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親子丼の話

「皆サン! 聞いて下さい!」

写真部の部室。急に思い出したかのように発言して、キハンが部員の視線を集めた。

部室にはキハンの他、小泉、洲崎、瀬戸がいる。

「どしたのキハン、いきなり」

隣に居たが特に驚いていない小泉が冷静に訊ねる。

「ワタシ、昨日家族でファミレスに行ったのです」

「おぉ、家族団らん」

「ワタシはオムライスを、父は親子丼を頼みました」

「おいしかった?」

「ハイ、とっても」

「それで?」

「親子丼は、卵と鶏肉の鶏親子をご飯の上に乗せたものですよね?」

「鶏親子て」

「つまり、親子丼と呼ぶ条件は鶏肉と卵がご飯の上にある事ですよね?」

「まぁそうだな、別に鶏に限らず鮭とイクラでも親子丼と言えるが」

「それでですね、ワタシは気づいたのです……」

キハンは勿体ぶるように間を開けた。それにより他3人の次のキハンの言葉への期待が高まった。

そして、

「チキンライスを卵で包んだオムライスも、親子丼と呼ぶのではないでしょうか!」

『!?』

3人は目を丸くした。

「確かに……チキンライスと薄焼きの卵、鶏肉と卵だ……」

「ちゃんと親子が揃ってるわね……」

瀬戸と洲崎は雷を打たれたように感心していた。だが、

「……でも、何か違くありません?」

「あぁ、何か違うな」

「そうね、何故かそうは呼べない気がするわ」

「そ、そうですか……?」

発言者キハンは共感を得られず慌てている。

「うん、何か、そう呼ぶには足りない」

「えぇ、何かが」

「何か足らない気がするんだ」

その何かが出ない3人。何かが、何かが、と考えていると。

「……どうもです」

扉の開く音もなく、部室に内川が現れた。

だが茶飯事なので誰も驚く事なく皆挨拶をする。

「あ、そうだ内川、お前も考えてくれ」

「……?」

瀬戸はキハンの親子丼発言を話した。

「……」

内川は首を軽く傾け、数秒して元に戻す。

「……多分、ですけど」

ぼそりと呟き、

『多分?』

「……丼じゃなく、皿に乗ってるから、じゃないですか?」

4人に雷が落ちた。その発想はなかったのだ。

「そうか! 確かに親子ではあるけど、丼じゃない」

「親子丼は、親子が丼に入っている事が条件なのよ!」

「オーーゥ……盲点でした。だからオムライスは親子丼とは呼ばれてないのですね」

「よく考えたら西洋の料理で、丼も、親子丼っていう言葉もなかっただろうしね」

4人はスッキリした表情になった。

その時、

「……あの、これを」

内川が放浪先のお土産が入った紙袋を差し出した。

「悪いな毎回」

「今回は何なの?」

「……えっと」

内川が紙袋から中身を取り出す。

それは、派手な外装したチップス。

「味は……え?」

そこにはこう書かれていた。

親子丼味、と。

『……また、親子丼か……』

キハン、内川を除いた3人が同じ感想を持った。


考えた結果、この結論に至った話です。

王道なもの以外にも様々な親子丼が存在しますが、ある日オムライスを見て、これも親子だよな……と思いまして、彼らに話させました。

まぁ最終的には違うという結論になりましたが、オムライスを丼に入れたら……!

はたしてどうでしょうか?


それでは、

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