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スロットの話

月日による、3つのゾロ目の日なので、こんな話はどうでしょう?

「むぅ……なかなか揃わないなー」

「ヤウ、もう一度ワタシにやらせてください」

「いいよ。はい」

写真部の部室。その中で一年生の小泉とキハンが一台の携帯で何かをやっていた。

その光景をしばらく見ていた三年生の洲崎は、キハンが、

「あう、またダメでした……」

と言ったのを聞いてから声をかけた。

「なにしてんのよ」

「スロット、です」

小泉はキハンから携帯を受け取り、画面を洲崎へ見せた。

そこにはスロットマシンが表示されており、三つのレールにどの絵も揃っていない。

「そんなに難しいの? そうは見えないけど」

「いえ、普通に揃えるならわりと簡単なんですが」

「777を狙っているんです」

それぞれのスロットに一つずつしかない7。それを3つ揃えたものが最も高得点で、2人はそれだけを狙っていた。

しかし一向に揃わず。1ゲームにコイン3枚を使い、小泉は39枚。キハンは既に81枚使っている。

「ふーん、あたしもやってみていいかしら」

「どーぞどーぞ、むしろキハンが100の王代になったら先輩方に声かけるつもりでしたから」

「オーゥ……もうワタシ、そんなに使ってましたか……」

携帯が洲崎に渡され、コインを3枚入れてゲームスタート。

「止めるタイミングでこのボタンです」

「分かったわ」

高速で回るを目を凝らして見る。

一瞬、7が見えたタイミングで洲崎はボタンを押した。

だが、止まった場所に7は映っていなかった。

「くっ……早いわね」

「まず7を出すのが大変ですからねー」

洲崎はその一回を諦めて適当にボタンを押し、新たにコインを投入してスロット開始―――

―――それから3分。

「……揃わないわね」

洲崎は777を揃えられていなかった。

その間に30枚のコインを使い、何回かは偶然絵柄が揃って18枚のコインを手に入れ、実質12枚の損失をしていた。

「それだけ得点高いですからねー」

洲崎が小泉へ携帯を返した。

その時、

「みんな何やってるのぉ?」

部室にいたもう1人。三年生の平潟が3人の様子に気づいて近寄ってきた。

「スロット、です」

「私もやってみていいかなぁ?」

「どーぞどーぞ。このボタンでコインを入れて、このボタンでスロットを止めるんです」

洲崎にしたのと同じ説明をして、小泉は平潟へ携帯を渡す。

「犖華、777狙いよ」

「平気ですよ洲崎先輩。元々期待してませんから」

「いやまぁそうでしょうけど、それ本人の前で言うのはどうなの?」

「すた〜とぉ」

2人の声が聞こえてたかは分からず、ゆったりとした声でスロットを回転させた。

そこで、キハンが気づいた。

「あ、センパイ、コイン1枚しか入れてません」

今までコインを3枚ずつ入れていたのに、平潟は操作が足りずコイン1枚でスロットを回転させていた。

「アレでは、真ん中の横を揃えないと意味がありません」

「3枚でムリなのに1枚は無謀ですね」

「仕方ないわ、諦めなさい。だって犖華だもの」

「はい、元よりそのつもりです」

「え〜い」

3人の会話は全く聞こえず、平潟は自分のペースでスロットを止めた。

すると、

「うわぁ〜! 見てみてみんなぁ!」

画面には横一列に並んだ3つの7が映っていた。

今まで鳴ったことのない明るい音楽と共にジャラジャラとコインが増える音が聞こえる。

聞こえる。聞こえる。まだ聞こえる。

その数なんと、500枚。3人の損失を差し引いても充分過ぎるお釣りが帰ってきた。

『……』

3人は言葉を失い、平潟は、

「おもしろいねぇ、コレ。もう一回やっていい?」


これを考えたのが、1月の13日くらいでした。もう少し早ければ……

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