1.普通じゃない生活に変わる瞬間
「バイバーイ!」
「じゃあね!」
学校が終わると、いつも通りの声が聞こえる。
ひっそりとあるその高校は、人が少ないクセに、声は大きい。
こんな学校の裏に、あんなのがいるなんて、この時の僕は全く思ってもいなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ー夜の学校ー
「うわー、夜の学校なんか初めてだなぁ...。」
僕は鈴。
僕っ子女子だよ。
友達と4人で、肝試しに来ている。
場所は夜の学校だ。
ちなみに先生は誰もいない。
だから...。
「きゃあああああ!!!」
「あれ、春ってビビリだったっけ...?てか、脅かす側がなんで...?」
突然聞こえた友達の春の叫び声。
それが気になって、動いてしまった。
そして、化け物を見てしまった。
春が追いかけられてる化け物は、巨大で、ワニのような口を持っていた。
どこかで見たことがあった気がしたが、思い出してる暇なんて無かった。
「春!!」
僕は春より年上だが、春よりも小さい身体で、春を掴んだ。
そして、外に逃げ...。
「見つけたぞ!!あいつらだ!!」
外には武器を持った大人だった。
それを見て怖かった。
「あ...あぁ...。」
春は腰を抜かしていた。
「貴方達は誰ですか?」
僕は少し震えながら声をあげた。
「そんなのは気にしないでいい。お前等はあれを見てしまったんだ。だから、来い。」
それを聞いて僕は1つの答えを導き出した。
それは、記憶の削除。
多分、あの化け物は見ちゃダメだったのだろう。
「鈴ちゃん...。」
「春、あの化け物の記憶を消されるだけだと思う。」
「そうなの...?」
「多分。」
そう言うと、春は立ち上がった。
「なら、大丈夫だね。行こう。」
「そんな早くあいつの事忘れたいんだね...。」
僕等は大人達に連れられ、1つの施設みたいなところに来た。
そこには、残りの2人もいた。
「2人共〜!!」
「春!良かった〜、叫び声が聞こえた時、怖かったんだからね!」
海歌が春に抱きつきながら、そう言う。
「私もだよー!!」
春は思い出したのか、泣きじゃくっていた。
そこに、無言で皐月が近づき、春の頭を撫でた。
「皆さん、おまたせいたしました。」
そこに、1人の男性が来た。
「これから、貴方達はここで働いてもらいます。」
どういう事?
そう言いたかったが、その前に男性が話し始めた。
「貴方達はあいつらを見てしまった。そのため、もうこっち側なんだ。だから、しっかり働いてもらう。今からその準備をする。ちなみに言うと、他にも沢山の子供がいる。これからあいつらの能力も少し入れさせてもらう。以上だ。じゃあ来い。」
そこまで言われて、はいそーですかとでも言って着いて行くバカはいないだろう。
けれど、僕等は行くしかない。
車で連れて行かれたので、どこかも分からないからだ。
だから、従うしかない。
危なくないと信じて。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お前はここに座れ。」
言われた場所は、ぱっと見手術所だった。
そして、そこには色々な色の紐が何本も繋がってる、いかにも実験用の椅子があった。
「わかりました。」
鈴は反論せずに、そこに座った。
「ねぇ、君は怖くないの?」
横には、同じように座らされた子がいた。
「怖くないって思わないと、やっていけないでしょ。」
「凄い...私も大きくなったら、そう思えるかな...?」
「君、何歳?」
「12だよ。」
「そっかぁ...。」
鈴はどうにかを伸ばして隣の少女の頭を撫でた。
「その年でも、思えるよ。大丈夫、僕も皆も同じだから。」
「...うん!」
鈴がちゃんと背もたれに身体を任せたタイミングで、男性が1人入ってきた。
「時間だ。近くに置いてあるやつをつけろ。」
近くには、沢山の紐が付いた金属製の帽子や手袋などがあった。
全員は、それを装着した。
「それでは、始める。」
男性がボタンを押した瞬間、眠気が襲ってきた。
その部屋にいる者達は全員眠ってしまったのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
目が覚めるとそこは知らない部屋だった。
錯覚を起こしてしまいそうなほど白く、何も無かった。
「ここ...は...。」
「ん、起きたんだな。」
自分の後ろから声が聞こえた。
振り返るとそこには家具などがあり、椅子に1人の男性が座っていた。
「僕、どうなったんですか...?」
「実験に成功したんだ。」
「えっと...どういう事ですか...?」
そう言うと、その男性は1つの紙束を投げた。
そこに書いてある言葉を読みあげた。
「SCPの能力を入れたデータを身体に組み込んだ...?」
「死ぬ事覚悟でSCPの能力を入れた。そしたら、君だけ成功したんだ。」
「じゃあ...他の皆は?」
一緒に来た3人や、さっきあった子がどうなったか。
それは、言わなくても分かってしまった。
「死んだ。」
「ぇ...ぁ...。」
ふざけんなって言いたかった。
けど、言えなかった。
悲しみが込み上げて来たからだ。
「う”...ぐすっ...。」
「...悪かった。だから、落ち着いて聞いてほしい。これから君には色々な奴の研究を手伝ってもらう。」
「SCPですよね...?」
鈴は紙を見た瞬間に思い出した。
春を追いかけていた奴がSCPだという事を。
「僕、やります。元々SCPは気になってたし...2人の事は忘れます。」
「そんなあっさり...。」
「いいんです。皐月が昔に言ってた事を思い出したので。”今を楽しまないと、どうせまた出来るタイミングは来ない。周りも後も気にせずやっちゃえ”って...。」
鈴は笑顔でそう言った。
「ありがとう。じゃあまた後で来る。それまではこのタブレットとかも使ってていいから。」
「ありがとうございます!」
男性は外に出ていった。
1人|残った鈴は、タブレットにゲームをインストールした後、ベッドに寝っ転がった。
そして、そのまま眠りについたのだった。
<キャラの簡単な説明>
柊 鈴
・水色髪の1つ結びに青目
・背は少し小さめ
・体重はガチで軽い
・服はいつも青のフード付きの服に、ちょっと白のズボン
・年齢は16歳で、誕生日は5月6日
<※ちなみに、この話の開始日は2月15日>