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勇者に4人の幼馴染が寝取られ……あれ1人様子が?  作者: 鶴沢仁
第五章 聖騎士と平和で歪んだ日常
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……ない!

 

 最高のタイミングで乱入してやったわ。

 なんか久々に! 久々にさ、俺様が輝いてね?


 最近アレフの所為で、ビクビクしっ放しだったからなぁ! 感謝しろよアリア! この性騎士から助けてやったら、ちゃんとアレフに夜這いするんだぞ。絶対だからな!


「姉さん、動けますか?(寝てねーで手伝えよ)」

「クリス、ごめん。拘束魔法で……動けなくて」

「……大丈夫ですよ。今、助けますから(クソザコすぎだろ……)」


 こういう時の為に、俺様は有能な魔法を覚えて来たからな。

 今回もバッチリよ! 聖女の俺様は、殺傷魔法以外は完璧だぜ。


「強制の魔、蝕む力、全てを無へと帰せ、解除魔法(ディスペル)!」


 俺様の魔法に掛かれば、アリアの拘束と疼き、だっけ? 変な効果を全部消す事なんざ朝飯前よ。つかさ、もちっと早く相談すりゃ、こんな苦労無かったんじゃねーの? マジで話聞かねーブスには困るわ。


「あっ……う、動ける。動けるよぉ!」

「身体の調子の方は……まだ、その、疼きますか?(素でムラムラしてたら治せねぇからな?)」

「!? そ、そういえば。あんなに、疼いてたのが……治まってる! ありがとう、クリスぅ!」


 そう言って、アリアは俺様に抱き付いてくる。

 剥き出しのデカパイを純白の一張羅(いっちょうら)に擦り付けるんじゃねぇよ!


 上半身裸で抱き付いてくる痴女アリアの頭を撫でながら、こっからどうするか考える。アリアじゃどうもあの聖騎士を倒すのは無理くせぇ。


 ……そこそこ強そうなんだよなぁ。俺様から見ると、ハヤト君くらいの強さはあると思うわ。つまり、アリアじゃ勝てねぇ。そして俺様は攻撃手段がねぇ。


「姉さん、ここを出ましょう(流石にリスクがデカすぎる)」

「待ってクリス。あの屑騎士をなんとかしないと……!」


 無茶言うなよ。

 俺様攻撃できねぇし、お前じゃ勝てねぇって言ってんだろボケ。

 少しは人の話を聞け!


「姉さん。今の私達ではネイトルには勝てません(力の差が分からねぇのかな? 馬鹿なのかこいつ)」

「そんな! 今ここで止めないと! また罪もない女性があいつの犠牲になるかも知れないのよ!?」

「……姉さん(いや知らねぇよ!? 勝手に犠牲になってろよ! 俺様たちに何の関係もねぇじゃねぇか)」


 妙な義憤に燃えてる所為で、全く退く気配がないこのアホはどうしたらいいんだよ! そういう正義心持ち出されると、聖女ムーブしてる手前断れなくなるだろ……。頼むからやめてくれ。何で俺様をこんなに困らせるんだよ? 実は新手の嫌がらせしてんじゃねぇだろうな。


「クリス。お願い、力を貸して! この男だけは……絶対に許せない!」

「……分かりました。姉さん、一緒にこの人を止めましょう(ちくしょう……)」


 毎度毎度、何でこうなるんだよ。俺様の判断は絶対正しいはずなのに……誰も聞いちゃくれねぇ。これで二人纏めてやられたら、アリアの所為だからな? もう知らねぇぞ。




 ***




 クリスがあたしを助けに来てくれた。直前まで感情的に怒鳴って、あんなに酷い態度を取っていたあたしを……。やっぱり、同じ姉妹とは思えないや。あたしの妹はあらゆる面で清らか過ぎるよ。


 ……大事な肉親だって、言ってくれた。ずっと、あたしの事を大切に思ってくれたのに、あたしはアレフと付き合ってるからって嫉妬ばかりして。お姉ちゃん失格だよ、これじゃあ。


 もっと良い所を見せてあげたい。クリスの姉として、妹に誇れるような所を、あたしは見せてあげたい。クリスが助けるに値した様な立派な人間になりたいの。


 だから、せめて! 目の前の屑騎士くらいは、あたしが止めないと。多くの女の子たちを救うために。なにより、あたしを助けてくれたクリスに良い所を見せたい!


 クリスは勝てないって言ってたけど、だからって見逃していい理由にはならないもん! あたしとクリスが協力すればきっと勝てる。


「ネイトル! あんたはここまでよ! 今まで食い物にして来た女性たちの無念……ここで晴らしてあげる!」

「随分な事言ってくれるな、さっきまで身体を跳ねて絶頂しそうになっていた女の言葉とは思えん。ククク」

「なっ!? そんな余裕を見せたって……逃がさないんだから」

「それより、脱いだ服を着たらどうなんだ? 剥き出しのオッパイを揺らしながら熱心に話されても、何も頭の中に入ってこないですよ」

「え? あっ……! あ、あんたが脱がせたんでしょ! 見ないでよこの変態!」


 じょ、上半身が裸だったのを忘れてた……。脱がされて床に転がっていた上着を急いで羽織る。くそっ……ずっと見られてたんだ。なんて奴。クズめ……。


「はぁ、こんな頭の弱い女が本当に剣聖とは……世も末だな」

「うるさい! あんたみたいなクズが聖騎士な方がよっぽど問題でしょ! ここで、殺してやる!」

「力の差まで知らない。知ろうともしない。無知な小娘が……オレを殺す? 舐められたもんだな」

「本当に舐めてるかどうか……試してみれば?」


 あたしは腰から剣を……。


 あれ、剣が、ない! あっ…………宿屋に、置いてきたんだ……。


「なにやってんだ? 来ないならこっちから行くぞ」


 ネイトルは細身の長剣を抜いてる。ま、まって……武器がないんだけど……。


「姉さん……? あの、もしかして……」

「ク、クリス……その」


 縋るような目でクリスが見て来る。ああ、そんな目で見ないで……。

 どうしよう、どうすればいいのアレフ。


「やっぱり……に、逃げませんか? 姉さん」

「……ごめん。逃げよう」


 格好悪く、前言を撤回したあたし。


 だけど……。


「散々人を挑発して、逃げられると思うなよ? 糞アマ共」


 入り口の扉までソロソロと移動するあたし達二人をネイトルは見逃してくれなかった……。


「私が何とか防御魔法(プロテクション)で時間を稼ぎます。姉さんは、助けを呼んできてください」

「そんなっ! クリスを置いてなんていけない!! あたしも残って」

「……それだと、二人とも殺されます! お願いします、はやく――」


 クリスが話してる最中、ネイトルが凄いスピードで斬りかかって来た。


「聖光斬! 魔を断つこの聖なる斬撃で防御魔法ごと切り裂く! 死ねぇ!」


 光を帯びた十字の斬撃が凄い衝撃を伴ってクリスの防御魔法にぶつかる。防いでるクリスの額には大量の汗が浮かんでいた。


「くぅっ! こ、これは……予想以上に……」

「ク、クリス……」


 辛そうに耐えているクリスが心配になり、声を掛けるも……あたしにやれることなんて何もなかった。続きの言葉が出ない。


「早く、行ってください……。姉さん、はやく、行ってッ!」

「ご、ごめんクリス……。すぐ、戻るから! 絶対すぐ戻るから!」


 クリスを置いてあたしは部屋を出て行った。

 お願いだから、助けを呼んで戻って来るまで……無事でいて。


 ああ……来た時は気分がふさぎ込んでたから、どうやって連れてこられたのか覚えてない……。

 どっち? どっちを行けば宿に戻れるの? ああ、わかんないよぉ!


 あたしの所為だ。あの時、ネイトルがショックを受けてる間に、クリスが言うように逃げてれば……。変に格好付けようとした結果がこれ。もしクリスが死んだら、多分アレフに殺されるね、あたし。


 いや、そんな事考えてる場合じゃない! クリスの命が懸かってるんだから、あたしの全力で助けを呼びに行くんだ! あたしを助けに来てくれた妹を死なせてたまるもんか!


 身体強化(中)を使って全力で走る! 効果が切れたら連続で使う。身体に対する負荷が高いけど、そんなの気にしてる場合じゃない。


 クリス……絶対に、助けるから!

ええ……(困惑)

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