表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

SFの話

「第2037回。SFとは何だろう、大喜利大会を開始します」

写真部の部室内に部長瀬戸の声が響き開会が宣言された。

「わ〜」

ぱちぱちと平潟が拍手し、

「また開催されると聞いてやって来たぞ」

普段は暗室に隠っていて部室に顔を出さない野島が現れ、

「オオギリ、ってなんですか?」

聞きなれない言葉にキハンが首を傾げ、

「……」

称名が言葉を失った。

「……あの、瀬戸部長?」

おずおずと手を挙げながら称名が訊ねる。

「何だろうもなにも、SFはサイエンスフィクシ…」

「はいそこ、開始直後に答えを言わない」

ビシッ! と指をさされ言葉を止められた。

「ですが……」

「答えは分かってる。だがイニシャルの多い昨今、SFで他にも色々と考えられる、そこで、コレもSFだ! という言葉を探すのが、この大喜利大会だ。代々受け継がれ、宣言した回数も本当だぞ」

「はぁ……」

納得は出来ないように称名が呟いた。

「……ここ、写真部だよな?」

しかし称名の呟きに答える者は誰一人いなかった。

「では、これぞSFだ! というものがあれば挙手してくれ」

「は〜い」

大喜利大会が開始、最初に手を挙げたのは平潟だった。

「はい、平潟」

「スペースファンタジー」

「毎回誰かが言う答えだな、開始の言葉には最適かもしれないな」

「はい」

続いて挙手したのは野島、

「はい、夕照」

「少々ファンシー」

「じゃあだいたいは何なんだろうな、しかしファンシーなんて言葉をまさか野島から聞けるとは思わなかった、一点だ」

瀬戸は黒板に野島の名前を書き、下に線を一本引いた。

「他、いないか?」

まだ発言していないキハンと称名へ視線を向ける瀬戸。

「は、ハイ!」

キハンがぴしっと手を挙げた。

「はい、キハン」

「す、スッゴイふしぎ!」

「王道だな、毎回誰かが言う言葉だが……本来それ故に減点対象だった。だが、初出場なら仕方ないな」

「オーーゥ……オオギリ、計り知れないです……」

緊張ぎみにキハンは呟いた。

「……いや、そういう話じゃないだろ……」

なぜ写真部で大喜利? 全く訳が分からない、という風に称名は肩を落とした。

「では次、順番的に称名」

瀬戸が指差したのに称名は気づいていない。だが、

「……写真部かどうか、不安になってきた」

『お〜〜!』

称名以外の声が重なった。

「……え? はい? 何ですか?」

「まさかのSF……予想外だったぜ、称名」

「はい?」

「今回の優勝は称名で決まりだな」

瀬戸は黒板に称名の名前を書くと、その上に優勝と書き花丸で囲った。

本人は気づいていないが実は、

写真部かどうか不安になってきた

多少無理があったが、SFになっていた。

「え、いや、別にそのつもりで言ったんじゃないんですけど……」

「タタナ、スゴいですね」

「すっごいね〜称名くん」

「ふむ、まさかのダークホースだったな」

「いえ…………あぁ、もう、良いです」

何言っても無駄だろうと、称名は早々にあきらめた。

こうして第2037回大喜利大会、優勝の栄冠は称名のものとなった。


現在、『空想科学祭2011』という、SF小説を集めたお祭りが開催されています、これを読んでいる方にもご存じ、あるいはご参加している方もいらっしゃるでしょう。

それに刺激を受けて書いたのが、この物語。お分かりだと思いますが、SF要素は全く含まれておりません。日常にありそうな会話をただ書き連ねただけとなっています。

今のご時世、イニシャル表示は多いですので、SFと書けばそれが必ずそれを表しているとは限らないのかもしれませんね。


それでは、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ