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勇者になれない俺の名

勇者になれず、何のために異世界に来たのか分からず、1年間帰ることもできない。

俺はこの後どうしたらいいのだろう。

「要はこの世界を救えればオレは元の世界に戻ることができるんだな」


勇者に選ばれず、1年この世界で何したらいいのかとショックを受ける俺をよそに冷静なアオキオンは話を進める。


「もちろんそうして頂けると有り難いですが、こちらはお願いしている身ですから、断っても元の世界に戻れます」


そうだ、俺らは巻き込まれた被害者だ。文句の1つでも言ってやれ!


「いや、今この世界は危険な状況だろうから、何もしないで1年後この国が滅んで帰れませんは困るし、勇者の使命は果たすさ。それに元の世界でも、勇者ではないが戦いに身を置いていたから、戦う事に対して抵抗はない」


さすが勇者に選ばれるやつは違うね。

俺はさっきから会話に入れないし、戦いだってスポーツすら争い事は苦手だね。


「ありがとうございます勇者様」

「さすが勇者様だ」

「ではアオキオン様こちらに」


皆がアオキオンを連れて行く。俺のことを無視するように。

えっ!また?また置いて行かれるの?


「ちょっと待って!」

「なんだよモブオ」


アオキオンが俺に向かってそう言った。

あれ?モブオ?俺の事か?


「勇者様モブオとは?」


王様が勇者の言葉について尋ねた。


「オレが勇者ならこいつは勇者じゃない。つまり一般人という事だ。オレのいた世界では一般人の事をモブキャラと呼ぶ」

「なるほど、モブキャラだからモブオということですね」


なんか違くない?


「確かにこの者にも名がないとここで暮らしてもらうにも何かと不便になるな」


ヤバイ、このままでは俺の名前がモブオになる。


「王の権限により勇者様をアオキオン、異世界召喚にに巻き込まれたこの者をモブオと名乗ることを認める。なおこの世界にいる間は他の者の混乱を防ぐため、双方元の名前を思い出してもこの名で通してもらう。よろしいかな?」


王のこの言葉にアオキオンは分かったと頷くが、俺は認められない。一年間もそんなふざけた名前を名乗れるか。


「待ってくれ、俺は他の名前がいい。」

「ではどのようしますか?」

「それは・・・」


モブオ以外なら何でもいいのだが・・・

おかしい、なにも浮かばない。何でもいいはずなのに何故だ。

好きな漫画の登場人物も、学校のクラスの人も、家族すら名前が出てこない。

そもそも自分の名前が出ないのに他の人の名が出るのも変な話かもしれない。

しばらくの沈黙が答えと判断された。


「あまり時間をかけられても先に進まない、もうモブオでよいな」

「・・・はい」


どうやら世界がモブオを求めているようだな。

逃げることを許されていないような気がして俺はあきらめた。

世の中のキラキラネームの子供は大変だなとこの時思った。

しかし、この時の俺はそんな話題があったことは、覚えていてもその名前は出てこないのだ。



後々俺はこの日もっと抗わなかったことを幾度となく後悔する。

たかが名前と思ったが、俺は名前の大切さを思い知ることになる。


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