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4.8_調査依頼

 巡回の交代時間、待機所に戻った藍野は、ビデオ通話で紅谷を呼び、先ほどあった事を話した。


「という訳でさ。こいつら本当の素性と目的を知りたいんだ。調査ヨロシク」


 藍野は監視カメラの動画から取ったコウの写真とURLをメッセージで紅谷に渡しながら言った。


「こいつら同業者に見せかけてるけど、多分本職は軍人。名前は自称コウ・ユウハン。話した奴の社章を画像検索したら中国系のセキュリティーサービス会社がヒットした」


 表情にこそ出さなかったが、紅谷は震えがくるほど驚いていた。

 オンラインの画面越しで本当に助かったと思った。

 顔を合わせていたら、動揺に気づかれていただろう。

 平静を装いながら、紅谷はURLをメッセージで渡されて、その会社のホームページを見た。


「なぁ……なぜこの会社だけ調査するんだ? 他の会社は調査しなくてもいいのか?」


 紅谷はタブレットでURLを開き、タップやスワイプで基本的な企業情報を頭に入れながら紅谷は質問した。


「他は必要ない。博士に会って話したいという奴は山ほどいるんだけど、大体はごく普通の一般人。何かあっても力技なら対処できるんだけど、こいつらだけは丸腰で対処はできないんだよ。街中でも銃器携帯してるよ、こいつら」


 銃器と言う言葉に、ぴたりとホームページをめくる手を止め、紅谷はカメラに向き直り、平静を装いつつ「どうしてそう思ったんだ?」と聞いた。


「んー。警護って客商売なのにとげとげしい雰囲気かなぁ……。それにさ、コイツに言われたんだよ、『硝煙の匂いに苦労する』って。アイツ、警察でもない俺達が銃器扱えることを知ってたよ」


 大丈夫。コウと自分の関係はまだ誰も知らない。

 落ち着けと言わんばかりに、紅谷は見えないところで強く両手を握りこんだ。


「いくら何でも……考えすぎだろ。俺たちが銃を使えるのなんて界隈じゃ有名な話だ。それに街中でやり合うなんてお互いリスクが大きすぎるから、いきなり撃ってきたりはしないだろ。これ期限はいつまで?」


 息を整え、藍野の懸念を些末な事だと否定して、紅谷は期限の話にもっていった。

 だが、内心は心臓を素手で掴まれたようにすくみ、背中には嫌な汗をかいていた。


「大至急。博士の具合が良くないんだよ。ここ最近の客達の急な動きといい、お前も気をつけろよ」


 藍野は「じゃ、そろそろ部長報告の時間だから切るよ」と言って通話を切った。


 紅谷も終了に応じ、ビデオ通話を切った。

 長く深いため息を一つついて、傍においていたコーヒーを一口啜り、しばしの間、紅谷は空中を見つめていた。

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