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赤いスカーフ

第五章赤いスカーフ




日直当番




この学校では

四名の班ごとに

一週間交代で

回ってくる




正確には

週直当番なのだろう




放課後 

バスケの部活動へ

行ってしまう安島と

一緒に帰る事もなく




教室に

残ったのは

初めてだった





学習班だけに

実験室などで

話した事がある

クラスメート



これと言って

違和感もなく

会話できたのは



授業に沿う

ごく当たり前の

グループ実験

だったからだろう



女子が若干少ない

クラスメート



僕の班は

男子3人女子1人



ボブカットの女子は

吹奏楽部で

クラリネットを吹いている



窓の鍵を

確認していた男子が

窓の外を眺め

言葉を漏らした



「日高 綺麗になったよな」



言葉に乗せられ

窓の外を見ると

色白の女の子が

音楽室のある校舎へ

足早に歩いている姿があった



赤いスカーフが揺れ

曼珠沙華の赤に照らされた

見覚えのある顔に

目を凝らす



安島の横で

微笑んでいた

女の子に違いない



黒板消しを

叩き終えた女の子が

窓を閉め



「日高さん 化粧してるんだって」



日誌を書いてる男子が

口角を上げ



「色気づいてんじゃん」



嫌味を含め

笑った




日誌を閉じた男子が

窓の外を見ながら

立ち上がる



「日高 紫乃と言えば

 安島の幼馴染だろ?」



カーテンを束ね

振り返る男子



「美男美女のカップルじゃん

 入り込む隙がねぇな」



「まぁ お前じゃ無理だろうな」



小学時代からの

付き合いなのだろう

笑いながら

じゃれ合う男子二人



飽きれた顔で

見ていた女子が

溜息を漏らし



「そうでもないみたいよ」



意味有り気な

言葉を告げた




クラリネットを

練習する教室へ

パート別に別れるらしく



女子の言葉は

パートの先輩から聞いた

話のようだ



「吹奏楽部にさ

 西山先輩って言う

 ちょっとカッコイイ先輩が居るんだけど

 日高さんが 色目使ったって

 西山先輩の取り巻き軍団が

 怒り狂ってるって話」



じゃれ合う二人が

窓の外を見ると

そこには 日高の姿は

すでに なかった



「集団虐めとか?」



強張った表情で

冗談を返す男子



首を若干 傾けた女子は

何とも言えない顔をし



「よく わかんない…けど

 巻き込まれたくないから

 結構 みんな部活が終わると

 急いで帰るようには

 してる…かな」



曖昧な黙秘に

誰もが 溜息を吐き



「女は怖い怖い」



日誌を持った男子が

鞄を持ち教室を出て行った



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