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9.3_命令

 紅谷は現状維持で待機を命じられたまま、1か月が過ぎた。

 世間はクリスマスや年末に向けて浮足立ち、賑やかな喧噪が仮住まいの最寄り駅にも漂っていた。

 そろそろ日付指定の荷物が届いている頃だ。

 あれには退職届が入っている。

 状況を考えれば依願退職なぞ許される訳はないだろうが。


 一方、コウからは何の音沙汰もなく、いつまでほっておくのかと、いっそこちらから連絡してやろうかと思っていた頃、連絡があった。

 随分遅いと思ったが、紅谷は用心することなく、電話を取った。

 これでようやく家族と再会できる、そう期待して。

 だが、コウは全く違う事を紅谷に要求した。


『娘を連れてこい、必要なら手足は貸してやる』

『約束はこの前の1度きりだと言ったはずだ。俺の監視を解いて二人を返せ』

『状況が変わった。実行すれば家族をお前の元に帰してやるし、相応の地位で迎えてやろう』


 どうせ戻るところもないだろう、とコウは見透かすように言った。

 断ればどうなるかなど聞かずともわかる。

 選択肢など紅谷にはなかった。


『そろそろ奥さんは予定日だな。どうするパパ?』


 コウはククっと喉の奥で笑った。


『……わかった。準備に監視のできる連絡係が欲しい。その他は作戦を立ててから連絡する』


 コウは了承し、紅谷は通話を切ってスマホを放り出した。

 しばし考えたのち、PCを開いてどこかにアクセスし始めた。


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