Chapter短編 理由の中で
短編が続いてます。ヨメナ目線です。
「ねぇ・・・ヨメナくん」
「なんだ?」
「どうして私達をこの世界に?それより未来の私が先祖って言ってたよね?でも、ヨメナくんは・・・私達を、って」
その話か・・・あ、ヤバい・・・勘違いしたな。
「・・・悪い」
「へっ?」
ブランカは変な顔をした。俺は、そんなブランカを笑った。ブランカは赤い顔をして怒った。
「・・・お前らの先祖と勘違いした」
「・・・過去の記憶もあったの?」
コイツ・・・バカだったような気がしたが冴えてるな。
「ある・・・俺が一緒に来たからな」
「私の先祖とアザミくんの先祖は似てるの?」
今の・・・という意味だよな?
「あぁ。似てるなんてもんじゃない。同じなんだ」
「そっか・・・」
そういや・・・おかしい。なんでコイツ記憶あるんだ?
「その事なんだけど・・・アザミくんと暮らしてたら戻っちゃった!!」
読心術は、この際気にしない。が、やっぱり暮らしてたんだな。
しかも、顔を赤らめながら手を組むな・・・可愛いって思ってしまう。
「・・・で?」
「なにがだ?」
「どうして飛ばしたの?」
「・・・いつか話すから」
俺の悲しい表情に口を閉じたブランカ。何も言わないと分かったのか、必死に別の話を探してる。そんな姿も、昔や未来と変わらず可愛い。
「そういや・・・アザミは?」
「・・・」
「ブランカ?」
いつも、嫌という位側にいるのに今日は、全くいない。
ブランカは言おうかどうか迷って・・・
「過去を探しに・・・かな?」
「・・・過去?」
「どうして・・・両親が見捨てたのか」
「・・・それは見つからないだろう」
「え・・・」
目を見開いたブランカ。なんで、という風だった。
「・・・アザミに伝えろ」
「伝え・・る?」
「アイツは―――」
全てを聞いたブランカは、驚き目に涙を浮かべた。
嘘、と信じたくないような表情をして。
「私達・・・は?・・・未来の私達は・・・知って・・・」
泣いてるせいか呂律が回っていない。呼吸もし辛そうだ。
「未来のお前らは知って愛し合ってんだ」
「!!」
「支えてやれよ・・・カサブランカ」
「・・・・うんっ。ありっがとっ」
泣くな。俺がアザミに怒られる。
正直、言うか迷った。こんな表情にさせてしまうから。でも、こいつらなら乗り越えるって思ったんだ。
「ありがとな・・・ブランカ」
「え・・・」
「俺は最低な人間だからな」
「違うっ!!ヨメナくんは良い人だよ!!」
なんで一緒なんだよ。未来のお前と過去のお前。同じセリフで、自分を責めた俺を癒した。
泣きそうになるな・・・コイツは俺がどう思ってるか分かんねーんだよな。
「お前の大事な人を殺したんだぞ?」
「・・・理由は分からないけど、ヨメナくん優しいよ?」
責めてくれた方が、俺は楽なのにな。それなのに、全く責めない。
「にゅっ?」
「はあ?」
なんだ?変な声出しやがって・・・
「私帰るね!!アザミくんが帰って来たみたいだし・・・」
俺に手を振って、走り出したブランカ。
「・・・はぁ」
「何、溜め息吐いてんだ?」
「うぉっ!!」
なんだミントか・・・背後から声を掛けてきたからビックリしちまった。
「あのさ・・・」
「ずっと気になってたんだが・・・」
同時に話し始めたから、数分位黙ってしまった。
「なに?気になったって・・・」
「ずっとな・・・」
なんで赤くなってんだ?どうでも良いか。
「どうして、ブランカと知り合ったんだ?」
「そっち?」
なにがだ?何が“そっち”?
「ブランカのお母さんと私の母は親友だったの・・・それで、事件が起きた」
「!!」
先祖と同じ事件が起きたようだ。血が繋がってるせいなのか・・・
でも、流石にアイツらなら乗り越えられるだろう。
「そういやアンタの話は?」
「あ・・・今度、近くの神社で・・・・お、お、お祭があるみたい」
「へぇ・・・」
だから何なんだよ?意味分らない。
「一緒に・・・行かない?」
何で顔を赤らめるんだよ。たかが行こうってだけなのに・・・
「だ、ダメ?」
ドキッとした。赤い顔で上目遣いだからだ!!断じて好きというわけじゃねーからな!!
「・・・あ、ああ。行こう」
「ホント!?」
なんで吃ったんだよ。しかも、了承しただけで笑顔になるなんて・・・
「じゃあ・・・・来週に」
楽しみにしてる自分がいるのがビックリだ。
来週は空けとかないとな。
次の話にはヨメナが言ったことが分かります。