第041話:世界最大宗教組織、動く
予約時間を間違えました。遅くなりまして申し訳ありません。
【バチカン教国】
ダンジョン、そして魔物の出現という超常現象は、宗教の世界においても大きな衝撃を与えた。ガメリカ国内では大統領命令により、新興宗教組織の立ち上げが禁止された。中東にある三大宗教の聖地には、前年を遥かに超える人々が巡礼に訪れている。教会では告解を行う信者たちが増え、日曜日の礼拝には大勢が詰めかけるようになった。
だが、人々がどれだけ祈ろうとも、救いを齎す神は降臨していない。ダンジョンという現象の前に、なぜ神は姿を現さないのか。不安を懐きつつも、人々は今日も天に祈り続けるのであった。
10億人の信者を抱える世界最大の宗教団体「カソリック教会」、その総本山であるバチカン教国は、西暦326年にコンスタンティヌス1世によってこの地に教会が建てられて以来、カソリック教会の中心として、ヨーロッパのみならず世界の歴史に大きな影響を与えてきた。人口は僅か800人強の軍隊も持たない小さな国だが、その影響力は極めて大きい。
バチカン教国は、今でこそ軍事力を持たないが、かつては非常に強力な軍隊を有していた。その中でも、十字軍遠征で活躍した3つの騎士団は有名で、現在でも騎士修道会として存続し続けている。
時は少しだけ遡る。江副和彦率いるダンジョン・バスターズが世界で最初にダンジョン攻略に成功したというニュースで賑わっていたころ、バチカン教国ローマ教皇庁には、三大騎士修道会の総長が集まっていた。70過ぎと思われる老人の前に、3人が跪礼する。
「ライヒ騎士団総長アウグスト・クレイマー、御前に」
「聖ヨハネ騎士団総長ジャン・ボナパルト、御前に」
「テンプル騎士団総長フィリップ・ド・ペリゴール、御前に」
三人が跪礼している相手こそ、カソリック教徒の最高指導者「教皇フランチェスコ」である。教皇は頷き、秘書長に視線だけ送った。秘書長は一礼し、扉の外に出ていった。
「かつて、カソリックを支えた3つの騎士団が、こうして集まってくれたこと、心より感謝します」
「畏れ多いお言葉……」
教皇の感謝の言葉に、三人は一斉に頭を下げた。フランチェスコは頷き、言葉を続ける。
「いま、世界は大変な苦境に立たされています。主は、克服できぬ試練はお与えにはなりません。ですが、人の心は弱きもの。ダンジョンという危機を前にして、信仰に揺らぎを持つ者もいるようです。私たち教会は今こそ、人々を導かねばなりません。そこで、三大騎士団の総長の方々に集まってもらったのです。騎士団の旗を掲げ、ダンジョンを攻略してもらいたいのです」
「発言を……」
ライヒ騎士団総長のアウグストが顔を伏せたまま口を開いた。教皇の許しを得て三人が頭を上げる。
「私たちは騎士団とはいえ、十字軍の頃のような力は持っておりません。信仰の心こそ劣りませんが、それぞれが社会的にも地位のある者たちばかり…… ダンジョンを攻略するためには、若く、そして信仰心の篤い者を選ばなければならぬと愚考いたします」
ヨーロッパ三大騎士団は、かつては十字軍遠征やレコンキスタなどで活躍したが、今では名士たちが集まる社交クラブとなっている。当然ながら平均年齢も高く、とてもダンジョン冒険者として戦える者たちではない。教皇もそれは承知していた。
「各騎士団から2名ずつ、20歳前後の候補者を挙げていただけないでしょうか。最近の若者は、あまり礼拝にも参加しないようですが、ダンジョンという未知を相手にするには、柔軟な若者が良いでしょう」
「猊下、若者を候補とすることに異はありませんが、ダンジョンとおっしゃいましてもヨーロッパでは欧州合同軍がダンジョンの警備と探索に当たっています。これから始まるダンジョン冒険者運営制度に加わる、とのことでしょうか?」
間もなく国連でIDAO設立が決定されるとはいえ、ヨーロッパではこれから、EU管轄でダンジョン冒険者制度がスタートするのだ。日本の試験運用を参考に考えられた制度で、多数の参加者が見込まれていた。その中で騎士団推薦のメンバーを挙げても、数の中に埋もれてしまうのではないか。テンプル騎士団総長フィリップ・ド・ペリゴールの質問という形での意見に、他の2人も頷いた。だが、その問いに対する教皇の言葉は、予想外のものであった。
「確かに、このヨーロッパでも冒険者制度が始まります。ですが、ダンジョンが出現してからはや半年、多くの国々では、未だに攻略が進んでいません。主の尖兵として、騎士団の旗を掲げる以上、最前線での活躍が求められます。そのためは、もっとも強い冒険者の下で学ぶのが一番でしょう」
「では……日本に?」
驚いた表情を浮かべる三人に教皇は微笑んで頷き、そして顔を引き締めた。
「バチカン教国教皇として、三大騎士団総長に命じます。各騎士団は2名ずつの男女を選出し、十字軍を結成しなさい。そして、神の尖兵としてダンジョンを攻略するのです」
「「「ハッ」」」
これが、後にダンジョン・バスターズに比肩する知名度を持つようになる「クルセイダーズ」が誕生した瞬間であった。
「これは、断ることはできないのかしら?」
防衛省ダンジョン冒険者運営局長の石原由紀恵は、スラリとした長い足を組んで溜息をついた。国際政策課長が持ってきた案件は、もはやイチ部局の判断を超えていた。
〈バチカン教国はダンジョン群発現象という危機に対し、十字軍を結成、大氾濫という黙示録を回避すべく、ダンジョンの討伐に乗り出す。ついては、6名の十字軍養成のため、日本国およびダンジョン・バスターズの助力を得たい〉
簡単に言えばこういうことである。これがガメリカなどの国であれば断ることもできた。だがバチカン教国は国連未加盟国であり、当然ながらIDAOにも加盟していない。国土が狭いためダンジョンも出現していない。バチカンの狙いは、ダンジョン群発現象を機として「カソリック教の権威」を高めることだ。無論、聖職者としての奉仕の気持ちもあるのだろうが……
「教皇庁から日本政府に、正式な依頼として届いています。未確認ではありますが、宮内省には教皇猊下から、陛下への私信も届いているとか……」
石原は舌打ちした。権威の象徴である主上は、権力には口を出さない。だが、その御心を計り知ることはできる。教皇からの依頼となれば、宮内省を通じてやんわりと政府に伝わっているだろう。
「断ることは不可能だわ。教皇の勅命を受けた騎士団が、十字軍を結成してダンジョン討伐に挑む…… これほどの大義は無いわ。この依頼を断ろうものなら、世界10億人のカソリック教徒が日本の敵に回ってしまう」
「外務省からも、全面的な協力をと懇願されています。ですが問題は、ダンジョン・バスターズが了承するかどうか……」
「討伐者としての修業をつけてくれと言われたら、恐らく彼は断らないわね。ダンジョン・バスターズの宣伝にもなるし、デメリットよりメリットのほうが大きいわ。リスクもあるでしょうけど……」
リスクとしては、江副和彦が「第一接触者」であることが露見する可能性だろう。だが育成を宍戸彰に任せれば、そのリスクも大きく下がる。ダンジョン・バスターズに加わった新たなメンバーは、早くも全員がDランクになっていた。恐らく2月中には、多くがCランクになっているだろう。ホームページには育成方法が動画とともに紹介されているが、その内容は「狂気」そのものだ。特戦の猛訓練が可愛く見えるほどに厳しい。
「受け入れは来月からね。その6名のプロフィールを出して頂戴。彼を説得しなければならないし、冒険者運営局としても把握しておきたいわ」
すでにその指示を予想していたらしく、国際政策課長は抱えていたファイルから書類を提出した。
【江副和彦】
金沢ダンジョンに潜ってから、3日が経過した。それまで倒したエルダー・オークの数はおよそ7千体、使ったポーションは数え切れない。殺戮マシーンと化して、ただひたすら戦い続ける。20戦ごとに振り返り、修正し、そして試す。自分で言うのもなんだが、俺は狂っているのではないかと思う。エミリや劉峰光、ミューもプリンも、Bランクへと上がっていた。キャラクターカードや魔物カードと人間の違いは、強化因子を吸うだけでは、なにも変わらないということだ。膨大な時間と狂おしいほどの連戦の果てに、ほんの微々たる成長がある。FランクからEランクに上がった頃と比べれば、明らかに成長速度は鈍化している。Sランクになるには、数千億の魔物と戦わなければならないのかもしれない。RPGならとっくにレベルカンストしているだろう。
「ブモォォォッ!」
振り下ろされるサーベルを盾で弾き返し、そのまま斬鉄剣を心臓に突き入れる。エルダー・オークの瞳から光が消え、煙となる。既に1体を倒すのに3分を切っていた。今は戦い方を試しつつ、少しずつ技を身につけるための戦いになっている。身につけているウェイトは100キロ、既に重さも感じなくなっていた。
「フォッ! ようやく達したか」
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【名 前】 江副 和彦
【称 号】 第一接触者
種族限界突破者
第一討伐者
【ランク】 B
【保有数】 5329/∞
【スキル】 カードガチャ(585)
回復魔法
誘導
転移
(空き)
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俺と彰でエルダー・オークを倒し続けること約1万8千体、俺はついにBランクへと上がった。最初にCランクになってからここまで、実に5ヶ月が経過していた。
「やっぱり兄貴が先にBランクになったか。僕はあとどれくらいかな?」
「彰もだいぶ追いついてきておる。まぁ、明日じゃな。ホレ、江副よ。スキルの選択はせぬのか?」
「あぁ……少し疲れた。頭が冷めたらやるよ」
「和彦様、顔色が悪いですわ。今日はお休みになられては?」
朱音の勧めもあり、今日はこれで切り上げた。深淵第一層に転移した俺は、そのままベッドに倒れた。
「主人、大丈夫かしら?」
「恐らく、精神的なものじゃろ。いかにランクを上げようとも、人を超えた肉体を手にしようとも、精神までは変えられぬ。ダンジョン・システムが目覚めて以来、ずっと走り続けてきたのじゃ。疲れも出る」
「僕が戦いに集中できるのは、兄貴が全部考えてくれるからだよ。僕なんかよりもずっと、兄貴の負担は大きい。劉師父、僕がBランクになったら、2日ほど休息を入れようと思うんだ。ちょうど金沢だし、温泉もあるでしょ」
後から聞いたが、そんな話をしていたらしい。その時の俺は、ただ泥のように眠っていた。
【劉峰光】
なぜ、ダンジョン・システムが存在するのかは儂も知らぬ。じゃがこのシステムはこれまで、万を超える世界を滅ぼしてきた。記憶が消されているが、世界が滅びたという感情だけは残っている。人の醜さ、愚かさを数え切れないほど見て、儂は絶望していた。最初に顕現させられたとき、儂の中には「どうせこの世界も」という思いがあった。
じゃが今は、僅かな期待が芽生え始めておる。未だ完全起動をせぬうちに、既にBランクまで達した。このまま成長を続ければ、A、S、SSと達するやもしれぬ。もし、二桁を超える者たちがSランクに達したならば、殆どのダンジョンは討伐できよう。江副が立ち上げた組織「ダンジョン・バスターズ」には、才ある者たち、そして意志ある者たちが集まりつつある。彼らをSランクまで引き上げるのが、儂の役目よ。そして今、2人目のBランク者が誕生しようとしておる。
「噴ッ!」
シールドバッシュを弾いた彰が、エルダー・オークの懐に入り、右掌底を鳩尾に当て「発勁」を放った。オークは背中から爆発し煙となる。放つ瞬間、ズンッという震脚の響きが聞こえた。
「見事。勁の奥義を得よったな。あとは功夫を練り続ければ、いずれはドラゴンすらも倒せるであろう」
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【名 前】 宍戸 彰
【称 号】 種族限界突破者
【ランク】 B
【保有数】 0/25
【スキル】 カードガチャ
格闘技Lv1
闘気Lv1
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「彰もついにBランクか。これで条件は整ったな。まだ2月も半ば、時間は十分にある。横浜ダンジョンを攻略するぞ」
「あー、兄貴。ちょっと休んでからにしない? 兄貴も疲れてるし、僕もちょっと休みたいよ」
「ん……そうだな。劉師父はどう思う?」
「そうじゃのぉ。ならあと千体ずつ倒したら、休みとするかの。疲れたところからの踏ん張りができなければ、Sランク討伐など夢のまた夢じゃからのぉ」
決して厳しいとは思わぬ。BランクからAランクに上がるには、これまでより遥かに過酷な負荷が必要じゃからの。この程度で音を上げるくらいなら、さっさと諦めて余命を愉しめば良いのじゃ。ホレ、江副が戦い始めたぞい。
【江副和彦】
石川県には幾つかの温泉地がある。有名なのは能登半島の和倉温泉や、福井方面にある加賀温泉だろう。だが金沢市から遠くない場所にも、温泉がある。それが「湯涌温泉」だ。9つある宿の中で、俺たちは「萬楽荘」に宿泊した。せっかくなので、朱音、エミリ、劉師父も顕現させる。1泊くらいなら良いだろう。
「悪くないのぉ」
貸し切りの露天風呂では、俺と彰、劉師父が湯に浸かっている。女湯には朱音とエミリが入っているはずだ。平日にもかかわらず、宿はほぼ満室らしい。貸し切り湯でなければ、劉師父などは目立ち過ぎだろう。
「今夜は部屋で一番高い懐石を頼んである。幾らでも食べて、飲んでくれ」
「ウム、この地の酒は旨そうじゃしの。楽しみじゃ」
「兄貴、横浜ダンジョンの攻略が終わったら、バスターズ全員で旅行に行こうよ。マリリンやお母さんも誘ってさ」
「いい案だ。俺たちだけというのも問題だしな。ダンジョンのない土地。沖縄でも行くか」
萬楽荘は全室がスィートであるため、俺たち5人が一部屋に入っても問題はない。寝る時は朱音とエミリだけ別の部屋を取ってある。
「凄いわ! 主人、この世界のこと、もっといっぱい知りたいわ!」
エミリが興奮している。越前ガニの刺身やアワビ、能登牛のステーキなど石川県の名物が次々と出されてくる。酒は石川県産の「菊理媛大吟醸」だ。劉師父が旨そうに飲んでいる。この席では、あえてダンジョンの話はしない。エミリが地上のことについてアレコレと聞いてくるので、それを話したり、俺が知っている他の土地の名産の話をしたりする。
「いずれ海外にも行く。楽しみにしていろ。日本とはまったく異なる料理体系を持つ国がいっぱいあるからな。その数だけ、酒もある。エミリが好きな甘い菓子など、とても数え切れん」
「フォッ、それは楽しみじゃて」
「じゃぁ、さっさと国内のダンジョン、討伐しないとね。食べ尽くしてやるわ!」
朱音が酌をしてくれる。その瞳が何かを訴えていた。貸し切り露天風呂は時間制だが、確か空きもあったはずだ。食後にもう一風呂、入ろうか。俺は無言で頷き、冷酒を干した。
【防衛省 局長執務室内】
「金沢ダンジョンの調査、お疲れ様。Bランクになったそうね?」
東京に戻った俺は、その足で防衛省に登庁した。調査結果の報告資料はパソコンで纏めてメールで送ってある。それを読みながら、石原は満足そうに頷いた。無論、何を食べたかなどは書いていない。
「横浜の後は、金沢かしら。日本海側にもブートキャンプができるダンジョンが出たのは、不幸中の幸いと言えるわね。40代から50代の成人病予備軍の人たちが、軒並みブートキャンプに参加しているわ。将来の社会保険料を考えると、ブートキャンプはもっと増やしたいところよ」
横浜ダンジョンで週3回行われているダンジョン・ブートキャンプは、1回あたり20名が定員である。週60名、年間で3000名だ。このキャンプができるダンジョンが、あと3カ所もあれば、1万人を超える中年男女が若返る。社会保険料もそうだが、出生率にも影響を与えるだろう。実際、ブートキャンプ参加者同士がカップルになった例も複数あるそうだ。
ひとしきり、金沢ダンジョンやブートキャンプの話をした後、石原はファイルを俺に出してきた。英語で書かれているが、外国人と思われる男女の写真がある。
「これは?」
「ダンジョン・バスターズへの新たな依頼よ。依頼主は、バチカン教国フランチェスコ教皇」
「……はぁ?」
俺は思わず素っ頓狂な声を発してしまった。石原は立ち上がると、内線電話を手に取った。やがて中年の男が部屋に入ってくる。たしか、国際政策課長のはずだ。
「そのファイルは昨日届いたものだから、日本語訳が間に合わなかったの。詳しくは、課長から話をしてもらうわ」
そうして、課長からの説明が始まった。「十字軍」という単語を聞いた時は、思わず吹き出してしまった。10世紀ほど時代を間違えているのではないか?
「バチカンは本気です。10億人のカソリック教徒を抱えるバチカンは、世界中に情報網を持っています。見返りの条件として、バチカンが把握できる限りのダンジョン情報を日本に提供すると言っています」
ただの場所だけではなく、周辺の拠点となりうる宿泊施設、地理情報、どのような魔物が出現するかなどのダンジョン内部の情報まで提供するそうだ。また各地のカソリック教会が現地窓口にもなってくれるらしい。鵜呑みにはできないが、悪くない条件だ。
「また、ダンジョン・バスターズには授業料として、一人あたり1千万ユーロ、6名で6千万ユーロを謝礼として支払うそうよ。十字軍の日本までの渡航費や宿泊費、食費、その他雑費は、全てバチカンが持つわ」
「なるほど、本気ってわけか。確かに、ダンジョン討伐にバチカンがなんの寄与もしなかったら、討伐後の世界ではカソリック教会の影響力が大幅に落ちるだろうな。報酬金額も悪くない。それだけあれば、新しい投資もできる。だが6人とも外国人だ。日本語は大丈夫なのか?」
「6名中2名は、比較的日本語ができるそうです。ライヒ騎士団のアルベルタ・ランゲンバッハと聖ヨハネ騎士団のクロエ・フォンティーヌです。アルベルタは日本の侍に憧れて、日本に1年間の留学経験があり、剣道の初段を持っています。クロエは、毎年パリで開かれているジャパンエキスポで、えー……『魔法少女リリカル萌たん☆』に憧れて日本語を勉強したとか……」
「……りりかる?」
どんなイロモノが出てくるんだ? 俺は寒気を覚えた。本音で言えば断りたかった。だがそれを先回りするかのように、石原局長が退路を塞いだ。
「残念だけれど外交的に考えても、日本政府としてこれを断ることはできないわ。成功した暁には、ローマ教皇御自身が、ダンジョン・バスターズを褒めてくれるそうよ? そちらにとっても、大きなメリットのはずだわ」
「教皇猊下が褒めてくれるのは恐縮するが、せめて横浜ダンジョン攻略後にしてくれないか? あと2週間で、俺たちは横浜を攻略する。その間、その6名には最低限の日本語を叩き込んでおいてくれ。それともう一つ。ダンジョン・バスターズで修業するということは、客扱いはしない。死なせはしないが、死んだほうがマシと思えるほどに過酷な修業になるぞ。『ダンジョンの中に神はいない』、その6人にはしっかりとそれを伝えておいてくれ」
カソリック教の歴史を考えると、十字軍という言葉には決して良い印象は持たない。だが、ダンジョン討伐の志を持つのならば、その点には目を瞑っても良いだろう。何よりも優先すべきは、ダンジョンの討伐なのだから。
毎週「日曜日」「水曜日」「金曜日」の昼12時過ぎに投稿致します。7500文字(最近は8千文字以上が多いです)を毎日書くのは難しく、週3話投稿でお許し下さいませ。
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