第002話:ダンジョンをDIYしよう!
「ダンジョン内、正確にはこのセーフティーゾーン以降では、地表の144倍の速さで時が流れます。つまり、地上での1時間はダンジョンでの6日間になります」
朱音の言葉で、2日間の過ごし方がほぼ決まった。このダンジョンの出入り口は俺の家の庭に出現した。つまり俺のモノである。ダンジョン内で6日間分の仕事をしても、地上ではわずか1時間なのだ。その分、余暇が充実する。俺はDIYを決断した。
「まず近隣の目が届かぬよう、庭を柵で囲む。次に、雨水などが浸入しないよう、入り口もしっかりと囲おう。次に、階段とセーフティーゾーンだな。階段は急だから壁に手すりを付けて、滑らないようにゴム板を敷こう。いや、荷揚機も用意するか。セーフティーゾーンは板張りにして壁紙を張り、電気を外から取れるかも確認する。時間の流れが異なる異世界だが、階段から徐々に時間が早くなるのなら可能かもしれん。無理なら、家庭用蓄電器を用意するしか無いな」
俺の計画は、セーフティーゾーンの「仕事部屋化」だ。電力を常時消費するような冷蔵庫などは置けないだろうし、ネット通信も難しいだろう。だがパソコンでの作業ならば可能なはずだ。ソファーなども置いて、仮眠できるようにもしたい。俺は早速、ホームセンターへと車を出した。
「これから少し、庭を改造したいと思います。少し音が鳴るかもしれませんが、どうかご容赦ください」
庭を目隠しするための板材を買うついでに、隣家への挨拶のための和菓子を買う。少々高めの菓子を用意した。こうした挨拶は下手にケチらないほうが良い。
隣家への挨拶を終えた俺は、DIYを始めた。ホームセンターには便利なものが置いてある。幅90センチ、高さ180センチの目隠しフェンスキットだ。庭自体が広くないため、6枚もあれば十分である。隙間は人工植物の蔦を使って目隠しする。
続いて、庭の改造に入る。元々が二畳も無い小さな庭だ。所々に生えていた雑草などをすべて抜き取り、ショベルで平らに均す。その上にタイルを敷き詰めていく。日光を遮るため、雑草が生える心配は無い。
ダンジョンへの入り口の周囲はコンクリートレンガで囲った。その上にブルーシートを被せる。これだけの作業で、ほぼ一日になってしまった。
「まさか、私の最初の仕事が足揉みだなんて思いませんでしたわ」
第一層のセーフティーゾーンにビーチチェアを持ち込んで横になった俺は、太腿や脹脛を朱音に揉ませていた。口では文句を言いながらも、朱音はちゃんと命令を守ってくれている。性技にも長けている朱音はマッサージも上手く、筋肉疲労した俺には実に心地よかった。
「和彦様がお望みなら、もっと気持ちの良いことをして差し上げますわよ? もっと熱くて硬いモノを解して差し上げますわ。私の手や胸、お口で……」
白く細い手が、スルスルと下半身に伸びる。だが止める声がしない。顔を上げた朱音は溜息をついた。マッサージの心地よさで、いつの間にか俺は眠ってしまっていた。
腕時計を見ると2時間が経過していた。だが地上では1分程度である。俺が眠っている間も朱音はマッサージを続けてくれたようで、太腿がかなり楽になった。
「今後の方針だがな。まずはしっかりと準備を整えておきたい」
ビーチチェアに横になりながら、出入り口の隠蔽や、セーフティーゾーンのDIY計画を語ると、朱音は呆れた表情を浮かべた。
「このダンジョンは俺の家の中に出現した。つまり、俺以外には入れない。この部屋も含めて、俺の好きなように改造させてもらう」
「確かにそれでしたら、問題は無いかと存じますが……」
「ん? 何か不満があるのか?」
「いえ、まだダンジョン・システムについて申し上げていないことがありますので、それが気になっております」
朱音の言葉に、俺はある可能性を思いついた。
「まさか、ダンジョン内から魔物が出てくるのか?」
「それはありません。当面ではありますが…… 魔物がダンジョン外に出るには、二つの方法があります。一つはカード化されたうえで、その持ち主である主人が『ダンジョン討伐者』となることです。討伐者は、討伐したダンジョンの難度によって幾つかの報酬を得ますが、いずれの討伐者も『カード顕現化』という能力を得ます。一定時間ではありますが、地上でもカードを顕現化することができます」
「なるほど、つまりこのダンジョンを討伐したら、朱音を地上に連れ出すことができるわけか」
「はい。その時は私をお好きなように……」
「いや、まぁ楽しみにしてるよ。で、二つ目の方法は?」
笑って話を促す。朱音は、グラビアアイドルや「愛人にしたい女優」などが裸足で逃げ出すほどに色っぽく美しいのだが、話の合間に「色事」を交えがちなのが欠点だ。もっとも、程度を弁えているのかすぐに本題に戻るから気にならないが。
「二つ目は、人類がダンジョンに負けた時です」
聞き捨てならない言葉に、俺の笑みは消えた。
「1公転後、つまり1年後にダンジョン・システムが全起動し、世界中に666のダンジョンが出現します。それから10公転の間に人類がダンジョンを討伐できなければ、魔物大暴走が発生します。討伐されていないダンジョンから、魔物が一斉に地上に、無限に溢れ出てきます」
「おいおい……つまり今から11年後までにダンジョンを全部討伐しないと、魔物が溢れ出て世界を滅ぼすってことか?」
「記憶が消されているため、実際に見たわけではありません。ですが、それで滅んだ文明が幾つもあるということだけは存じています」
俺は口元を押さえて考えた。これまではこのダンジョンで面白おかしく生きれば良いと思っていたが、僅か10年で世界が滅びるとなれば、他人事ではない。
「取り敢えず、俺が第一接触者であることはバレないようにしないとな。それと他のダンジョンも探す必要があるだろう。全部は見つけられないだろうが……」
「当面、この『深淵』に集中されることをお勧めしますわ。Aランクダンジョンなら強化因子も豊富ですし、和彦様もお強くなられると思います」
「ん? そういえば聞いてなかったな。強化因子ってのは、RPGで言うところの経験値ってやつか?」
そう言って、俺はステータス画面を表示した。
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【名 前】 江副 和彦
【称 号】 第一接触者
【ランク】 F
【保有数】 0/∞
【スキル】 カードガチャ
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「この『ランク』ってやつが、レベルみたいなものなんだろ? 強化因子が経験値、ランクがレベルか」
「RPGとやらについては存じませんが、ランクとは強さの指標を示しています。Fは最弱で、一般人と同じです。そこからE、D、Cと徐々に上がり、最終はSSSとなります」
「魔物を倒して強化因子を手に入れれば、これが上がっていくってわけだな?」
「いいえ、強くなれば上がります」
朱音の言葉に引っかかりを覚えたので、俺はもう少し詳しく聞こうと思った。
「待て。魔物を倒して強化因子が入る。ランクが上がる。強くなる。ではないのか?」
「因果が違いますわね。強くなったからランクが上がるのであって、ランクが上がったから強くなるわけではありませんわ。魔物を倒すと、身体能力を強化する『強化因子』を肉体が取り入れます。その状態で身体を鍛えれば、通常よりも格段に早く強くなれます。具体的には筋力の向上、反射速度の上昇、病気の回復、細胞年齢の若返りなどです。また、人によっては魔力回路を発現し、魔法が使えるようになることもあります」
そう説明されて、俺はようやく理解した。つまり現実と同じなのだ。ゲームやラノベでは、レベル向上で強くなる。だが現実は、努力して強くなりその結果がレベルという数値に反映されるのだ。
「つまり、強くなるための不断の努力が不可欠ってわけか?」
「私も、そのお手伝いを致します。戦い方などもお教えしますわ」
「理解った。だが取り敢えずは『準備』だ。この部屋を改造するだけでなく、ダンジョンに入るための備品類も用意しておきたいからな」
朱音をカードに戻し、俺は地上に戻った。
結局、準備に1週間の時間を掛けることにした。階段の壁には瞬間接着剤で手すりを備え付け、床に敷き詰める板材などは電動台車を使って運んだ。家からの電力供給も試したが、これはダメだった。仕方ないので、大容量蓄電池を用意する。ダンジョン内に常備したら、地上の1ヶ月が10年分になってしまうので、置く物は慎重に考える必要がある。家具や床材、壁紙などは大丈夫だろうが、精密機器は常設しないほうが良い。
「工業用の瞬間接着剤で手すりを付けたから、まぁ大丈夫だろう。壁紙は白にした。床板はオーク材だ。フローリングはそもそも耐用年数など計算されていないからな。まぁ大丈夫だろ。ソファーや椅子は本革にしてみた。保湿クリームでメンテナンスすれば何十年でも保つ。机もそうだ。まぁPCを使うか資料を読む程度だから、あまり豪華じゃなくても良いだろ。照明は卓上灯とフロアライトだ。ここに来るたびに蓄電池を持って入らなければならないのが面倒だが、電動台車を使えば一度で可能だからな」
ようやく、落ち着ける空間となった。ダンジョンに入る入口前には、泥や血糊があることを考慮して、大型の泥落としマットを敷いた。地上の1週間は、この部屋では2年半になる。1週間ごとに部屋の大掃除をして、床のワックスがけや椅子やソファーのメンテナンスをすれば問題ないだろう。朱音にも手伝わせれば、短時間で終わるはずだ。
「本当に、セーフティーゾーンを改造してしまわれましたわ。このソファーも本当に座り心地が良くて…… ウフフッ、和彦様はこの部屋で、私と愛欲の一時をご希望なのですわね? 腰が抜けるほど、蕩かせて差し上げますわ」
そう言ってしなだれ掛かってくる。女は大好きだ。そして朱音は最上級の美女だ。その肢体に溺れるのも悪くないが、その前にやるべきことがある。一時の欲望に負けてやるべきことを後回しにするほど、俺は若くはない。
「あー、悪いが仕事をしたいからカードに戻ってくれ。人がいると気が散る」
「まぁっ!」
朱音は怒った表情を浮かべたが、次の瞬間にはカードに戻った。それを拾い上げ、カードケースに入れる。「遊◯王」などのカードゲームで使われている「レアカード販売用?」のプラスチック製ケースだ。
「このダンジョン・システム、おそらく日本人にウケるだろうな。カードコレクターとか出そうだ。それにしても、この『カードガチャ』ってのは、どうやるんだ? 画面を押してもウンともスンとも言わんぞ? まぁいいか。そのうち理解るだろ」
誰もいなくなった部屋で、俺のスリッパ音だけが響く。椅子に座り、ノートパソコンの電源を立ち上げた。
片手で持ち運びができる大容量蓄電池を手に、俺はダンジョンから出た。背中のナップサックにはノートパソコンや資料が入っている。4時間ほど仕事をしたが、地上では2分しか経過していない。俺のような仕事にとって、理想的な職場であった。
「庭の改装も悪くないな。ガーデンルーフを付けたのは正解だ」
隣家の二階からも見えないよう、庭にはガーデンルーフを付けてある。明日からの3日間は完全なオフだ。仕事は全て終えてある。翌日、再びダンジョンに入った俺は、朱音とともに「探索道具」の最終確認を行なった。
「防刃ベストと防刃長袖シャツ、防刃ズボン。ゴーグル、軍手、防塵マスク、安全靴にヘルメット。万一のための懐中電灯と耐衝撃性腕時計。防水登山バッグ。水が2リットルペットボトルで2本、カロリー摂取用の固形食が8食分。オイルライター、厚手タオル3枚。消毒液、テーピング、ガーゼと包帯。トイレットペーパーとビニール袋。そしてノートとペン」
「武器になりそうなものはありませんわね。その光りを灯すものは不要かと思いますが……」
「万一のためだ。本当は防毒マスクも欲しかったんだが、ガスの種類がわからないとダメらしいからな」
「その辺りは私にお任せください。基本的に、ダンジョン内は無毒です。毒の罠などもありますが、そうした毒の空気も、しばらくすれば消えます」
俺は頷き、全ての準備を整えた。ゴーグルを填め、防塵マスクを口に当てる。
「では、行こうか」
金属製の扉の前に立ち、取手を掴んだ。すると扉は自動的に開き始めた。
「思った以上に明るいんだな。それに空気も綺麗そうだ。これならマスクは不要かな?」
ダンジョン内に入った俺は、朱音を先頭に立たせて少しずつ進んだ。目の前をプリップリッと尻が動く。ハイヒールを履かせてみたいと思った。
「和彦様の厭らしい視線を感じますわ。それだけ余裕があれば、大丈夫ですわね?」
「あー、いや、そうだな。なんだか、イメージ通りすぎて拍子抜けと言うか……」
「第一層に出るのは、大抵は弱い魔物です。人間が素手で勝てるくらい。ですが、ここはAランクダンジョン。何があるか判りませんわよ?」
「あぁ、気をつける。マッピングも必要だしな」
そういって、紙に書き付けていくが、振り向いた朱音にペンを取り上げられてしまった。
「私の力を見くびらないでくださいませ? この程度のダンジョンで方向を失ったりしませんわ。それより、そろそろ魔物の気配がし始めています。紙よりも、周囲にご注意ください」
目が全く笑っていない。俺は頷くことしかできなかった。
暫く進むと、朱音は壁に背を付けた。俺も同じようにする。
「この角を曲がると、魔物がいますわ。2体……恐らくは、ゴブリンかと」
小声でそう言う。壁に背を這わせながら静かに進む。分かれ道のところで止まり、指を3本示した。三、二、一……そして飛び出す。俺も後に続いた。
「……あれ?」
そこには首を切られた灰褐色の小汚い小人が2匹と、苦無を手にそれを見下ろしている妖艶な美女がいた。魔物の身体がチリチリと崩れ、やがて煙となっていく。
「この煙が、いわゆる強化因子ですわ。一緒に戦うことで、私と和彦様の肉体に取り込まれます。こうして戦い続ければ、筋肉や骨が強化され、また技術も磨かれていき、やがてランクが上がります。そして……」
朱音が腰をかがめる。床から何かを拾い上げた。
「これが、魔物が落とす『ドロップアイテム』、やはりお金でしたわね」
ピンッと俺に弾き飛ばす。手にした俺は片眉を上げた。そこには、ピカピカの500円硬貨があった。
「魔物というから、どんな凶暴な奴かと思っていたが、まさか噛みつきだけしかできないゴブリンとはな。これでもう20体目、朱音なら楽勝だな」
朱音が悠然とゴブリンを屠り、落ちた500円硬貨を俺が拾う。
「和彦様も戦われたほうが宜しいですわよ? 強化因子は、いくら吸い込んでもそれだけでは強くなれません。ご自身で身体を動かして戦わない限り、ずっとFランクのままですわ」
「んー、まぁそうなんだろうが、どうも戦いというのはな。俺はずっと頭脳で金を稼いできたからな」
朱音は呆れたように首を振った。相変わらずの速さで、500円……いやゴブリンを屠っていく。
「これで30枚目……ん?」
ギャギャッという声が後方でしたので振り向くと、目の前にゴブリンが立っていた。
「うわぁぁっ!」
襲いかかってきたので、腕で自分を護ろうとする。左腕に痛みが走った。ゴブリンが鋭い歯を突き立てている。俺は大声で助けを呼んだ!
「ちょっと! 朱音! 助けてっ!」
「こっちにもゴブリンが来ましたわ。和彦様でなんとかしてくださいませ!」
どうやら朱音も戦っているらしい。その間にも、ガシガシとゴブリンが腕を噛んでくる。鋭いギザギザの歯と白目のないどす黒い瞳、そして耐え難い悪臭であった。恐怖で腰を抜かした俺だが、5秒ほどで冷静になってきた。あれ、コイツ弱くね?
「このっ!」
ゴブリンの腹を蹴り飛ばすと、簡単に引き剥がれていった。確かに痛みはあるが、犬に噛まれた程度の痛みだ。そもそも防刃シャツを着ているので、腕の肉は裂けていない。せいぜい歯型がついた程度である。
「なるほど。冷静に考えると相手も素手ってことは、要するに体長1メートルの子供を相手にしているようなものだな。せいぜい6歳児くらいか?」
俺は急に気が大きくなると、再び向かってきたゴブリンの顔面を思いっきり殴った。
「こりゃ気持ちいい。人を殴ったのは初めてだな。いや、ゴブリンだから人じゃないか」
殴ったゴブリンの顔面を蹴り飛ばす。プギャァと声を上げて、ゴブリンは煙になった。
「いかがですか? 初めての魔物討伐は?」
いつの間にか、朱音が側に来ていた。見るとゴブリンの死体も煙もない。どうやら先程は、俺に戦わせるために嘘をついたようだ。
「意外に余裕だな。これなら俺でも戦えそうだ」
「第一層は、侵入者を増やすための撒き餌のようなものです。通常は足で踏み潰せる虫やスライムくらいなのですが、第一層からゴブリンというのは、さすがはAランクダンジョンですわ。それにしても、和彦様は意外にお強いのですね。ゴブリンを殴った時など、その威力に驚きましたわ」
「ん? まぁそうだな」
俺の微妙な答えに、朱音は首を傾げ、そして軍手の上から右手を触って頷いた。俺は笑みを浮かべ、茶化すように返答する。
「あくまでも、仕事道具である指を護るためだ。ダンジョンもそう判断したようだしな」
「ズルイですわね。ですが、それでこそ私の主人ですわ」
軍手の下には、鋼鉄製のメリケンサックを握り込んでいた。
それからというもの、俺は積極的に「ゴブリン狩り」を始めた。朱音のように首を掻かなくても、一定のダメージを与えればゴブリンは煙になる。この辺はRPGのように思えた。3時間ほど狩り続ける。ゴブリンは幾らでも湧き出るようで、すでに百体を超えた。
「どうされます? 第一層の構造はほぼ見えましたし、第二層に向かわれますか? それとも一旦、戻りますか?」
「そうだな。戻っても良いが、試しに第二層に行ってみるか? それにしても、まさか碁盤目状だったとは、思いの外楽だったな」
Aランクダンジョン「深淵」の第一層は、800メートル四方ほどの大きさで、通路が碁盤目状となっていた。迷うことはまず無い。俺たちは出現するゴブリンを倒しつつ奥へ進み、一番右奥に第二層へと続く階段を発見した。ダンジョン入り口のような狭い階段ではない。駅のホームへ続く階段のような、かなりしっかりしたものだった。
「第二層に進まれるのは、あまりお勧めしませんわ。先程も申し上げた通り、第一層とはいわば撒き餌。大抵のダンジョンは、侵入者を肥やして食らおうとし、第二層から一気に危険度を上げます。まずはここで戦い続け、Eランクを目指すべきでしょう」
「なるほど。では戻るついでにもう少し戦っていこう。セーフティーゾーンで休憩したら、また入るぞ」
「畏まりましたわ」
俺は、いつの間にか先頭に立っていた。