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乙艫キハン

青一色。

けどよく見るとそれだけではなく、ところにより緑身を帯びていたり濃かったり薄かったり白かったりする。

潮風を浴び、カモメをの鳴き声を聞き、青の多い場所を進む。

そんな場所を進む、特に障害の無い限りただただ真っ直ぐに進む。

本来浮く筈の無い鉄の塊が、浮力を得ながら作られる事で海に浮き、突き進む。

その迫力、豪快さ、スピード。

全てを含めて、ワタシは船が大好きなのです。

ワタシの船好きは外国に住んでいる父方のお祖父様が持っていたクルーザーが原点でした。

後、高いところがダメなのです。

コウショキョウフショウというものなのです。

そのお祖父様と別れ、ワタシは単身母の居るこの国へやって来ました。

ワタシはいわゆる、ハーフというもので、外見は父の血を多く受け継いだようです。

理由は、母に会う為と、こちらで高校へ通う為。

飛行機に怯えながらも無事に到着、母に会うことも出来ました。

入学式の日、真新しい制服に身を包んで学校へ、クラスでの自己紹介の時は皆さんに驚かれました。

ハーフはやはり珍しいみたいです。

次の休み時間からは皆さんが声をかけてくださり、とても賑やかでした。

そんな日が続いたある日、部活動を選ぶことになりました。

皆さんから様々な部活へ誘われましたが、ワタシは自分で選ぶと決めていたので皆さんのお誘いをお断りして、一人部活見学をしました。

様々な部活があり、どこにしようか目移りしている。

そんな中、見つけました。

「あ……」

それは壁に張られた一枚の船の写真。

ワタシが乗ってきた物とは違う、日本の船でした。

「……」

思わず見とれてしまいました。

まるで本物のような、けど大きさは何万分の一の大きさしかない四角、写真に収まっているのに。

それを見たワタシの中には、こんな感情がありました。

こんな写真を……ワタシも撮ってみたい……

すると、

「お、一年生か?」

壁の横の扉が開き、男の人が現れました。

「は、ハイ」

「じゃあちょっと入ってけよ。説明するぜ」

言われるがままに部屋の中へ、

「あれ? アナタ確か、同じクラスの…」

そこにはクラスメイトの方がいました。

机の上には写真が束になって置かれています。

「アナタもアレを見たのですか?」

「アレがどれかは分からないけど、まぁ写真に見とれてたね」

ワタシと同じです。

「うーん、やっぱりこの部活にしようかな」

「入部届けならすぐに用意出来るぜ」

「あ、あの!」

「ん? どうした?」

「あの、外に貼ってある船の写真は…」

「あー、アレは去年卒業した先輩のだな」

「ああいう写真が撮れるのですか? あの船の写真が?」

「まぁ基本的な技術は教えるが、あの船は結構遠い所で先輩が撮ってきたものだからな、船じたいは個人的に撮りに行かないとダメだぞ」

「そ、そうなんですか……」

「だが、その為にもここで、勉強しないか?」

あの船を撮る……あの写真のように……

「…………そんなに学ばなくても写真は撮れる気もするけど……」

「はいそこ、さらりと本当の事言わない」

「ふむぅ……やっぱり、わたしも入部します」

「何がやっぱりか分からねぇけど、ようこそ写真部へ」

「アナタはどうするの?」

「わ、ワタシは…………ハイ、ワタシも、入部しますです」

「分かった。ようこそ写真部へ」

「ハイ!」

こうしてワタシは写真部に入りました。今でも勉強中です。

いつか、あの船を撮る、その時を望んで。

ワタシの名前は、(おつ)(とも)キハン。

新たに写真部へ入部した、新一年生です。


景色のフォトグラフィ登場人物小説(勝手に命名)第3弾をお送りしました。

今回は一年生2人目、乙艫キハン。

彼女はハーフで、高所恐怖症で、船が好き、そしてムードメーカー。全員に名前で呼ぶようにお願いするのは、自分の苗字が難しいからです。だからクラスメイトでもその苗字を知らなかったりする人がいて……

彼女も含め、写真部の面々の名前は、ある八種類のものをベースに考えたものなのですが、キハンはその中で二番目に難しかったです。

色々と試行錯誤した結果、ハーフの方になりましたが、ほぼベースになったものそのままの名前だと完成後に気づきました。

ベースとなったものは、気になった方が個人で調べてみてください。部員の名前を入れればおそらく出てきますので、

そして、なぜこれをベースにしたか、ぜひ納得していただけたら幸いです。


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