表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/105

第073話:各チームの様子

6月25日(木)、ダンジョン・バスターズ第一巻が発売されます。

初版特典としてサイドストーリーの付録がついてきます。楽しんで下さいませ!

【福岡空港 霧原天音】

 福岡空港一階の到着口を出た私たちを一人の男が待っていた。


「霧原、久しぶりだな」


「内村くん、迎えに来てくれてありがとう」


 彼の名は内村洋介、私と同じ国立大学を卒業して、警察庁にキャリア組として入庁した同期だ。現在は、福岡県警博多警察署の副署長の椅子に座っている。組織人としては優秀だが、一人の男としては少し物足りない。「(オス)」を感じさせないのよね。

 空港を出ると、タクシー乗り場に覆面パトカーが三台停まっていた。私のチームは合計五名、二台で足りるはずだけれど、どうやら私に話があるらしく、私と彼で一台の車に乗ることになった。


「それにしても、霧原が警察官を辞めて、ダンジョン冒険者になっていたとはな。最初は耳を疑ったよ」


「あら、私は別に女性初の警察庁長官を諦めたわけじゃないわ。もうすぐ、本庁に戻ることになるし……」


「は? そうなのか?」


「警察庁内に新設される『犯罪冒険者対策本部』にね。民間人冒険者の数が増えてきている。その中から、いずれ犯罪者が出るでしょう。相手が高ランクのダンジョン冒険者だった場合は、警察はおろかSATでさえ太刀打ちできないわ」


「まさか」


 冗談だと思ったのか、運転しながら彼は笑っていた。けれど、私が真顔のままなのを見て、咳払いする。


「……本当なのか?」


「お望みなら、福岡市内のすべての暴力団事務所を私一人で潰してあげましょうか? 今日一日で可能だわ」


「おいおい、そんな……」


「冗談よ」


 私がようやく笑うと、彼は安心したようだ。あら、勘違いしてないかしら。潰さないだけで、潰せないわけじゃないのよ? それを知ってか知らずか、彼は前を向いて話題を変えた。


「ダンジョンに対しては、俺たち警察官全員、『借り』があるからな。霧原たち以外にも、警察から何人か冒険者になったそうだ」


 そう言って表情を険しくする。「借りがある」という言葉には、私も同感だ。キャリア、ノンキャリアなど関係ない。警察組織の人間がダンジョンに殺されたのだ。この日本の地下で得体のしれない化物が好き勝手に暴れている。警察官であることに誇りを持つ者ならば、誰もが座視できない。


「大阪府警だったわね。いまのところ、日本人でただ一人の犠牲者……」


「そうだ。亡くなった佐藤巡査部長……いや、二階級特進して警部になったんだったな。面倒見のいい人だったらしく、慕っている人も多かったそうだ」


「息子さんが、冒険者になっているわ。父親の仇を討つつもりよ。一度会ったことがあるけれど、復讐に燃える眼差しに、少し危うさを感じたわ。もし元警官の冒険者が他にもいるのなら、彼の支えになるといいんだけれど…… 冒険者の情報は極秘だし、確認できないわね」


「大阪府警に知り合いがいる。俺の方で聞いてみよう」


 車は都市高速環状線を下りて市街地に入る。ダンジョンは呉服町の「蔵本交差点」近くに出たそうだ。交差点のど真ん中だったら大問題だが、幸いなことに歩道だったらしい。現在は一部を通行止めにすることで対応しているが、将来的には歩道を地下に潜らせるという案が出ている。


大博(たいはく)通りと昭和通りの交差点だぞ? 通行止めになんてしたら、博多の交通が麻痺する。正直、県警としてはダンジョンを潰してもらいたい」


「ダンジョン省の方針は、今のところは『保存』よ。気持ちはわかるわ。横浜新道に出現した当時、私が担当したんだもの。基幹道にダンジョンが出現したら、交通整理する側としてはたまったもんじゃないわ」


 車は博多祇園にあるヤマトロイヤルホテルに入った。一泊三万円の高級ホテルだが、すべて経費で落ちる。ダンジョン・バスターズは地方出張では宿泊先にこだわる。精神的疲労はポーションでは治らない。休息こそが最大のストレス解消法だからだ。


「では姐さん、行ってきます」


 チェックインを済ませると、メンバーたちは中洲へと繰り出した。私はまだやることがあるため、別行動をする。待たせていた内村と合流し、蔵本交差点へと向かった。ダンジョンが出現した歩道は通行止めとなっており、陸上自衛隊がバリケードを設置して警備にあたっている。そればかりかパトカーも数台集まり、大博通りは半分が封鎖されていた。

 私は首を傾げた。場所が場所だけに通行量は多い。だがそれにしても警備が厳重過ぎはしないだろうか。


「随分と警備が厳重ね。横浜や金沢でも基幹道にダンジョンが出現しているけれど、ここまで厳重な警備体制は取っていなかったわ」


「あぁ…… 以前はここまでじゃなかったんだが、東京オリンピック以後だな。内国がベニスエラに協力すると表明しただろ? ここはもっとも内国に近いダンジョンだし、今後は民間人にも開放されるかもしれない。博多には、釜山からの観光客も大勢来るからな。念の為だ」


 内国ことウリィ共和国は、ベニスエラ国内の石油プラント施設立て直しなどで技術協力を表明した。これにより、ベニスエラ国内の産業が回復すると見込まれているが、ガメリカをはじめとして南北米大陸の各国は遺憾を表明している。

 十一月にサウードアラブ王国で開催される二〇カ国首脳会議において、ジョーカーと先進国との仲介を表明するとみられている。もっとも、日本もガメリカもEUも、まともに相手にはしていない。大東亜人民共産国でさえ「主張は勝手だが我が国の考えとは異なる」と不快感を表明したほどだ。


「事件になっていないから報道こそされていないが、観光に来た内国人が博多ダンジョンの周辺をチラチラと様子見しているらしい。自衛隊の人に話を聞いたが、動きからして軍人と思われるそうだ」


「内国はIDAO(国際ダンジョン冒険者機構)に加盟していないものね。情報が入らずに焦っているんでしょう。加盟すれば日本だって協力するのに…… 取り締まれないの?」


「外から見ている分には問題ないからな。法を犯しているわけでもないので、警察としても放置せざるを得ない。軍人だとわかったところで、休暇で観光に来たと言われたらそれまでだ。そもそもスパイ活動防止は公安の仕事だ」


 話しながらバリケードの中に入っていく。プレハブが設置されており、その中で博多ダンジョンの情報を確認した。第一層に出現するのは魔物とも呼べないような生物で、簡単に踏み潰せるようだ。札幌ダンジョンと同じと考えていいだろう。


「問題ない。地上時間で明日中には、討伐できると思うわ」


「早いな。明日か」


「ダンジョン討伐もオフィスワークと同じよ。ダラダラしたところで時間の無駄。期限を決めて一気呵成に終わらせる。仕事をするときの常識でしょ?」


 折りたたみ椅子から立ち上がり、伸びをする。その私を見て、内村くんが戸惑っているわ。そういえば、今はジーンズとTシャツ姿だったわね。身体のラインが浮き出ちゃったかしら。


「あー…… よかったら、これから食事でもどうだ?」


 下手な誘い方ね。私とヤリたいのなら、せめて人間を超えないとダメよ? エリート官僚の彼が鞭で打たれたらどんな声で鳴くのか、ちょっとだけ興味あるけど。


「ごめんなさいね。ダンジョン討伐の前は溜めておきたいの。ホテルまで送って頂戴」


 私って、こんなに挑発的な女だったかしら。魔物を躾けていたせいか、すこしだけ意地悪になったかも。





【都城ダンジョン 篠原寿人】

 俺が率いている冒険者チームは、一八歳から二五歳までで構成されている。日本には九〇万人以上の難病患者がいる。その中には遺伝的疾患のため、エクストラ・ポーションでさえ治せないものもある。エクストラ・ポーションは後天的な難病にしか効果がない。だけどそれでも、数多くの人を救うことができる。

 この半年間で得たエクストラ・ポーションは僅か一〇〇〇本ちょっとだけれど、それで助かった人の中から、協力してくれる人が出てくれた。それにエクストラ・ポーションが効かないというだけで、一歩進んだ難病研究もある。難病の多くは、遺伝的疾患なのかどうかさえ判明していないものも多い。


「このっ!」


 大きなウォーハンマーを振り回しているのは、俺と同い年の「山村尚美」だ。一〇代の頃に、若年性突発性関節炎に罹り、ステロイドの副作用に苦しんでいた。エクストラ・ポーション一本で完全回復し、ダンジョン冒険者となった。


「Cランクカード、だいぶ稼げたね。Bランクダンジョンって、結構美味しいね」


 一次性ネフローゼ症候群だった「長田陽一郎」が、魔法を放ちながらケラケラと笑っている。妹と同じ病院だった彼は、最初にチームメンバーになってくれた。彼らはまだ幸運だ。エクストラ・ポーションが手に入る俺が偶然、近くにいたからだ。今はダンジョン省が窓口となり、特に重篤な難病患者からエクストラ・ポーションを支給し始めている。だがそれは他のダンジョン冒険者から買い取った分もあるため、価格がどうしても高くなる。

 どんな病気でも治す薬が安価で出回れば、製薬会社はみんな倒産してしまうだろう。和さんからそう言われて納得はしているが、ならばせめて俺たちが渡す分は、無料にしてもらいたい。ダンジョン省にそう交渉し、生活に苦しんでいる家族へは、無料で渡してもらえるようにした。

 もちろん、医学界からは慎重な声も出ている。ダンジョン産のアイテムがどんな副作用を及ぼすのか判明していない以上、投薬はすべきではないという声もある。けれど、そもそも現代医学で治せないから難病なんだ。苦しんでいる本人とその家族たちは、藁にも縋る思いで日々を過ごしている。助けられる可能性があるのに、その悲鳴を無視することなんて俺にはできない。


「みんな、あと一〇体倒したら休憩にしよう」


 第六層はほぼ攻略できた。おそらく次からはBランク魔物が出てくる。休憩後に第七層を確認し、一旦地上に戻るつもりだ。第七層からは和さんや彰さんも出てくるだろう。俺も負けていられない。


「よし。次は俺が行く!」


 腰に刺した剣を抜き、炎を纏わせる。魔法剣士の力、見せてやる!





【都城ダンジョン 江副和彦】

 どうでもいいことだが、都城市の人口は一六万五千人、千葉県浦安市とほぼ同じ人口だ。にも関わらず、ラーメン屋の件数は八〇件以上、浦安市の倍である。こういうのをラーメン激戦区というのだろう。


「そうなんですか。でも、そもそもなんで俺たちラーメン食べに来てるんですか?」


 寿人が文句を言ってくる。地上時間で午前中のうちに第七層まで攻略が進み、いよいよBランク魔物のお出ましである。総力戦前の景気づけに、旨いラーメンを食わせてやりたいという俺の気持ちがわからないのか?


「ダンジョン内の食事は、基本的には鍋物や肉系だからな。事前に旨いラーメンを食うことで、生きて地上に戻ってまた食いたいと思うようになるのさ。ようするにモチベーションだ」


 そんな適当なことを言う。ちなみにグルメサイトで都城ラーメンのランキングを見ると、第一位に出てくるラーメン屋は、じつは繁華街にはない。地場産業振興センターから徒歩数分のところにある長浜ラーメンの店「がんこ」だ。昼飯時ともなれば、多くの客がこの店に来る。入り口には予約表があり、車の中で三〇分待つなんてことも当たり前だ。

 店内はテーブルと座敷があるため俺たち全員が入ることもできるが、さすがに他の客に迷惑であるため、バラバラに入ることにする。他の客たちは、異様な雰囲気の集団が来たため少し引いていた。


「チャーシュー麺大、それと餃子」


 この店の素晴らしいところは、ラーメンの味はもちろん、店員のサービスが良いことだ。予約表にはカウンターでも構わないと書いたのに、テーブル席や座敷席に誘導してくれた。


「うんまっ!」


 出てきたラーメンを全員で啜る。現金なもので文句を言っていた寿人たちも夢中になって食っている。ともすると脂っこいラーメンだが、テーブルの上にある辛子高菜と紅生姜を入れるとアッサリと食えてしまう。ちなみに他に茹で卵も置かれていて、それは自由に食べて良い。


「替え玉! それと持ち帰りで辛子高菜を二〇袋ちょうだい」


 彰が無茶な注文をする。大方、ダンジョン内で飯と一緒に食うつもりだろう。結局、全員が替え玉をしておにぎりまで食べた。これで太らないのが、ダンジョン冒険者のメリットだろう。


「さて、落ち着いたら行くか……」


 店を出ると右手に小さな喫煙スペースがある。そこで一服した俺たちは、徒歩で地場産業センターへと戻った。





 都城ダンジョン第七層では「鬼」が出てきた。Bランク魔物である。正義、倫子、寿人の三人はBランクになっているが、各チームのメンバーはCとDが混在している。このダンジョンで彼らをもう一ランク引き上げるのが、討伐の裏にある目的だ。


「相手はただ一体のみ。皆で連携すればDランクであっても戦える。死にたくなければ、ひたすらに動くのじゃ!」


 各人の戦いぶりを劉師父が細かく指導する。DからCになる以上に、Bランクへの道は険しい。第六層と第七層の安全地帯に拠点を設けているが、それでも精神的負荷によって発狂する可能性もある。三チームを四時間ごとに交代させながら、延々と戦い続ける。

 俺と彰も戦いに出るが、そのときはデバフを掛けられた状態になる。「Bランクダンジョン討伐者」になって以降、こうしたデバフ状態での戦いを続けているが、未だにAランクには届かない。だが劉師父の言葉では、僅かずつだが強くなっているらしい。


「修行は決して裏切らぬ。なぜ武術が、何千年も連綿と続いてきたのか。それは武術においては、努力は才能を凌駕するからじゃ」


 だが、Cランクになった者は複数人いたが、Bランクになった者はいないまま、ダンジョン時間で三〇日間が経過した。この時点で、安全地帯の様子を見ていた俺は地上に戻る決断を下した。


「人数が増えれば、それだけストレスが大きくなる。二層の安全地帯を使ったが、それでも複数チームによる大規模攻略には目に見えない弊害があることがわかった。今日はこれで切り上げて、全員で牟田町に行くぞ。宮崎牛専門の焼肉店があるからな。明日は一日、休みにする。続きは明後日からだ」


 全員がホッとした表情を浮かべる。一〇メートル四方の部屋で、一〇人以上の人間が一ヶ月間も寝泊まりすれば、それだけで疲れる。まして二〇人以上が一ヶ月間、寝泊まりしながら戦い続けるというのは、想像を絶するストレスだ。

 内心では、少し焦りがあるが、それは表情には出さない。Bランカーだけの少数精鋭ならば、すでに攻略できていただろう。だがそれでは他のメンバーが育たない。今後のために必要な投資と考えるべきだろう。自分にそう言い聞かせた。





【東京都江戸川区 ダンジョン・バスターズ本社】

 東京オリンピックが終わった後に来るのは、東京都知事選挙である。その争点は大きく三つであった、一つ目は、オリンピックの熱狂から冷め、日本経済全体の落ち込みが懸念される中、東京都はどのように動くのか。二つ目は、ダンジョンおよびダンジョン冒険者という「ファンタジーの存在」をどのように扱うか、そして最後は、ジョーカーの出現によって二極化した世界で、特に中東やアフリカ、南米系の外国人をどう扱うかという問題である。


《今回の出馬にあたり、私は「三つのゼロ」を公約として掲げさせていただきます。題して「東京都ルネサンス・プログラム」です。その一つ目は「汚職ゼロ」。ダンジョン産のアイテムを使って、東京都の全職員に裏金作り等の汚職をしないという誓約を結んでもらいます。二つ目は「水道費ゼロ」。東京都には幾つもの水再生センター、いわゆる下水処理場がありますが、札幌ダンジョンで採掘される「赤魔晶石」を使えば、下水から重油を生成できるそうです。この重油を売却した利益によって、水道を維持運営していきます。都民の皆さんから水道代をいただかなくても、十分に運営可能です。そして最後に「難病患者ゼロ」です。ダンジョン産のアイテムには、難病患者を治す薬「エクストラ・ポーション」があります。現在はかなり高額で取引されていますが、東京都が補助金を出して、都内に住む難病患者にその薬を優先的に使ってもらえるようにします》


 テレビで現都知事の演説を聞いていた向井は首を傾げた。たしか前回は「八つのゼロ」を掲げていたはずだが、達成状況の検証はどうなったのだろうか?


《ダンジョンなんてものが、この東京都にあっていいはずないでしょう? 南米で暴れているジョーカーは、ダンジョンがある国を攻めています。つまりダンジョンさえ無ければ、日本は安全なんです。私は日本国中のすべてのダンジョンを潰してしまうべきだと考えています。その率先としてまず東京都が、都内にある二つのダンジョンを潰してしまいます。そして神奈川県と千葉県にも働きかけ、関東にあるダンジョンをすべて消します。ダンジョン産の魔石やアイテムなんかに頼らずに、太陽光を中心とした自然エネルギーを活用してエネルギーを得るべきなんです。それと同時に、外国人へのヘイト問題の対策も重要です。姜人学校への補助金を再開し、外国人へのヘイトスピーチを全面的に禁止します》


 元弁護士の候補は、ダンジョンの完全撲滅を掲げている。だがダンジョンは、ダジョン省の管轄であり国政の問題だ。東京都だけでどうこうできる話ではない。そもそも、一般人ではAランクの鹿骨ダンジョンはおろか、Cランクの新宿ダンジョンでさえ最下層には辿り着けないだろう。どうやって撲滅するつもりなのだろうか。


《ハッキリ言いましょう。ダンジョンなんて未知のものは、国レベルで対応すべきものです。東京都のような地方自治体は、もっと身近な問題に取り組むべきです。身近な問題とはなにか。ジョーカーに与する「半島人」の問題ですよ! あの国は未だにベニスエラと国交を結んでおり、さらには技術供与までするんですよ? にも関わらず、日本には年間何百万人もの半島人がやってきます。その中に、魔王を自称する危険人物の手下がいないと言い切れますか? 私の公約は、東京都から半島人を追放すること。そして東京都に来るすべての外国人に、日本国内で犯罪行為を行わないよう「誓約」してもらうことです。これは可能です。日本国内のすべての空港に、ダンジョンアイテム「誓約の連判状」を置けばいいんですから》


 国粋主義的な主張をしている「元活動家」の演説を聞いて、向井は苦笑した。言いたいことは理解できるが極端すぎる。魔王ジョーカーの対策は重要だし、外国人への警戒心が強まっているのも事実だが、いきなりこんな政策を実行したら、世界中から日本は叩かれるだろう。


「向井さん。応援演説の依頼が来ていますが……」


「またですか。ダンジョン・バスターズは如何なる政治的主張にも与しないと言っているのですが……」


 やれやれという気持ちで、向井はテレビを消した。


作品紹介文などでもお断りをしていますが、本作はフィクションです。実在の人物や団体等とは一切、関係がありません。また著者は如何なる種類の政治的、宗教的、歴史的主張にも与しておらず、完全に中立の立場であることを改めて申し上げておきます。



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
福岡のダンジョンは管理が厳重かあ
[一言] >福岡空港一階の到着口を出た私たちを >私と彼で一台の車に乗ることになった。 >車は都市高速環状線を下りて福岡市内に入る。 福岡空港、福岡市博多区内にあるのですが 一度市外に出て、また入った…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ