【※全ネタばれ】登場人物・あらすじ要点紹介
【カイム・ノヴェク】(男性)
三十四才
双生児を追う組織“ステルスハウンド”の代表。公称は“泰西民間軍事保障”。
王の血筋であり、ノヴェクの主人、猟犬の主人。
……童帝。
猟犬というヒトを飼う絶対的な主。
十代から館を統べる役割を担うという、一般常識では考えられない世界で生きて来た。それ故、子供の頃から大人のように扱われて、無分別に敬われている。歪な育ちが悪影響を与えないはずもなく、猟犬との向き合い方を常に問われている。
『第2章』で、カイムはヘルレアへ館を終の住処――番無き臨終の地にしないかと提案している。それに対してのヘルレアからの答えは不明。
後半ヘルレアと濃厚な口付けを交わすに至ったが、カイムの特殊性故に性接触が失敗。カイムの護り続けていた夢が崩壊し、ついに主人と猟犬の関係を正常な状態へ帰す。
『第3章』では、カイムが娼館で遊んだ事で、ヘルレアに気持ち悪いと思われているのではないかと、落ち込んでいた。王は人間の年頃だと思春期に相当するので、カイムとしては思春期の娘に嫌がられる、父親の気持ちになったらしいのだが……?
【ヨルムンガンド・ヘルレイア(通称:ヘルレア)】(無)
約十代半ばと認知されている。
番がいないのでまだ幼蛇。
死の王、怪物の王と呼ばれる双生児の一人。世界蛇とも。ライブラ協会員。顕現した時にライブラに囚えられて、教化されたと業界で言われているが、一切の生育歴が不明。ヨルムンガンドである事を配慮したものの尺度だとしても、既に持ち得る人間性とその穏やかさが問題となっている。人間と向き合う姿勢が、歪で狂っているとすら言われている。しかしながら、カイムはそれを好しく思っている面がある。
悪戯好きなのが玉にキズで、人を翻弄する。
視覚的扇情性や粘膜興奮誘引能という、厄介な欲情を誘う能力を持ち、カイムをかなり苦しめている。
【ヨルムンガンド・アレクシエル(通称クシエル)】(男性)
約十代半ばと認知されている。
ヘルレアの対となる王。番は女。
ヘルレアと相反する暴虐の王。『東占領区:1章』件以前は一切不明の存在だったが、ヘルレアとの出会いによりその正体が僅かばかり明らかになる。下僕を数頭連れている。
【ジェイド・マーロン】(男性)
四十〜
影の猟犬の部隊長。
事実上、カイムの側近。
影どころか猟犬の中でも、トップクラスに強い兵士。更に猟犬で指折り数える、体格の良さを誇る。
今現在、カイムよりもヘルレアに近い稀有な男。ヘルレアと結構込み入った会話もしており、カイムよりも信頼されている?
なお、ヘルレアの番には絶対になりたくないもよう。
猟犬が本来嫌う、コーヒーが好き。
【チェスカル・マルクル】(男性)
影の猟犬の副部隊長。
仏頂面のポーカーフェイス。身長175センチいくかいかないかの小柄な男性。しかし、猟犬らしく鍛え上げている事で、体格の面で弱味はない。
結構、主人であるカイムへ辛辣な発言をする男。幼い頃から主人に目を掛けられていて、成獣になってからもその優秀さで、猟犬として第二位に置かれている。一応、仔犬の頃は可愛かったらしい。
対人工作を得意にしているが、部下にドン引きされるのを面倒に感じている。
【ランシズ・クレイン】
(元猟犬、オルスタッド・ハイルナー)
三十
ヘルレアの綺士筆頭。
かつてカイムの飼い猟犬だったが、『第3章』では、ヘルレアの下僕となる。
元影の猟犬の副部隊長。
負傷で欠員していたが、ヘルレアの綺士になる事で全快。まだ、殆ど情報無し。
自ら猟犬へ堕ちたという談有り。
クロエへ好意を抱いている事に、気が付けなかったという鈍いヒト。綺士になった以上は、堕綺羅の罪に関わる恋愛感情は危険なものと推測される。
【アンゼルク・ルドウィン】(男性)
三十〜
ライブラ協会会長。?。
ヨルムンガンドの二人に何らかの関係性がある謎の男。三章では不在。
【エマ・カイエン】(女性)
二十〜
カイムの私設秘書。
幼い頃からカイムと個人的な交流を持つ。カイムへ恋心を抱いているが、進展はなく、むしろ相反する心情にある。
カイムはエマを民間人の象徴のように、捉えている節があるようだ。三章では不在。
【ジゼル・?】(女性)
十才前後
金髪翠瞳の美少女
ヨルムンガンド信奉者、“レグザの光”に利用された子供。ヘルレアの番へ充てがおうとするだけあって、容姿も選別した旨を口に上らせていた。
身体に細工をされてしまい、館の一室に一生監禁される状態に置かれる。
その容貌からカイムの隠し子と、ヘルレアとジェイドに言われる。当のカイムはジゼルの容姿に渋い顔をしていた。
二章では眠ったまま章をまたぐ。存在が危険なのでヘルレア等に監視される。三章ではヘルレアの下僕であるランシズが主人の代わりに監視をしていた。
【ブドウちゃん】
チェスカルの見立てで七才。
コールデルタ、ローザ村の少女。
喋れないし、文字も書けないので一切身の上が不明。ブドウ色の瞳でブドウちゃんと呼ばれる。
唯一兄がいる事だけが分かった。
灰白の髪と、濃厚な葡萄色の瞳という珍しい容姿を持っている。また、灰白の髪が見ようによっては銀色にも見えるという。チェスカルの知識から、“北の計画保護指定隔離民族アンスール”というものが登場し、その希少性が明るみになる。
顔立ちは普通のかわいい女の子。
【オリヴァン・リード】(男性)
玩具屋の店主。変な情報屋。聖母の盾、現教主。
王の血筋だが、離脱という会話も?。カイムとの関係性は一切不明の変人→カイムの同級生で、同じ寄宿舎で暮らし学んでいた。聖母の盾内で紛争があり、他勢力であるノヴェクが囲う学校で、身を守っていた。カイムよりも数段上という本人達の談あり。三章から、大人の夜遊びにも精通しているのが分かり、カイムが訪れても安全な娼館を紹介した。しかし、その娼館“蜂の巣”が襲撃され、彼、ヘルレア、ジェイドの三人で、カイムが居る下層を目指す事になる。人外に襲われた時は先陣を切って対処するなど、ただのいい加減な男ではない面を見せる――だが、やはりいい加減。
【ハルヒコ・ホンダ】(男性)
影の猟犬の隊員。
東洋系と西洋系の特色を持つ、190センチ近くにもなる大柄な猟犬。影ではジェイドに次ぐ2位の偉丈夫。エマが好きなのだが全く踏み込めないでいる。良い人っぽいとチェスカルに評価されている。
【ルーク・トラス】(男性)
二十代
影の猟犬の隊員。天与の器の天犬。
血気天客(魔類神類)の専門家。
珍しい人種らしいともっぱらの噂だが、噂のまま。黄金の犬へ獣身転化出来るが、時限式。頭はよろしくない。
【エルド・シュライフ】(男性)
影の猟犬の隊員。外界術専門家(魔術類召喚類)。
表面上目立った活躍は現在なし。
毬栗頭の青年。カイムに毬栗が気に入られているっぽい。
【ユニス・カロル】(男性)
影の猟犬の隊員。
表面上目立った活躍は現在なし。
パーツは王子様なのに、猟犬らしくガタイが良すぎて残念がられている。
【アストラル・ゼメキス】(男性)
影の雑用。愛称、アトラス。
未登場。
両親が猟犬同士で、館生まれの館育ちという純粋な猟犬。
【シド・ペテル】(男性)
影の雑用。
珍しいノヴェクの血が流れる猟犬。
父親がノヴェク、母親が猟犬という、最も嫌悪される血統を持つ。
【ベル・ヴィッカ】(女性)
影の雑用。愛称、ヴィー。
カイムが大好きな事を積極的にアピールする猟犬。そしてカイムもつい甘やかすという、案外上手く主人を操縦する事を知っている策士?。
【クロエ・メロウ】(女性)
影の雑用。
カイムの手が滑っちゃた感がある猟犬。ごく軽い御手付きながら、主人の傲慢さがさらっと出ていた。今後どうなるかは不明。
【女王蜂】(女性)
年齢不詳。謎多き人物。
3章に登場するので、まだ未登場。
最高級娼館“蜂の巣”を統べる女主人。
チェスカルが言うに“蜂の巣”は、伝説の古代神領“果樹園”の名残りだという噂があるようだ。
漆黒の髪にオパールの瞳を持つ驚異の美女。カイム曰く、麗しい落ち着いた大人の女性。どうやら、カイムの好みらしい。
女王蜂に相手をしてもらえる客は少ないらしいのだが、オリヴァンがわざと飛び込みでカイムの相手を願い出たら、即時了承された。オリヴァンが言うには品性と格を問われるらしく、カイムはお眼鏡に叶ったらしい。
女王蜂はカイムをもてなし、彼のふでおろしをした?。
最高の外法外道術師であるが、強過ぎるが故に力の使い方を誤り、そこを突かれた敵襲を受けてしまう。
異能を持つようだが実態は不明。
【ノイマン・クレス】【死亡】(男性)
元ライブラ協会会長。
幼蛇のヘルレアを捕らえたという驚異の男。ヘルレア解放後の保護も全面的に行っていた。
世間では病死、協会内では自殺、ヘルレアは他殺と、死因が迷走中。
ヘルレアが恋するオジサマ?
【セイジュウロウ・マツダ】
カイム専属執事。
アルカイックスマイルが素敵な爺や。
元々カイムの父親に仕えていた。
【バングレン・ボルグラム】
臭い飯を食う男?
“潰し屋”という異名を持つ。
粗暴な振る舞いをするインテリ――カイム談。
ヘルレアとカイム双方共へ交流がある異質な人間。ヘルレアに借りがあったらしい。カイムはバングレン本人へ向かって、交流の拒否感を示している。バングレンの言うここいらというのはまだどこの界隈を表しているのか不明。
【オウリーン・ライフナー】(女性)
軍部総統。
東占領区の施政者。
西アルケニアから独立し、独裁政権を確立した女軍人。今なお東占領区は一方的に西アルケニアを威嚇し続けている。
西アルケニアの施政者、ダイセン・ライフナー公の長女。兄が四人いて、一人だけが同腹の兄妹。
【アデライン】(女性)
クシエルの綺士。
口汚く下品で、性的な罵倒を繰り返す。
外界術を外法を操り、名前と百足を図案化したものを人間へ“刺繍”することによって、それらを操る。まさに操り人形のように糸で操っている。
その外法を用いてコールデルタ国、ローザ村の全住民を支配下においていた。
また、ローザ村の土地を統べる神獣“百足”を捕らえて操り、幻惑能力を利用していた。アデラインと百足の力は拮抗しているようだ。
【地を統べる神獣、百足】
初めて登場する天客類。
コールデルタ国ローザ村の土地を守護する神獣。アデラインに捕らえていたが、ルークに解放されると綺士へ襲いかかった。土地を荒らされて、アデラインへかなり怒っていた。百足が強力な幻惑を綺士へ仕掛けて、チェスカル達も巻き込まれてのたうつ事になったが、百足はそれ以降幻惑を一切使わなかった……それはつまり?
アデラインに村人を虐殺され尽くした瞬間、百足は悲痛に鳴いていたとチェスカルは衝撃でもって受け止めた。
無機質でグロテスクな百足ではあるが、その心は、元人間である綺士よりも慈愛に満ちているようだった。
ルークが言うには、村人が全滅した以上百足はいずれ死に、消滅してしまう。庇護のない村も同じように消滅するのだという。
【ヨルムンガンド・レグザイア(通称:レグザ)】
先代の王。
【エルヴィラ・ザンダーランド】(女性)
猟犬の棲家、警備兵。エマの友人。
【コニエル・リー】(男性)
猟犬の棲家、警備兵。エルヴィラの恋人。