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予定は未定
心臓の斜め下、横隔膜の上に鎮座する黒い塊は普段、丸まったまま息を潜めている。
朝起きて歯を磨くとき、昼食のため外に出るとき、友人と買い物をするとき、日常生活の中で黒い塊は私の邪魔をせず、じっと静かに外を眺めている。時折小さくあくびをしながら、それでも決して干渉せずに、私の行動を冷静に見つめている。
だがある話題に触れた途端、黒い塊はぐわりと口を開いて歯をむく。塊は膨張し、どろどろの液体をまき散らして、横隔膜の上で跳ね回る。そうなってしまうと私にはどうにもならない。アバレロ、アバレロと喚く黒いヘドロに身を任せぬよう、また小さな塊に戻ってくれるように耐えることしかできない。
自己を膨張させていたどろどろを満足するまで周囲にぶちまけて、内臓が消化しきるまえに塊は動きを止める。そして目を細めて体を丸め、横隔膜の上でまた寝息を立てる。もういい加減にしてくれよと声をかけても知らぬ顔で、早く日常に戻れと鼻を鳴らす。
全くもって身勝手なこいつを、私は「コンプレックスくん」と呼んでいる。