奈は優しく微笑み返した。「ええ。二人の想いは、確かにここにありますから」


やがて、参列者たちが静かに集まり始めた。緋石家の親族は少なかったが、翔や美咲の友人、仕事仲間、そして事件の解決を見守ってきた高木刑事や立花圭介、黒崎沙也香の姿もあった。沙也香の表情には、以前の冷たさはなく、どこか複雑な、しかし人間らしい感情が浮かんでいた。


祭壇には、満面の笑みを浮かべる翔と美咲の遺影が飾られた。司会進行役を務める玲奈が、静かに式次第を告げる。


最初に、静香が前に進み出て、震える声で、しかしはっきりと語り始めた。

「翔兄様、美咲さん…。二人が命がけで守ろうとした真実と愛を、私たちは決して忘れません。緋石家は、過ちを償い、必ず再生します。二人の勇気を、未来への光として…」

参列者たちの目から、静かに涙がこぼれる。


次に、立花圭介がマイクの前に立った。

「美咲…。君は、俺にとって最高のミューズだった。そして、翔くんという、君を心から愛する素晴らしい人を見つけた。二人の幸せを、もっと素直に祝福してやれなかったことが、今でも悔やまれる。…だが、君たちの愛が本物だったことは、俺が一番よく知っている。どうか、安らかに…そして、永遠に美しく輝き続けてくれ」


最後に、玲奈が祭壇の前に立った。参列者一人ひとりの顔を見渡し、そして遺影の二人に語りかけるように、静かに、しかし力強く話し始めた。

「翔さん、美咲さん。私は、お二人のウェディングプランナーとして、今日、この日を迎えられたことを、心から光栄に思います。お二人が本当に望んでいたのは、豪華な披露宴や、形式だけの誓いではなかったはずです。互いを深く理解し、尊敬し合い、どんな困難にも共に立ち向かおうとした、その真実の愛を、大切な人たちの前で確かめ合うことだったのではないでしょうか」


玲奈は深く息を吸い込み、続けた。

「お二人の愛は、悲劇によって奪われたのではありません。むしろ、その輝きは、多くの人々の心を照らし、私たちに勇気と希望を与えてくれました。この式は、失われた未来を嘆くものではなく、お二人の永遠の愛と、その尊い意志を祝福し、未来へと繋いでいくための誓いの場です」


玲奈の言葉と共に、参列者全員が立ち上がり、翔と美咲へ、そして未来への祈りを込めて、静かに黙祷を捧げた。


式が終わり、参列者たちが庭園を後にする中、玲奈は一人、祭壇の前に佇んでいた。夕暮れの光が、花々を優しく照らしている。

「藤崎さん」

声のした方を見ると、高木刑事が立っていた。

「…素晴らしい式でした。二人の魂も、きっと慰められたことでしょう」彼は、穏やかな表情で言った。

玲奈は微笑んだ。「ありがとうございます。でも、これで終わりではありません。私の仕事は、これからも続きますから」

「というと?」

「翔さんと美咲さんの遺志を継いで、これからも多くのカップルの、心からの幸せな門出をお手伝いしていきます。そして…」玲奈は、決意を込めて空を見上げた。「二度と、このような悲劇が繰り返されないように。偽りのヴェールの下に隠された真実を見抜く目を持ち続けたいんです」


高木刑事は、玲奈の強い瞳を見つめ返し、静かに頷いた。「その気持ち、よく分かります。私も、刑事として、真実から目を背けずに戦い続けたい。…もしよければ、これからも、時々情報交換など、協力し合えませんか?」

「ええ、喜んで」玲奈は、自然に微笑み返した。


その時、西の空に、七色の虹が鮮やかに架かった。まるで、天国にいる翔と美咲が、残された人々へ、そして未来への祝福を送っているかのように。玲奈は、その光景を胸に刻み、新たな一歩を踏み出す決意を固めた。真実の愛を祝福し、守り続けるために。


(了)


登場人物一覧:


藤崎玲奈ふじさき れいな:29歳、主人公。聡明で美しいブライダルプランナー。親友の失踪をきっかけに、事件の真相を追及する。

高木誠たかぎ まこと:40歳、警視庁の刑事。玲奈と協力して事件の解決に当たる。

緋石翔ひいし しょう:27歳、緋石家の次男。美咲の婚約者。家の闇を暴こうとして殺害される。

七瀬美咲ななせ みさき:25歳、人気モデル。翔の婚約者。翔と共に殺害される。

緋石龍之介ひいし りゅうのすけ:32歳、緋石家の長男。家の後継者。事件の真犯人。

緋石静香ひいし しずか:30歳、緋石家の長女。病弱で内向的な性格。

緋石雅子ひいし まさこ:45歳、緋石家の叔母。社交界の花形。

立花圭介たちばな けいすけ:38歳、カメラマン。美咲の元恋人で、彼女をスカウトした人物。

黒崎沙也香くろさき さやか:26歳、モデル。美咲のライバル。

山田晃やまだ あきら:42歳、美咲が所属していた芸能プロダクションのマネージャー。

北野きたの:50歳、高級クラブ「ミッドナイト・ムーン」のマスター。美咲の常連客だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] USBが証拠として強すぎて、思わず笑ってしまいましたね。 捜査過程で得られた情報が、ほとんどオチに影響してこないのは寂しいと感じました。
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