エピローグ
王城から出て少し行った道中を歩く、四人の人影があった。
男一名、女二名、まだ子供と言える歳の少女が一名。
彼女達こそ、救世の旅をしている英雄御一行である。
先頭に居る男の名はアレフ。
別名、救世の英雄と呼ばれる稀代の傑物である。その凄まじい身体能力と聖剣技で、風神ガルフや氷魔人ネリエフと言った魔王四天王と呼ばれる強敵を打倒した。
その少し後ろを歩く女性……。名をクリスティーナという。
純白の清楚な修道服に身を包み、神聖さを帯びた彼女は、献身の聖女と呼ばれ人々を救済している。
まるで救いの象徴のような女性だ。
同時に、このパーティの支柱的な存在でもある。
彼女は魂そのものが清らかで、一片の汚れも見られない様子から、天使の心を持つとも言われている。
献身の聖女の隣に立つ女性の名はアリア。
少し前に話題になった勇者パーティの一員で、剣聖と呼ばれ称えられた女性だ。
英雄の一人である彼女だが、評判はあまり宜しくない。
剣聖という役目がありながら、城に一年以上も籠り、勇者と淫らに盛りまくっていたと人々の間では伝わっていたからだ。その光景を見たメイドや、使用人などが実際に居たことも噂が広がる原因になっていた。
噂と言うか、事実なのだから言い訳しようもないのだが……。王が、英雄のパーティにアリアが入る事になったと民衆に伝えた時には半分は喜び、半分は険しい顔をしたという。
批判の大半は、「あのような淫売は偉大な英雄のパーティには相応しくない!」という男たちや、「色狂いの女はきっと、救世の英雄様を狙って入ったんだわ!」と嫉妬する女性たちのものだった。
アリアの立場は未だに苦しい位置にあった……。
民衆の信頼を取り戻せるかは、これからの行動に懸かっているだろう。
そして、これまた聖女のすぐ傍にいる少女の名はリノ。
スラムでクリスから肉体的にも、精神的にも救われクリスに絶大な愛情を持って依存している少女である。
人々からしてみれば、一部スラム地域以外、何の情報もない少女なのでひょっこりとパーティに入っていても話題にならなかった。
実はかの勇者を仕留めた、ちょっと危ない少女なのだが、その事実は聖女ですらも知らず、また本人も教える気はなく、素知らぬ顔をして今も年相応の少女のようにクリスに甘えている。
救世の旅を再開したクリスたちが向かうのは 水の都アクエリラス。
とても綺麗な水の都市だったそうなのだが、魔王四天王に乗っ取られ、今では想像を絶する魔都と化しているらしい。
勇敢な冒険者たちが何人も向かったが、だれも帰ってこなかったそうだ……。帰って来る者が皆無なので、どういう状況なのか誰も分かってない。
そんな危険な場所だが、クリスたちは臆せずに足を進めていく。
それは、世界を救うため、使命に燃える姿に見えた。
今、英雄たちの次なる死闘が幕を開けようとしていた……!
三章終了です! 次は何時になるのか……。