短編:無題1
庫出しです。いつのモノか忘れました
僕はそう思ったけれど、彼/彼女はそう思わなかった。
ただそれだけの話。
彼/彼女とは会ったこともなかったし、もちろん見たこともなかった。
けれど、僕らは決別した。
ともかく、合わなかったというかなんというか、そう、決定的に「違う」のだった。
決別(他に言い方が見当たらなかった。僕の語彙力がないだけだと思う。)して暫くしてから、感じないことを「感じた」。
それを別段変には思わなかったし、生きることには何も困らなかった。
そうして過ごしていく。
ふと立ち止まると、雑踏が聞こえる。
それが何を意味するのか。
―――――――「誰か」、ということ。
違う。
「僕じゃない」ということ。
でも、それは本当の意味で僕じゃないのだろうか。
だって、「聞いている」のは僕だ。
だったら、それは僕じゃないのか。
誰も、教えてくれない。
きっと、答えもない。
僕は、誰にも感じられない。
その時、僕は思い出したのだ――――「寂しい」という、原初の思いを。