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第056話:競争の始まり

投稿が遅くなり、申し訳ありません。来週も週2話の投稿予定です。

【ベニスエラ 大統領府】

 ジョーカーによる政変で混乱の極みにあったベニスエラだが、新大統領としてニコライ・クライドが就任すると、街中を闊歩していた魔物たちは次々と姿を消した。だが刑務所から解放された犯罪者たちが暴動を起こすなど、魔物がいなくなったことで、カラカスの治安はさらに悪化した。警察自体が完全に腐敗しているため、それを取り締まる者も不在なのである。


「ベニスエラ国民の皆さん。現在、我が国は崩壊しています。その原因はなにか? 魔物でしょうか? ですがいま、カラカスの街に魔物はいません。にもかかわらず略奪や暴行が頻発し、それを取り締まるべき警察までも加わっている状態です。私は国民の皆さんに、そして全世界の人々に問い掛けたい。私たちは知っています。ナイフで刺されたら命を落とします。自分の店から品物を略奪されたら生きていけません。暴行された婦女は心身ともに傷つきます。そうした行為はいけないことだと、私たちは知っています。にもかかわらず、カラカスを始めベニスエラ全土にそうした行為を平然と行う者たちが溢れています。私は問い掛けたい。彼らは人間でしょうか。それとも魔物でしょうか?」


 クライド大統領の演説は世界中に同時配信されているが、記者たちは少ない。ベニスエラの政変で、外国人ジャーナリストの大半が国外脱出してしまったからだ。数少ないジャーナリストたちがカラカスに留まり、この記者会見に参加している。


「ベニスエラの未来を考えることが私の仕事です。ですが遠い未来よりも、目の前の危機を脱しなければなりません。国連は、そして豊かな国々は私たちにこう言います。10年後の魔物大氾濫を食い止めるために、ダンジョン討伐に協力せよ…… ですが残念ながら、ベニスエラは10年後どころか、1年後には無くなっているかもしれません。私たちに必要なのは、10年後を生きる権利ではなく、今日を生きる糧なのです。ダンジョン討伐に協力せよと言うのならば、今後10年間を生きる糧を、私たちに与えていただきたい。あるいは、いまを生きることが困難な国民たちを、貴方たちの国で受け入れてもらいたい。『協力せよ、ただしこちらは協力しない』では、あまりにも理不尽ではありませんか」


 演説原稿のページをめくる。本人の意志に反して、真剣な表情と力強い言葉で、貧しき者の主張を行う。


「それが受け入れられないのであれば、我が国は国連を脱退します。私たちと同様に、今日を生きるために苦労している国々と手を取り合い、独自のダンジョン政策を行います。魔物大氾濫が発生して困るのは、持てる国々だけです。私たちは困りません。10年後に生きているかもわからないからです。ベニスエラが提唱するダンジョン政策は、富の分配です。先進20カ国は、それぞれ年間GDPの20%を、他の180カ国に分配していただきたい。それが、魔物大氾濫をオフにする条件です」


 記者たちがどよめく。これは脅迫である。最貧国であるベニスエラが、ガメリカや日本、EUにナイフを突きつけた。そしてそれを食い止めるには、誰とも知れないダンジョン討伐者を殺すしかない。つまりベニスエラ3千万人を皆殺しにする以外、止められないのだ。


「我が国には、すでにダンジョン討伐者が存在します。そして時間が経つとともに、その数はどんどん増していきます。豊かな国の人たちは、よく考えていただきたい。自分の年収の20%で、10年後を買えるのです。10年後に死にたいか、それとも10年後も生きたいか。卑怯と言われようとも構いません。私たちは失うものなど無い。これが『持たざる者』の強さです」


 フラッシュが一斉に焚かれた。





【ガメリカ合衆国 ホワイトハウス】

「ファーックッ!」


 今年で74歳になる大統領は、激昂して執務机を殴りつけた。ベニスエラ大統領の記者会見は、ガメリカの威信を傷つけるのに十分であった。「Make Gamerica Great Again」を標榜するハワード大統領にとって、この脅迫は宣戦布告に近いものであった。


「望み通りにしてやろうじゃないか。ベニスエラを空爆して更地にしてやれ!」


「大統領、落ち着いてください。空爆したところでダンジョン討伐者が生存していれば意味がありません。私であれば、この記者会見後にはカラカスにはいないでしょう」


 興奮する大統領を補佐官が止める。ハワードは肩で息をしてドカッと椅子に座った。ダイエットコークを一気に飲み干す。


「気になるのは南米、アフリカ、中東の貧困国です。特にアフリカは、確認されているだけで100以上のダンジョンを抱えています。ジンバブエ、スーダン、ウガンダ、ソマリア。さらに中東諸国まで加われば厄介なことになります」


「南米で同調しそうな国は?」


「最大人口国であるブレージルとコロビアンは問題ないでしょう。最南端のアルジャンテンも、G20に入っていることを考えると、同調する可能性は低いと思います」


「とすると、ベニスエラは少なくとも南米では孤立無援というわけだな? ならば軍事行動を起こしても問題はないだろう」


「大統領、繰り返しになりますが軍事行動を起こしても意味がありません。今回のターゲットは国ではなく個人なのです。しかも相手はダンジョン討伐者です。ベニスエラ全土を空爆しても、確実に殺せるとは断言できません」


 ハワードは不機嫌な表情を浮かべ、机のボタンを押した。ダイエットコークが運ばれてきた。





【東京都 首相官邸】

 ベニスエラの情勢については、日本国政府も情報を掴んでいた。クライド新大統領の宣戦布告とも取れる記者会見後、対応策を検討するために閣僚たちが集まる。


「無視してもいいんじゃねぇか? 完全にイカレてるだろ。ありゃ……」


 相馬財務大臣が苦笑いする。ここにいる誰もが、内心では同じ気持ちであった。だがなんらかのリアクションをする必要がある。対ベニスエラというよりは、国民に対してという意味で。浦部総理大臣が顔を引き締めて方針を打ち出した。


「政府としては、このような馬鹿げた要求を飲むことはできません。ダンジョンを討伐してほしければ金をよこせ。テロリストの要求そのものです。ベニスエラに対して断固として抗議し、一週間以内に改善されない場合は国交を断絶してもよいと考えます」


 5月下旬の通常国会閉会に合わせて、衆参両院の解散が行われる。参議院は本来であれば8月選挙だが、東京オリンピックを考えると早めたほうが良いということで、公職選挙法の特例条項を適用することが与野党で合意されている。5月29日解散、6月28日投票ということで、党内調整はすでに終わっていた。


「情報では、ダンジョンアイテムの中には相手を洗脳してしまうような道具もあるとのことです。例のジョーカーが、それを使った可能性は高いでしょう」


「まず間違いないでしょう。ですが証拠がありません。ベニスエラが政府の公式発表として、あの会見を行なった以上、我が国も毅然とした態度を取るしか無いでしょう。ですが問題は、他に同調する国が出ないかです。最も気になるのが、大姜王国です」


 反米の貧困国といえば、東アジアでは一カ国しか無い。そしてその国がベニスエラに同調するということは、日本の安全保障に重大な影響を与えることになる。


「その時は、ルーシー連邦、大亜共国、ウリィ共国と連携して封じ込めるしかありません。この会議後にペドロフ大統領、周主席と電話会談を行います。両国ともマドゥーラ前大統領を支持していましたが、さすがにこのような要求は認めないでしょう」


「総理。ルーシー連邦、大亜共国以上に気になるのが、ウリィ共国です。パク大統領は反米親北の左派大統領です。もし大姜王国がベニスエラに同調するようなことがあれば、彼らは決断を迫られます。世界を救うのか、それとも滅ぼすのか」


 それに対して、浦部総理は明確な回答ができなかった。本音を言えば、これまでのわだかまりを一時的に無視してでも、パク大統領と電話会談し協調体制を整えたいと考えていた。だが国内の嫌内感情を考えると、うかつな行動は取れない。対応を誤れば、選挙にも大きな影響が及ぶ。


「まずは大姜王国の出方を見極めましょう。彼らとて破滅は望まないはずです。ベニスエラに同調しないという可能性も十分にあるのですから……」


 そう答える浦部総理自身も、その可能性が低いことは解っていた。何十万人もの餓死者を出しながらも、ガメリカに膝を屈することを拒否し続けた国である。


(ガメリカを道連れにできるのならば本望……)


 彼らならそう考えてもおかしくはない。「持たざる者」の怖さをここにいる誰もが感じていた。





【ダンジョン・バスターズ】

 2020年5月のゴールデン・ウィークは、昭和の日から2日空けての5連休、2日平日で土日となる。人によっては4日間の有給休暇を取得して、12連休にするそうだが、俺たちダンジョン・バスターズは平常運転だ。札幌、船橋、横浜、金沢のダンジョンは、ブートキャンプや魔石採掘の予約で埋まっている。そのため、鹿骨本社にはバスターズのメンバーが勢揃いしていた。全員で時間を決めて、Aランクダンジョン「深淵」に入り、ランクアップを目指す。


「Dランク以下のメンバーは、第二層、第三層を使ってランクアップを目指してくれ。倫子、正義、天音、寿人は第四層でBランクを、そして俺と彰は第五層以上でAランクを目指す」


「兄貴、パーティーごとの連携訓練はどうするの?」


「それはランクアップ以降だ。特にCランクになれば、Dランクとは隔絶した動きが可能になる。現在の連携の仕方を見直したり、あるいはバリエーションを増やしたりすることもできるはずだ」


壁一面に貼られた世界地図を見る。赤いピンが数百本刺されている。その中で青いピンが2本、白いピンが2本あった。そして黒いピンを指で摘み、ベニスエラの場所に刺した。


「これまでは、この赤いピンを青か白にすればよかった。だがここに、黒いピンが現れた。コイツは討伐しておきながら、大氾濫をオフにしないというイカレ野郎の仕業だ。ジョーカー。俺たちバスターズとは対極の思想を持つ奴だ。連中は、大氾濫を起こして人類を滅亡させるべきだと考えている。コイツらとは競争だ。黒ピンが一つ増えるたびに、人類は滅亡に近づく」


 全員を見渡す。真剣に受け止めているようだ。バスターズへの加盟条件は「自分以外の何かのために、戦う理由があること」だ。そうでなければ、暗いダンジョンの中で危険な魔物を相手に、何年も何十年も戦い続けることは難しい。魔石採掘者の多くが「そこそこ稼ぐレベル」で留まっているのは、ダンジョンで戦うこと自体に、精神的負荷が大きいためだ。利己的な理由だけでは耐えられない。


「向井さん、これから全員がダンジョンに出入りします。各メンバーのスケジュールと獲得した魔物カードやドロップアイテムの管理をお願いします」


「お任せください。既に記録表も揃っています」


「睦夫たちは5日まで休みをとっていますが、6日からミッチリ働かせてください。今後を考えると、セキュリティをさらに強くしておくべきだと思いますから」


「あれはあれで、良い宣伝になってます。もっとも本人たちは『趣味』らしいですけどね」


 睦夫たちは現在、有明にいる。ゴールデン・ウィーク中に開催される「スーパーコミックセール」の準備のためだ。今年の展示は昨年を大幅に超える規模にするらしい。朱音のフィギュアやエミリのローアングルポスターを見たときは、さすがに止めようかと思ったが……

 気を取り直して、茉莉の母親に顔を向ける。茉莉と慎吾が手伝って深淵でブートキャンプをしたようだ。20代半ばくらいにまで若返っている。娘と一緒に歩いていたら、大抵の人は「姉」と勘違いするだろう。


「詩織さんは、食事と洗濯をお願いします。主要メンバーは『異空間の革袋』を持っていますが、ダンジョン内では炊事がかなり制限されます。1日4食と大変だと思いますが、食事は、ランクアップに大きな影響を与える重要な仕事です」


「主婦10人で回しますから大丈夫です。お肉を多めにしておきますね」


 ふんわりと笑顔を見せる。全員がそれぞれ試行錯誤して装備を整え、ポーション類も大量に用意している。準備は万端だ。


「よし、では始めるぞ。パワーレベリング開始だ!」


 おぉっ!という雄叫びをあげ、全員がAランクダンジョン「深淵」に入った。





【バチカン教国 クルセイダーズ】

「申し訳ないが、お断りする」


 クルセイダーズのリーダーであるロルフは、提案を無下に断った。ライヒ騎士団の幹部から「自分の息子もクルセイダーズに入れてくれ」という依頼があったのだ。聖ヨハネ騎士団、テンプル騎士団からも同様の依頼が来ている。これらの依頼は、バチカン教国のDRDC(Dicastery for Reconquista of Dungeon Crusaders)長官である坂口・ステファノ・宏を通じてのものであったが、ロルフにとってはそれも小賢しいと感じていた。


「我々クルセイダーズは、金銭欲や名誉欲のために戦ってはいない。ダンジョンを討伐し黙示録を回避する。そのためだけに戦っている。同じ志を持つならば、なにもクルセイダーズに入る必要はない。各騎士団で似たような組織を作ればいい」


「同感だね。大方、本人ではなく親の考えだろ。クルセイダーズが有名になったから、自分の子供を参加させようっていう腹づもりじゃん? 俺たちは設立メンバーだから仕方ないとしても、後から続く奴は自分で手を挙げてほしいよね」


「既にEU圏内では民間人冒険者制度が始まっている。各国それぞれ数百人の希望者が殺到しているそうではないか。私たちと共に戦いたいというのなら、まずは姿勢を見せてほしいものだな。活躍すれば、私たちから声を掛けよう」


 マルコとアルベルタも、ロルフの意見に首肯した。坂口もこの反応を予想していたらしく、推薦状を机の上に放り投げて苦笑した。このような欲の見え透いた提案は論外であるが、現実問題としてクルセイダーズの規模はもう少し大きくしたい。手本としているダンジョン・バスターズは既に30人以上の民間人冒険者が加わり、さらにはハイスクールの生徒まで見習いとして参加しているのだ。6人のクルセイダーズだけなら、EU圏内のダンジョンを討伐している間に10年が経過してしまうだろう。

 かと言って、有望なら誰でもというわけにもいかない。騎士団の子女という点は譲ったとしても、「十字軍」である以上、その構成メンバーは教会から洗礼を受けたカソリック教徒でなければならない。つまり最初から、母数が限られているのだ。その点をロルフたちに相談すると、妥協案が出された。


「まずは各国の民間人冒険者であること。そしてクルセイダーズに加盟する手土産として、魔物カード100枚を持参すること。これならば受けても良いと思う」


「名案ね。魔物カード100枚ってことは、Fランク魔物を最低3千以上倒す必要があるわ。親に言われただけの人に、そんな実績は作れない」


「一応、各国の運営局に実績確認もしたほうがいいんじゃない? 昔のアタイなら、男たちに戦わせてカードだけ集めさせる、なんてことも考えるだろうし」


「フランカ、そのようなことを考えるのは不道徳です」


 レオナールに窘められて、フランカは肩を竦めた。品性方正なレオナールと、ローマの下町を徘徊する非行少女のようなフランカだが、意外にも仲は悪くない。6人を見ていて、坂口はバスターズ代表の報告書を思い出した。


(クルセイダーズの6人は、完成されたチームになっている。今後、人員を増やす場合は別途で6人を用意したほうが良い。下手にバラバラにすると、クルセイダーズそのものが瓦解する可能性が高い)


「皆さんのご意見はわかりました。ロルフからの提案を受けましょう。この推薦状には、魔物カード100枚を持参せよと返します。おそらく、半分以上が取り下げてくるでしょう」


「半分も残れば上等ではないか。もし本気で冒険者になり、共に戦いたいのなら、私は拒否するつもりはない。喜んで、剣の稽古をつけよう」


 こうした話し合いの結果、新たに5人がクルセイダーズに加わることになるのだが、それは少し先のこととなる。





【ベニスエラ マラカイボ】

首都カラカスから西へ600キロ、ベニスエラ第二の都市マラカイボは、南米最大の湖「マラカイボ湖」の湖畔にある。サンタ・リタの街から長さ8キロ以上に及ぶラファエル・ウルダネタ橋を渡ると、石油で栄えた商業都市が見えてくる。

 マラカイボ湖は、落雷で有名な湖だ。「カタトゥンボの雷」と呼ばれる自然現象で、1時間に200以上、雷の閃光が走り、それが一晩中、10時間に亘って続き、そんな夜が年間で150日あるのだ。大航海時代には「マラカイボの灯台」と呼ばれ、400年以上に亘って続いている。

 そんな落雷多発地帯を横断する大橋を2台のバスと1台のトラックが走っていた。3台はそのままマラカイボの旧市街地カラボボ通りへと入る。やがて大通りの一角で止まった。


「通りを全て封鎖しろ! 他の車を入れるな。それと食い物の調達だ。肉とパンを確保してこい! 略奪はするなよ? ちゃんと米ドルで支払ってやれ」


 屈強な男たちがバスから降り、指示に従ってあたり一面を封鎖していく。全員が武装しているため、通りを歩いている人はすぐに逃げ出した。


「結構結構。どうせマドゥーラが不当に貯めたカネだ。ジャンジャン使って、国民に返してやれ」


 バスの中からピョンと飛び出してきた痩せた男が、ヒャヒャヒャと笑う。ピエロのような化粧をし、原色系の派手な服を着ている。咥えていたタバコをポイと投げ捨てた。


「ボス、ありました。ダンジョンの入り口です」


 ジョーカーはスキップをしながら、カラボボ通りに出現したダンジョンに向かう。部下がビデオカメラを構えている。ジョーカーはそれを掴んで、画面に向けて言葉を吐いた。


「見ろよ。これがベニスエラに出たダンジョンだ。俺たちはこれからコイツを討伐する。もちろん、大氾濫はオンのままさ。はやくしねぇと、俺も誰がどこを討伐したか忘れちまうよ~ マネーだよ、マネー。死にたくねぇんなら、お前らが蓄えてるカネを吐き出せ。さもないと……ヒヒヒッ……ホントに死ぬぞお前ら……ヒヒャハハハッ!」


 画面を切ると、ジョーカーは真顔に戻った。10人以上の男たちが整列している。やがて数枚の袋を下げた男たちが走ってきた。


「ボス、食料を買ってきました」


「よし、お前らはここで交通整理してろ。一人千ドルずつ渡しておく。これで好きなの食いな。解ってると思うが、俺たちは政府公認の軍団(レギオン)だ。皮剥されたくなかったら、略奪も暴行もするんじゃねぇぞ?」


 男たちは震え上がった。以前、ジョーカーの命令を無視して略奪した男は、生きたまま皮を剥がれて殺された。だが命令をちゃんと守れば、カネや食い物をくれる。千ドルあれば女だって買える。裏切る部下は皆無に近い。皆がこの男に魅せられていた。


「よし、行くぞ」


男数人を地上に残し、ジョーカーは地下へと続く階段を降り始めた。


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魔王が人心掌握しておる!
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