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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

歪みの思い出

作者: 刺縫依彦

きっとはじめまして

空想噺ですが楽しんで頂けたら幸いです

八百万。その中の1。

当然、相手にされることも無く。

ただ何処にでもある1だった。

「他人の縁を結ぶ前に自分の縁を結んだらどうだ」

何処かの酔っ払いが言っていた。お酒も供物もみんな美味しくなくなった。

「空間を歪めるくらい俺だって出来るさ」

じゃあ、いつまでそのまま保てるんだ。

同じくらいどうでもいい存在の癖して何故張り合ってくる。

何故そこまでして私を堕としたい。

わからない。その感情が疑問でしかない。

戻ろうとする歪みの中で歪んでいくお前は傑作だったよ。上半身は捩られ、下半身は食い荒らされていくお前の地獄を見ている様な顔。中身の無い謝罪と救済の懇願。人間みたいだな。

流石に騒ぎに気付いたお偉いさんに止められたけど、あの表情は今思い出しても下品に笑ってしまいそうだ。



「しばらくの間休んだ方がいい」

(神だが)神の様に優しいお偉いさんは言った。

その言葉に甘えて休む事にした。

親父と女将さんは何か言っていたけれど、要約すると無理するなということらしい。


数日の後、嫌な夢を見る事になる。

家にあいつがやってきてしたり顔をする。

「あれから何をやっている」

「仕事が無さそうじゃないか」

「俺は更に仕事を貰って揶揄う時間も惜しいぐらいだ」

「お前のお陰であの方達に認知して頂けた」

「近いうちに名を貰えるだろうさ」

「感謝してるぜ」

「なんてな」

「処分待ちに掛ける言葉なんてねえんだよ」

「とっとと俺の顔でも思い出しながら処分されればいいさ」

どうやらあいつは、労働は神のやる事じゃないと知らない様だった。何処までも人間くさい。

つけ上がるだけなら別にいいが、どうも教えて欲しそうに立ち去る様子もないので手解きをしてやる事にした。

簡単だ。仕事を台無しにしながら精神もめちゃくちゃにしてやればいい。

基本神は死なないから、やり過ぎる事はない。

もし死んだとしても、こちらにしたら儲け物だ。

そう考えるだけで下品な笑みが顔いっぱいに広がっていく。気味悪がって後退りするのも気にならない。

大丈夫。私がちょっと仕事をサボって道楽に走るだけだから。

それ以降は思い出さない様にしている。

夢だった事が勿体無く思えてしまうから。


夢から醒めた私の元には数通の手紙とお小言付きの提案書が届いていた。

あいつの顛末。

私に名前をつける事。

それに従って一切の仕事を放棄した休養期間を正式に与えること。

それが内容だった。



「今日からお前に歪居伏神(ゆがめいぶしのかみ)の名を与える」

その後、私には名前がつけられた。

歪居伏神。白昼堂々と空間を歪める力を持つ者。

蜃気楼の神でもいいのではと言う声も聞こえる。そんなのは気にしない。だって神だから。

名前を望んだあいつは天下りの処分を受けたらしい。まあ、名前が貰えると言う点で違いはない。

名前が定着するまでの間はお偉いさんが私の仕事を引き受けてくれるらしい。生まれて何百年とこれの事ばかりを考えていた日があったのに、それが一瞬で出来てしまった。高天原の才女、神の中の神とは恐ろしいものだ。

私に与えられた課題はただ一つ。

休暇中にその力を使いこなせる様に成れ。

その器が使い物にならなくなるまでに。

ならば応えよう。より相応しく名を歪ませて。

設定的な話(面白くなくなるかもしれないので自己責任で)

一応日本を想定しています

歪居伏神

元々は微細な精霊。あーしてこーしたら神の手伝いが出来るくらいになった。奴の世界の秩序は共喰い。

妖怪なんやらを放り込んでいる異空間の保持、管理を任されている。あいつを挟んだのはまさしくこれ。神足りえぬ何かは美味しかったそうです。

親父は道祖神(猿田彦神)、女将さんは天宇受売命を指している。家に置いてくれていた。働かざる者食うべからずなイメージ。先行投資は惜しまない。

突っかかってきたあいつ

みんな同一。もぐもぐされたのもこいつ。

神への憧れの集合体。器じゃなかった。

上司へ取り入るのは上手いが実績が少ない。手持ち無沙汰と降格の不安が手をがっしり組んでる。

前々から歪居伏神を獲物として捕捉していた。一気に捕らえようとしたら逆にドン底までホールイン(トラウマのおまけ付き)を決められてしまった。どんまい

お偉いさん

筆頭は天照大御神。

出来る上司No.1(当社比)。高天原の才女、神の中の神。

とりあえず任せておけば、後任人事までの繋ぎをやってくれる。凄い人の少なくとも10倍は凄い。だって神だから。

嫌な夢

夢に出来るなら夢のままにしておくの。だって神だから。

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