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苗字の話

「時に称名」

「あ? 何だ?」

写真部の部室、その中には一年生の小泉と称名の2人だけだった。

その中で、小泉が称名に話しかける。

「バッハって知ってる?」

「音楽のか?」

「うん、それ」

「それがどうしたんだ? 別に暗記テストとかはまだ無いだろ?」

「あのね、バッハって実は小川さんなんだよ」

「………………は?」

意味不明な言葉に理解出来ず称名は首を傾げる。

「バッハってね、ドイツ語で『小川』って意味なの。だから音楽家のバッハは、日本語に訳したら小川さんになるんだよ」

「……いや、別にそういう意味じゃねぇだろ」

「まそれはともかく」

「おい」

「称名の名字って変わってるよね」

「いきなりだな」

「小川さんを知ってからね。写真部の皆の名字を考えたんだ」

「バッハは小川さんじゃねぇからな?」

「とりあえず先輩方の名字が、これ」

小泉はすらすらとノートに名字を書いた。


三年生 瀬戸 洲崎 平潟


二年生 野島 内川


「洲崎先輩が一番少ないかな」

「まぁ……そうだな」

「で、後はわたしと称名と…………あれ?」

称名まで書いたところで小泉のペンが止まった。

「どうした?」

「いやさ……キハンの名字って、なに?」

「キハンって、あの?」

一年生三人の一人、キハン。

「うん、よく考えたら名前呼びが定着して名字知らないなと思って」

「そういや、名前で呼んでくれって自己紹介の時言ってたな」

「だから忘れちゃったよ。称名覚えてない?」

「いや、分からん」

「ふむぅ……キハンの名字があれば全員埋まるのに」

部員の名字が書かれた紙をペンでとんとんと叩く。

その時、

「……教えようか?」

2人の背後から声が聞こえた。ぞっとする背筋に耐えながら振り返ると、

「……どうもです」

内川が2人の後ろに居た。

「今、扉の開いた音した?」

「いや……聞いてない、けど入ってるなら開いたんだ、ただ聞き逃しただけだ」

「なら良いんだけど……」

「……?」

後輩2人の会話に首を傾げる内川。

「……キハンの名字は、こう」

少ししてから小泉からペンを借りてさらさらとキハンの名字を書いた。

「おぉ……キハンの名字ってこんなだったのか」

「こりゃ部員で一番珍しいかもな」

「元々ハーフで珍しいのに名字までとは……キハン、恐るべし」

「いや恐ろしくはないだろ……って、内川先輩、何故キハンの名字を?」

「……内緒」

喋らないと示す為にか、両人差し指でバツを作って口の前へ持っていった。

「きっと内川先輩の人脈が広いんだよ……あ」

そこで小泉は思い出した。

「そういえば内川先輩知ってますか? 音楽家のバッハって…」

「いやだからそれは違…」

「…………小川さん?」

まさかの、内川も知っていた。


写真部全員、と見せかけて一人以外、七人の苗字が公開された話です。

よく考えれば珍しい苗字とそうでもない苗字が半々くらい、そうなると残る一人の苗字が気になるところですが……それは、案外すぐにわかるようになります。

そろそろ、登場人物達をまとめ物を書こうかと思うのですが、やはりそういうものはいりますよね? 人数が多く出たり出てなかったりしていたら。


それでは、

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