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勇者に4人の幼馴染が寝取られ……あれ1人様子が?  作者: 鶴沢仁
第二章 聖女と救世の英雄
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聖女の真心

 

 ――どっかに面白そうな不幸な展開落ちてねぇかな。


 そんな事を考えながら、治安の悪いスラム街を歩く。


 王都に来たらまずは、挨拶代わりに聖女ムーブで不幸な人間に施しの救いを与えてやり、名前を上げるのが王道ってもんだろ?そこら辺で両親ぶっ殺された可哀想な子供でもいれば美味しい展開で涎モノなんだが。


 まあ、都合の良い物語みたいに歩いてたら鞭で叩かれ親に売られた可哀想なイベントが転がっているはずもなく、俺様は自らの足で、不幸を探していたわけよ。


 聖女伝説の礎に成れるような絵に書いたようなのが理想形だ。他人の不幸だ、不幸が圧倒的に足りないんだよ! みんな不幸になれや。


 あっ、そうそう、なんで俺様たちが王都にいるのかっつーと、結構話を遡って話さなきゃならねぇな。


 一年くらい前に、アレフの奴が聖勇者になってからよ、俺様たちは魔王軍から人々を護る、救世の旅(俺様命名)を始めたんだよ。元々俺様の聖女伝説を作り上げるために魔王討伐は必須条件だったからな。


 しかもだぜ、丁度アレフの持ってる聖剣……なんだっけ、アロンダイトの中に居る初代勇者君の意思も都合良く魔王倒すぞー!って感じの馬鹿みたいに単純な存在だったからな。俺様が有効活用してやることにした。


 ちなみに関係ねーけど、一年で俺様の胸がかなりデカくなったのはポイントたけーぞ。無垢な聖女、献身の聖女に加えて、豊穣の女神にまでなってしまった俺様はもう神に等しい。


 聖女伝説をある程度成し遂げたら不老不死の薬も探さねーとな。俺様の美が劣化するなんて宇宙規模の損害を許すわけにはいかん。


 どこまで話したっけか、ああ。聖剣手に入れて旅をしたわけよ。


 マグマが噴き出る灼熱の大地だったり、魔王軍が暗躍していた台風が止まない風の丘とかも行ったなー。氷に覆われた終末の村もキツかったぜ。


 新しい場所に行く度に、アレフの糞野郎がスキルを手に入れて調子こいてんのか毎日死にそうな戦いを始めるから、俺様の魔力が枯渇するほど、毎度毎度回復使わされてキレそうになってたのは覚えてるぜ。


 その所為で、まあ、アレフの奴は今じゃ化け物みたいに強くなっちまって、俺様の防御魔法(プロテクション)Ⅴですら貫かれるレベルなんだよなぁ。襲われたらガチで死ぬ。


 まあ、襲わないだろうけどな。俺様って今までアレフの奴に散々媚び売ってんだから、好意は持たれてるだろう。


 だからって好意が暴走して行為まで発展されたら俺様の精神が死ぬからそっちも嫌だが……。


 さっき言ったような場所で、其処に住む奴ら助けて、感謝されるために一芝居売ったり、茶番劇を開催して人々から感動されてたら、目覚ましい活躍ぶりとかで王都にいる王と王子から呼び出し食らったわけよ。


 大方、最近悪い噂しか聞かなくなった色情魔型勇者のハヤト君に代わって俺様たちを民衆の希望にでも据えたいんだろうけどな。


 あるいは、勇者ハヤトの名声を復活させるために勢いのある俺様たちを一緒に加えて旅をさせるとかか? そんなの……ドロドロの関係が悪化して面白くなる予感しかしねぇじゃねぇか……涎が止まらねぇな。


 んで、来たわけだが三日も早く到着しちまって手持無沙汰なわけよ。それで、不幸を探そうキャンペーン開催中って訳だ。


 そうこう説明してるうちに人通りが少ない裏道まで来ちまった。すんませ~ん、不幸落ちてませんか!新鮮な不幸欲しいです~……なんちゃって。


 ん? おっおっおおお! 小汚い恰好した少女が汗だくで走ってやがる! しかも! 後ろからいかにもな連中が三匹! 不幸の香ばしい香りが俺様を刺激してやまねぇ……!


 ひゃー我慢できねぇ! 俺様の聖女伝説の礎にしてやるっ!!


 求めていた不幸を見つけて、俺様の興奮は最高潮だぜ!アレフの奴は置いてきたけど、何か知らんがどこにいても毎回、俺様の居場所がすぐバレて合流するから後で来るだろ。


 飼い犬(アレフ)におこぼれを譲ってやるのも飼い主(クリス)の役目だからな。


 そこの行き止まりで、待ってろよ不幸少女、俺様が最高の茶番をコーディネイトしてやるぜ!

 俺様は、耳を澄ませ奴らの会話を聞き、最高のタイミングで役者三匹と不幸ちゃんに声をかけた。


「あなた達は、何をしているんですか?(思ったより乱暴されてねぇっ!? 服くらい剥いとけよ無能共!!)」


 乱入した俺様は不甲斐ない役者共にガチギレした。当然だろ?不幸少女の状態が酷くねぇと俺様の感動値が下がるだろうが。不幸ポイントを稼げなかった……。


 この見掛け倒しの無能共はアレフの奴から処分してもらおう。どの道、アレフが来たらこいつらの末路は決まってるけどな、ぐへへ。


 そんなことを考えながら、どういった茶番劇にするか考えを巡らせていった。


 いかに美しく、いかに人を想い遣ってるか、清廉潔白に纏っている純白の聖女の衣が俺様の心のようにアピールしていくのがセールスポイントである。


 今日も俺様は、最高の聖女ムーブを発揮していた。

クリスだけはブレない感じで……良い人かどうかは置いといて。

ストック切れたので、ここからは鈍足! 気長に待ってね!

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