勇者の名
異世界へ呼び出された主人公の運命やいかに・・・
俺は平凡なんかではなかった。
俺はこの異世界へ勇者として召喚されたんだ。
召喚されたときの影響でぼやけていた視界が良くなってきた。
あぁ早く俺が救う世界を見たいものだ。
そんなことを考えていると周りの人が騒ぎ始めた。
「おい、どういう事だ!?」
「勇者が2人いるぞ!」
ん?
「勇者は1人のはずだろ」
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ・・・
慌てて隣を確認する。
そこには確かに別の人間がいた。
間違いなく俺よりイケメンで勇者ぽい・・・
いやそんなはずない、勇者は俺だろ?
「イーマどうなっている」
「すぐに調べます」
イーマと呼ばれたいかにも魔術師といった感じの女が、これまたいかにも王様といった格好の男に言われ前に出てきた。
何か呪文を唱えたように聞こえたが、なんと言ったかもどう発音しているかも分からなかった。彼女の手が淡い光に包まれ俺たちの方に向けられた。
「分かりました」
俺!俺!!
「勇者様は・・・」
来い!
「こちらの方です」
差し出された手の先は・・・俺!
ではない方だった。
やっぱりか〜!
俺はその場に崩れ落ちた。
「勇者様お名前を教えていただけますか?」
「・・・名前」
少し間をあけて隣の男が口を開いた。
「思い出せない」
周りに衝撃が走った。まさかの勇者が記憶喪失とは。
「自分の名前も分からないやつが勇者でいいのかよ?」
チャンスと思った俺は皆に言った。
「俺は・・・あれ?」
俺も同じで名前が分からなかった。
周囲も察したようで、一瞬俺の方に注目していたが、勇者の方に向き直った。
「名前が分からないのなら我が国に伝わる伝説の英雄の名前を名乗ってもらおう」
王様が勇者に言った。
「我々を守ってくれる勇者の名は・・・アオキオンだ!」
読んでくれた方ありがとうございました。
拙い文章ですが、よくあるような、ないような、そんな物語を目指してます。
この話の主人公に寄り添い時に笑い、時には応援してやって下さい。