表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に4人の幼馴染が寝取られ……あれ1人様子が?  作者: 鶴沢仁
第五章 聖騎士と平和で歪んだ日常
71/82

敵の敵は味方

 は~しんどかったわ。やりたくもねぇデートとか糞すぎる。

 だが、苦労しただけあって効果は抜群だ。やったぜ。


 一晩苦心して考えた"悲恋の恋人ムーブ"も大体ハマったしな。

 アレフの奴が単純でクソボケだったのもあるが。


 普通に考えて、強引に結婚迫って来る半強姦男にだ~れが惚れるかよ。

 確かに顔はまあまあ見れるが、てめぇなんかに愛を囁くわけねーだろ。

 クリスちゃんはそんなに安い存在じゃねーんだよカス。


 アレフなんぞ所詮は駒だ、俺様を引き立たせるためのな? いっそ魔王と相打ちでもして死んでくれりゃ、俺様の悲劇ポイントも上がってウハウハなんだがなぁ。そこまでは、期待できねぇか。


 しかし、だな……。演技派の俺様といえども、流石に今回はダメージデケェわ。


 腕に抱き付くのは、まあ許容範囲だ。問題ねぇ。

 恋人っぽい行動も、少々嫌悪感はあったが大丈夫だった。


 問題だったのは最後のキスだ! なんで俺様が、あんな拷問されるような苦痛を自分から受けなきゃならんの? だが、抱き付くだけでは弱かったのは確かなんだよなぁ。思いを断ち切る覚悟……の演技をアレフに見せる必要があった。


 わかる、わかるぞ。でも、納得できねぇ! こちとらホモじゃねぇんだ。

 自発的に! 男に! キスしたという事実が、俺様にある男の部分を深く苦しめる。


 舌まで入れられた糞ディープな糞キスまでされてるから今更と思うかもしれねぇがな。無理矢理されたのと、意図的にするんじゃ全然ダメージが違うんだわ。


 まあいい……おかげで、この忌々しい因果を断ち切ることが出来たんだ。

 これで俺様の将来は、聖女ムーブで一生喝采コース確定だわ。


 今日まで長かったぜ。厄介な事も多々あった。後は、魔王だけ考えりゃ良い。

 ……もうすぐだ。あと少しで俺様のサクセスストーリーは完成するんだ。


 その後は不老不死の薬でも探すか! この女神を超える美貌を永遠のモノにせねば。それに永遠に讃えられる存在なんて、まさに俺様に相応しいじゃねぇか。


 クックック。魔王も、英雄も、全ては俺様の掌の中(タナゴコロノウチ)って感じだぜ。

 最後に勝つのはな、聖女のこの俺様なんだよッ!


「……アレフ、そろそろ帰りましょうか(抱き付いてた事忘れてたわ)」

「…………俺は」


 ほらほら、この戦いは俺様の勝ちなんだからさっさと従えよ。

 敗者は勝者に絶対服従! 負け犬は全部奪われとけ。


「手を繋いで、帰りましょ? 宿に着くまでは……私達は、恋人なのですから(早くしろ! めんどくせぇんだよゴミ)」

「クリス……」


 ウジウジし始めんなよ! 女とかアリアで良いだろうが。性欲の発散なら最適な奴だぞ。俺様のような清楚系超美少女は、てめぇごときじゃ釣り合わねぇんだよ。


「ほら、手を出してくださいアレフ。……貴方の温もりを、感じたまま帰りたいんです(駄々こねるのもいい加減にしとけよクソガキ。こちとら、今の生と合わせりゃ四十年は生きてる猛者やぞ)」

「クリスッ!!」


 やめろ、何故また抱き付く。それもう終わっただろ。反則するな。

 チェスで相手の駒使うくらいルール違反だ。さっさと離れろよ。


「ア、アレフ!? いけません! 私たちは(どんだけ往生際が悪いんだ)」

「……魔王を倒すまでだ」

「……えっ?(いきなり何言ってんだこいつ)」

「魔王を倒すまでは、聖女と、英雄で居よう。だけど、魔王を倒したら、やはりお前は俺のモノにする!」


 …………は? え、それって結婚を無理矢理迫って来た時の条件と何が違うん?

 振り出しに戻ろうとしてんじゃねぇぞ。ふざけんな糞が!!


「ダメなんです、私は皆の為、聖女として生涯を――(白紙にさせるかよ)」

「分かってる。だから、もうクリスの意思を聞くのはやめた」

「アレフ……?(何が分かったんだ? アホなのか)」

「俺の勝手で、俺の都合で、無理矢理にでもクリスを俺のモノにする」

「…………(やべー奴じゃん。ただの犯罪者じゃねーか)」

「ごめん、クリス。やはり俺は、お前を諦めることは出来ないんだ」

「アレフ、何故なの……?(勘弁してくれ、もうマジで)」

「お前の意思を無視してでも、俺は"聖女(ノロイ)"からお前を救い出したいから……」


 俺様の苦労は一体……。やべぇ一言で、全部パーにされちまった。

 愛とか、好きとかいう話はどうなったんだ? もう何でもありじゃねぇか。


 愛し合うって言うのは双方の想いがあって成り立つんだぞ?

 無理矢理モノにするとかふざけすぎだろ。レイプ魔が……死ねよ。


「さあ、行こうクリス。宿に戻ったら、俺は英雄に戻る」


 そう言って、抱き付きから俺様を解放したアレフはさっさと歩きだしちまった。


 勝手すぎる。こんな仕打ちねぇよ。あんまりだ。あんなに頑張ったんだぞ?

 やりたくもねぇキスまでしたのに……。こんなの、ひでぇよ。


 ……もうあの野郎、魔王と一緒に殺すしかねぇな。


 上手く相打ちになるように、なんとかするしかねぇ。

 このままじゃ、俺様の未来は監禁されて、野郎(アレフ)の慰み者ルートだ。


 クソッタレが! 魔王、頑張ってくれよ……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ