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勇者に4人の幼馴染が寝取られ……あれ1人様子が?  作者: 鶴沢仁
第五章 聖騎士と平和で歪んだ日常
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不貞の証

 俺が目覚めると、クリス達はどこかへ出かけているようだった。


 昨日の出来事があまりに嬉しすぎて、隠れて警護するのを忘れてしまったな。

 うっかり眠ってしまうとは……。全く、俺らしくもない。


 まあ、ここは王都だし大丈夫だとは思うが。クリスの言う通り、魔王討伐も近い。あまり気を抜き過ぎない方が良いだろうな。


 それは、わかっている。わかっている――――けれど。


 やはり舞い上がってしまう。思い切って、多少強引に行ったのが良かったな。

 聖女であるクリスが、本当に俺と結婚すると言ってくれるなんて……。


 もしかして、クリスも俺の事が実は好きだったのか? 別に自惚れたわけではないが、嫌いな男相手に結婚してくれるとは思えないから、ある程度の好意があったのは間違いないだろう。


 口づけをしたのは二回目だったが、柔らかかったなぁ。我慢できずに、つい舌まで入れてしまったけど、ちゃんと受け入れてくれたしな。


 ……またしても怒られないかな? ああ、気持ちが抑えられない。もっとクリスと触れ合いたい。繋がりたい。


 ……何時までも部屋で悶々としてても始まらない。クリスを探しに行こう。


 俺は気を張り、探知のスキルを使った。これで大抵の人物の現在地が分かるらしいが、俺はクリスにしか使ったことがない。ほぼクリス探索専用スキルと化しているが、それで良いのかもしれない。


 ん、もう宿の入り口にいるじゃないか。買い物にでも行ってたのか。

 ちょっと、心配し過ぎなのかもしれないな俺は。


 出迎えようと、俺は部屋を出て入口へと向かう。

 階段を降りると、すぐにクリスを見つけた。後ろ姿だったが、純白の修道服を着ているのですぐに分かる。ついでにアリアもいたが、どうでもいい。


 二人で出かけていたのか。姉妹だからやはり仲が良いよな……。少し、嫉妬してしまうくらいに。だが、俺は後に夫となる身だ。醜い嫉妬心など愛しの妻に見せるわけにはいかない。


 笑顔を心掛け、二人に近づく。……なんだか、二人とも様子がおかしいが、何かあったのか? 買い物ではなく、別の理由で出かけてたとするなら事情を聞かないといけない。


「クリス、何かあったのか?」

「あ、アレフ! ただいま帰りました」


 クリスがこちらに向けてクルリと振り返った。

 俺は笑顔で迎えようとしたんだ。


 ――――だが。


 俺は見てしまった……。振り返った時に、クリスの首元に()()()があるのを。クリスのような清らかな女性に、絶対付いているはずのないものを。


 気の所為と思いたいが、身体能力が向上している俺の目は誤魔化せない。

 何だか、胸が苦しい。あり得ない。何かの間違いだ。


「アレフ? どうかしたのですか? 顔色が」


 心配そうに俺の顔を覗くクリスだが、よく見ると息が結構乱れている。

 まるで、直前まで激しい運動をしたかのように、うっすらと汗も見える。


 いや、信じろ。クリスが裏切るはずがない。ここまで、俺を支えてくれたクリスが、そんな事をするはずがない。そうだ! じ、事情があるに違いない!! きっときっときっと。


「クリス、一つ聞きたいんだが」


 恐らくクリスなら「ごめんなさい、今話そうとしてたんです」と申し訳なさそうに言ってくれるはずだ。そうに決まってる! そうじゃなかったら。


「もう、なんですかアレフ! やっぱり変ですよ」


 そうじゃなかったら、俺は、俺は……。


「首に付いてる、その、キスマークは……いったい何なんだ?」

「…………え? あっ……」


 何で、真っ青な顔になるんだ? 何故、不味い物を見られたような顔をする?

 ……吐き気がしてくる。そのマークを付けた男は誰なんだ?


 何故だ、何故だ、何故だ、何故だ何故だッ!!


 俺を愛してるんじゃなかったのか? 全て嘘だったとでも言うのか?

 俺は、もう何を信じればいいんだよ。


「あ、あ……ああ……そ、そんな。こんなものが残ってたなんて……」


 なんだ、その反応……?

 まるで、今まで首に付いてたのに気づいてなかったような言い方だな。

 そんなものに気づかないくらい、そいつに夢中だったんだな……。


 どうしてだ? 俺の何がダメだったんだ? なんでだよ。


 お前に悪い虫が付かない様に、色んな街でお前を狙ってきた男共を人知れず殺してきた! 必死に、お前を護って来たのに!! ちょっと目を離したらこれか?



 嬉しそうに抱き合ったのか? その笑顔を男に向けたのか?

 愛してると囁いたのか? キスしたのか? それとも……。


 まさか、それ以上のことを――愛し合ったのか? 俺とは、嫌がった癖に。


 そんなこと――――許せるわけねぇだろッ!!


「ア、アレフ。とりあえず、私は一旦部屋に戻りま――」

「待てよおおお! クリスッッ!!」

「!?」


 お前は、俺のモノだ。ぽっと出の、間男なんかに渡してたまるか!


 もうあんな思いは、二度と御免なんだよ! お前だけは、絶対に失えない。

 魔王討伐? 知るかよ。間男をぶっ殺して、お前を監禁してやる。


 何度も何度も愛して犯して、他の男なんか忘れさせる。そして、そして!


 俺しか、見えない様に徹底的に分からせてやるッ!! クリスぅぅ。

だから魔法で綺麗にしとけと。

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― 新着の感想 ―
[一言] それ(クリス)は僕のだぞッ!!
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