第011話:G7動く
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【名 前】 木乃内 茉莉
【称 号】 なし
【ランク】 F
【保有数】 0/30
【スキル】 カードガチャ
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Aランクダンジョン「深淵」の第一層に続く扉に触れたことで、木乃内さんにもステータスが出現した。その画面を見た時に、俺は思わず口元を押さえた。
「この、カードガチャってなんでしょう?」
美少女は呑気にそんなことを聞いてくる。俺はゴブリンカード10枚と予備のカードホルダーを取り出した。カードを中に入れて渡す。
「これを持ったまま、もう一度ステータス画面を呼び出してごらん」
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【名 前】 木乃内 茉莉
【称 号】 なし
【ランク】 F
【保有数】 10/30
【スキル】 カードガチャ(1)
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「あ……これって……」
「なるほど、同じだな。まだ確定ではないが、スキル『カードガチャ』は全人類共通のスキルと考えてよいだろう。では木乃内さん、次にカードガチャと書かれている部分を指で押してみて」
だが木乃内さんは動かない。何か決意したように、俺を見上げてくる。
「あの……」
「ん?」
「私のことは『さん付け』ではなく、呼び捨てにしてください。木乃内、もしくは茉莉でも良いです」
「いや、さすがに雇用者としては……」
下の名前の呼び捨てはマズイでしょう。下手したらセクハラになりかねない。だがエミリは木乃内さんに同意のようだ。
「そうよ。主人がそんな堅苦しい呼び方してたら、エミリも茉莉って呼べないじゃない。いっそ、これからは下の名前で呼ぶようにすればいいのよ! 主人は『茉莉』って呼んで、茉莉は主人のことを『和彦』って呼ぶのよ!」
「エミリちゃん、いくらなんでも年上の人なのに呼び捨ては……」
「では和彦様、もしくは和彦さんではいかがですか? 私も、その方が気楽で良いと思います。ダンジョン内では、互いの呼称は重要です。堅苦しい呼び方ではいざという時、連携に支障が出かねません」
「じゃ、じゃあ『和さん』でどうですか? 和彦さんだと、なんだか特別な関係のような気がして……」
「なるほどな。では俺は『茉莉』と呼び捨てる。茉莉も好きに呼べ。『和さん』で別に良いぞ」
「はいっ! では和さん、このスキルのところを押すんですね?」
木乃内改め「茉莉」は、ステータス画面の「カードガチャ」を指で押した。画面が切り替わる。
「キャラクター、武器、防具、アイテム……全く同じだな。よし、ではアイテムを押してみてくれ」
アイテムガチャを選択すると、同じようにガチャが回り始め、やがてカードが1枚出てきた。
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【名 称】 魔法の革袋
【レア度】 Un Common
【説 明】
およそ10立法メートルの収容力がある
革袋。袋内は外部と同じ時間が経過する。
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「お、いきなりUCか。引きが強いな。このように、カードガチャとはモンスターカードなどのカード10枚と引き換えに1回引くことができる。いま渡したのはゴブリンのカードだ。ダンジョン内の魔物は、倒すと一定の確率でカード化する。それがモンスターカードだ。ゴブリンはFランクの最弱の魔物で、それなりの枚数を持っているから惜しくない」
「これって、人類全員が持つスキルなんですよね?」
「確証はないがな。少なくとも俺も同じスキルを持っている。人類全体か、この『深淵』でステータス画面を得たものだけなのか、それとも偶然なのか。スキルについては、いずれ政府が発表するはずだ。それで明らかになるだろう」
「引き換えるのは、同じモンスターカードでなければダメなんでしょうか?」
「いや、モンスターカードは混ざっても問題ない。ゴブリン、オーク、スケルトンナイトを混ぜて引いてみたが、レアカード出現率は変わるが、混在でも引けることは確認済みだ」
「では、カードも重要なんですね? きっと売り買いされると思います」
俺は頷き、茉莉を執務机の後ろに並ぶ棚に連れていった。
「この棚は、カードをコレクションするために置いたものだ。左からC、UC、R、SR、UR、LRとしている。もっとも、最上級のLR、Legend Rareについては朱音とエミリのみなので、棚ではなく机の引き出しに入れている」
遊◯王カードのコレクターが愛用するようなプラスチック製のケースを見せる。これまで得たカードは一種類ずつ、このケースに入れている。
「モンスターカードは枚数が多いから、ストレイジボックスに入れて枚数管理している。あとは消費頻度が比較的高くなりそうなポーションなどの『アイテムカード』は、もっとストックを増やしておきたい」
なんだかコレクション自慢をしているような気分になった。現時点では、俺はカードの枚数、種類ともに世界一の保有者だろう。茉莉が出現させたUC「魔法の革袋」を顕現させる。
「この袋はおよそ10立方メートルまで物を入れることができる。重さは変わらない。買い物などでは非常に便利だが、人目を気にして使ってくれ。見た目が気に入らないのなら、布などでコーディネートしても大丈夫だ」
今後、このダンジョンで活動するにあたっては、衣類や衛生用品、生理用品なども必要になるだろう。それらを無造作に置くこともできないだろうと思い、この袋は彼女に渡した。
「どうする? 地上時間ではまだ数分程度だが、ダンジョン内に入ってみるかね?」
茉莉は少し考え、首を振った。
ダンジョンに入るかと誘われましたが、私は断りました。色々とありすぎて、頭がついていかないからです。一旦家に帰って、整理したいと思いました。
「時間を取らせたね。見習い期間は1500円だから、2時間分で3千円が入ってる。お疲れ様」
和さんの手を取ると、一瞬で先程の面接会場に戻っていました。壁の時計を見ると、本当に数分も経っていません。和さんは最初からこうなることを予想していたのか、3千円が入った袋を渡してくれました。交通費としてもらった1万円と合わせると、1万3千円です。あまりお小遣いがない私にとっては、信じられない大金です。
「どうする? ここで、働いてくれるかい? 俺としては、是非お願いしたいと思っている。エミリはLRカードだが、まるで女子高生のような奴でね。君がいてくれるとエミリも喜ぶし、俺もやりやすい」
「あの…… 私、やっぱり和さんみたいな覚悟は持てません。10年後に世界が滅びるなんて言われてもピンとこなくて。でも、ここで働きたいと思います。せっかく、エミリちゃんと仲良くなれたし、お金は必要だし…… こんな私でもいいんでしょうか?」
「大歓迎だよ。週1日、1時間でも構わない。一緒に、ダンジョンを討伐しよう!」
「はいっ!」
私は今日はじめて、心から笑えたような気がしました。
「私は株式会社ダンジョン・バスターズの代表取締役、江副和彦と申します。当社のアルバイトとしてお嬢様を採用いたしました。つきましては保護者であるお母様に一度、挨拶をと思いまして。つまらないものですが、どうぞお召し上がりください」
同じ鹿骨町内ということもあり、木乃内茉莉の実家は俺の家から徒歩圏内だった。採用面接を終えた俺たちは、瑞江駅近くの和菓子店で贈答用の詰め合わせを買い、そのまま茉莉の自宅へと車を走らせた。
「まぁ、わざわざ申し訳ありません」
出てきた母親は、なるほど茉莉の母親らしく清楚で綺麗な人だった。年齢は三十代中頃だろうか。だが少しやつれているようだ。シングルマザーとして働きながら介護もしなければならない。大変なのだろう。
「今週末の土曜日から、当社で働いていただきます。基本的には土日のみの出勤です。守秘義務契約上、お母様にも詳細な仕事内容は話せないのですが、決して疚しい仕事ではありません。お嬢様には、土曜日までに幾つか準備品を用意していただきますので、その代金を先にお渡しします。残金の返済は不要ですので、どうぞお納めください。
100万円が入った茶封筒を差し出す。母親は驚き、そして突き返してきた。
「娘は、普通のアルバイトだからと言ったので認めたのです。どのような仕事かは知りませんが、こんな大金をポンと出せるなんて、マトモな仕事とは思えません!」
「失礼よ、お母さんっ! ちゃんとした仕事だわ!」
娘の大声に、母親は驚いたようだ。もっとも、こうなることは想定内だ。何十万円もの金を持ち帰ってきたら、母親としては訝しんで当然だ。下手に黙っているより、母親ごと巻き込んでしまったほうが良い。俺は左右の手を差し出した。
「それでは、お母様にも見ていただきましょう。そのうえで、ご判断ください」
母親は少し迷っていたが、娘が躊躇いもなく俺の手を握ったので、仕方なさそうに左手に手を置いた。
茉莉の母親は「詩織」という名前であった。ダンジョンに案内した時はパニック状態だったが、やがて落ち着き、そして状況を受け入れてくれた。事情を全て説明し、守秘義務契約書と「誓約の連判状」にサインを貰った。そして茉莉は無事に、アルバイトを認められたのであった。
「実は、このダンジョンの上にある私の家は改築中でして、半年後に完成予定です。江戸川区のみならず、全国から有望なダンジョン・バスター候補者を集め、住み込みで鍛えるつもりです。もしその体制が整いましたら、お母様も我が社で働きませんか? ハウスキーピングや食事の支度などが主な仕事内容になりますが、給与は保証します。月額100万円ではいかがですか?」
家政婦の平均年収は300万円だ。その四倍だが、家の広さや作らなければならない食事量などを考えると、これくらいの額で丁度よいだろう。だが、お母様こと詩織さんは、首を振った。
「いくらなんでも高すぎます。私はいま、時給950円のパートで働いています。それよりも高ければ、それで十分です」
「では、提示額の半分の600万で。これ以下にはできません。当社は給与の高さもウリにしたいので」
急に仕事を変えるわけにもいかないし、介護もある。取り敢えず半年後ということで折り合いがついた。茉莉は今週末から働き始めるし、24時間対応の住み込みヘルパーを雇っても十分に釣りが来るだろう。
こうして新しい仲間が加わり「ダンジョン・バスターズ計画」は少しずつ動き始めた。だが、世界の流れはそれ以上に加速しているようだった。茉莉が初出勤する前日の金曜日、名古屋で開催されたG7先進七カ国首脳会議において、ダンジョン対策の共同声明が発表されたのである。
今年のG7の議題はダンジョン一色であった。ガメリカ合衆国大統領ロナルド・ハワードは、会議開始早々に切り出した。
「我がガメリカはダンジョン情報の世界同時公開および国際連合を中心にダンジョン管理機関を設置することを提言したい。知っての通り、ダンジョンから生み出される『黒い石』は、水を分解し水素を生み出す。現在、各国で開発が進められている水素発電システムの最大のネックは、水素ガスが高価格であることだ。ダンジョンはこの問題を一気に解決し、エネルギー革命を起こす可能性を秘めている。世界の国々が一致協力すべきだろう」
米大統領の発言に真っ先に賛同したのが、日本国内閣総理大臣の浦部誠一郎である。
「我が日本は、ハワード大統領の言葉を全面的に支持します。ダンジョンは個々の国で対処するには余りある存在です。全世界が協力しなければなりません」
協力することは吝かではない。キャナダ、ライヒ、フランツ、ブリテン、イタリー、欧州連合の首脳たちも頷く。ライヒ国代表のアデーレ・ヘルゲン首相が発言した。
「ダンジョン管理機関というと、具体的にはどのような組織なのでしょう? 我が国に出現したダンジョンはモンスターが強力で、特殊部隊たちも苦戦しているようです。一方で、ガメリカに出現したダンジョンはモンスターも比較的弱く、すでに先に続く階段まで見つけているとか? このように各国でダンジョンの性質が異なるならば、管理をしようとしても不公平になるのでは?」
「その点については、我が国に一つの案があります」
浦部総理の発言に注目が集まる。日本はオタク文化が盛んで、このような非現実的な現象を予め想定していたかのような小説が多数出版されており、数百万人がそれを日常的に読んでいる。このダンジョン群発現象に、もっとも適応しうる国民が日本人だ。
「我が国のライトノベル小説に、このような世界同時多発的なダンジョン群発現象が描かれています。その作家を専門家として招聘し、政治や経済について意見を求めました。彼が言うには、ダンジョン群発現象がいつ終わるか不明であるため、今後、国民の中にさらに不安が広がる恐れがあり、下手したら暴動に繋がりかねないこと。それを抑えるには、適宜情報を公開し、世界中が団結してダンジョンに立ち向かっているという姿を見せ、暴動などやっている場合ではないという世論を形成すること。そのために、ダンジョン内の探索を専門とする『新たな職業』を設置し、国際機関がそれを管理すること。そのような意見が出されました」
「新たな職業? ダンジョン探索者とでも名付けるのかね?」
フランツのエルマン・メイソン大統領が発言する。フランツの人口は6200万人だが、ダンジョンはすでに3つも出現していた。倍の人口を抱える日本よりも多いのである。国内では、海外展開しているフランツ軍を撤退させるべきだという声が高まっていた。
「新たな職業は、民間人の参入が不可欠です。黒い石を持ち帰るだけでなく、カード化およびガチャというスキルにより、未知の薬品や技術が手に入るかもしれません。そのような『未知の探求者』を表現する単語が、英語にはあるではないですか」
「イ◯デ◯・ジョー◯ズかね?」
キャナダ首相のエブラハム・トーネルのジョークで爆笑が広がった。浦部総理も笑いながら首を振り、そして言葉を続けた。
「『冒険者』ですよ」
ダンジョン出現の第三波が間もなく襲ってくるという時に、名古屋でG7が開催された。先進主要国の首脳たちは二国間協議などせず、全員が深夜まで集まり激論を続けたそうだ。先進国の首脳ともなれば、自国だけでなく全世界について考えなければならない。
〈国際連合内に『ダンジョン冒険者本部(Administrative building of Dungeon Adventurers)』を設置し、各国に支部を作ります。冒険者の役割は、ダンジョン内の探索、出現するモンスターの討伐および『黒い石』と『カード』の回収です。冒険者を確保するために、民間人からも登用します。ただし、ダンジョン内に武器は持ち込めませんので、一定の戦闘能力を有することを確認する試験を行うべきとの意見もあり、詳細はさらに詰める必要があることで合意しました〉
「いよいよ、始まったか」
ニュースで発表内容を聞きながら、俺は今後について考えた。
(いずれ民間開放はされると思っていたが、想定よりも早いな。いや、いまから準備したとしても、実際に稼働し始めるのに時間が掛かる。G7の合意だけで国連が動くわけではない。それに加盟国全てが合意するとも思えん。この極東だけでも、大東亜人民共産国、ルーシー共和連邦、半島北の大姜王国あたりが反対しそうだ。半島南のウリィ共和国は参加するだろうがな。あとは東亜民国か。あそこにもダンジョンが出現しているらしいが、国連未加盟国だ。もし冒険者本部が東亜民国の加盟を認めたら、間違いなく大亜共国は加盟しないだろう……)
「そろそろ、ホームページ作成を依頼するか。日本語、英語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピナ語、インドシナ語、マーレー語の八カ国語対応あたりで良いかな。 当面はダンジョン情報の中でも既知の奴をアップすればいい。ビジョンと戦略を明示し、仲間も募集する……」
やるべきことリストを書いていると、久々に長時間地上にいたためか、眠気が襲ってきた。テレビを消して、寝室へと向かった。
「うわぁぁっ! 模様替えしたんですね?」
土曜日の午後、瑞江駅近くに借りているマンションに来た茉莉を伴い、さっそくダンジョンへと向かった。第一層の安全地帯は模様替えをしている。一つしかなかったベッドを捨て、大人用の二段ベッドを三つ置いた。それぞれをパーテーションで区切り、男女混合でも大丈夫なようにしている。
「茉莉とエミリは上下で分かれて寝ろ。俺は一つ置いて端のベッドで構わない。朱音は……まぁ好きにして良いぞ?」
「では、和彦様の上で……」
そう言ってしなだれかかってくる。16歳の多感な女子高生には刺激が強すぎるだろう。やんわりと嗜め、俺は咳払いした。
「トイレに関してだが、ダンジョン内ならどこでしても問題ない。できれば慣れてほしいが、どうしても嫌な場合は言ってくれ。地上に戻る」
「あ……だ、大丈夫です。頑張ります!」
「それと、女性特有の日の時は、必ず言ってくれ。魔物が血の匂いを嗅ぎつけて襲ってくるからな。それとダンジョンは、生理用品を吸収しないので必ず持ち帰ること」
「はい」
茉莉が赤くなりながら頷く。だがこうしたことはしっかりと決めておかねばならない。これから始まるのは命懸けの冒険なのだから。
「ではまず、第一層から行くぞ。茉莉は手を出さなくていい。軽い見学からだ。俺が用意した防刃シャツや安全靴を装着しろ。それとコレ……重さ5キロのウェイトベストだ。これを着てもらう。これを着て歩くだけで、身体が鍛えられる。茉莉がどのような方向に成長するかは判らないが、何になるにせよ、まずは体力づくりが必要だ」
エミリに手伝ってもらいながら、茉莉は装備を装着した。そして俺たち4人は、第一層へと入った。
「ヒッ……」
グギャギャッと叫びながら、灰褐色の気味の悪い生き物が走ってきます。私は思わず悲鳴を漏らしました。ですが先頭に立っている和さんがペシッと叩くと、ゴブリンという生き物は煙になってしまいました。
「大丈夫よ、茉莉。横にはエミリがついてるし、後ろは朱音が護ってるわ。ゴブリンなんて何百匹出ようと、茉莉に近づくことなんてできないから」
「ありがとう、エミリちゃん」
本当に、エミリちゃんは友人のようです。少し気が強いけど、お喋りしていると楽しいし、頼りになります。このダンジョンでは、魔物を倒すとお金が出るそうです。実際にそれを見た時は驚きました。ゴブリン一匹で500円なんです! 和さんは500円……ではなくゴブリンを楽々と倒しています。これなら何十万円なんてすぐでしょう。あんなに時給が良い理由が、やっと判りました。
そんなこともあり、なんだかんだ言いながら最初の30分くらいは楽しく歩くことができました。
「ハァッ……ハァッ……」
30分を過ぎたあたりからでしょうか。私は息切れをはじめました。5キロのウェイトベストは、思った以上に重く、私の足はもうパンパンです。
「もう少しだけ歩くぞ、頑張れ。1時間ごとに20分の休憩を取ろう」
そう言いながら、和さんは楽々と歩いています。信じられません。重さ20キロのウェイトベスト、片腕3キロのリストウェイト、片足8キロのアンクルウェイトをつけ、さらに腰には10キロのダイビング用ウェイトまで付けているのに、まるで何事もないかのように平然と動き、ゴブリンたちをペシペシ倒しています。本当に人間なのでしょうか?
「いきなりあんなマネしちゃダメよ? 主人だって、最初は筋肉痛で苦しんでいたらしいから…… 茉莉は大丈夫。主人よりずっと若いもの。すぐにランクアップするわ」
年齢のことを言うのはちょっと可哀想な気もする。でもお陰で少しだけ気が楽になりました。私は汗を流しながら、和さんの背中についていきました。