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ファウスト〜二面紳士の対決の幻視〜ホームズ  作者: ヨハン•G•ファウスト


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12/14

第十二幕:まるで物語のような内容ーー

弁護士や探偵に話を持って行く時、

君はそのまま伝える?

でもーーもしも伝わらないかもと不安になったら、

君は誰を頼りにする?

やあ、君。作家が物語を読むと、その物語と自分の物語を比べちゃうもんだ。視点が変わるだけで、話が新鮮に感じて、自分の物語は別モノになる。

その時に筆を折るか、賞賛するか、殴りあうか、無視するかーー君はどうする?


第十一幕では、弁護士のアタスンが友のジキル博士の為にホームズの助けを求めてきた。


快適な居間の中で、二人の紳士は握手をしあった。探偵ホームズと弁護士アタスンだ。

「ミスターホームズ。私を覚えていますか?ヘンリーの雇われ弁護士です。彼の遺書をあなたと共に確認したーー」

「もちろんですとも、アタスンさん。

ハイド氏の件、私も胸を痛めてました。ーー何か進展でもありましたか?」

「ええ。ミスターホームズ。話だけでも聞いてくれたら、それだけでも、心が晴れるーー」とアタスンは顔をしかめた。

「気がかりでも?」とホームズ。

「実は学生時代の友が最近、死んだんです。事件ではないのですがーー我々のヘンリーに関して、秘密を抱えて行ったんです。神のもとにね」

「ーーいつかは、彼に会う。どの神かは知らんがねーー」とホームズは意味ありげに笑った。

ワトソンのヒゲが震えた。

「まあ、ソファに腰かけて。記録係に茶でも出させますーー」とホームズはニヤニヤ笑った。


弁護士アタスンは、彼の知る限りのことを話した。

彼のもう一人の死んだ友人の話も、改めて説明をしてくれた。

この話は、まるで一つの物語だった。

弁護士の彼の説明から始まり、ハイドへの話へとだんだん持っていく。

とても弁護士が思いつくような話ではなかった。

ハイドは女の子を踏みつけ、金の力で相手を黙らせ、暴力を繰り返す。ヤツのの恐ろしさが、ワトソンの脳裏に浮かんだ。

ワトソンはアタスンの物語を聞いて、自分の作品が恥ずかしくなった。

自分は物語を続けていいのかさえ、考えだした。

話はヘンリー・ジキルが、部屋に閉じこもったところに来た。

ホームズは唐突にアタスンの話を遮った。

「待ってください。最近のジキル氏は、部屋から出なくなったんですね?」

「ええーー具合がよっぽど悪くてーー」

アタスンは多少ムッとしていた。

彼は気持ち良く話してたんだ。

どこから話し直すべきか、彼はしばらく考えなきゃならない。

「ジキルは、制御ができなくなっているーーだから姿を見せないーー」

ホームズは、立ち上がった。

「急行でドーバー港へ!ヤツを待ち伏せるんだ!」

ワトソンも立ち上がった。

「ちょっと、待て!君の悪いクセだ!

勝手に話を進めるな!彼の話をもっと聞こうーー」

「話なら、いつでも読めるようになる。アタスンさん。あなたは作家なんかに話しましたね、僕と話をする前にーー」


アタスンの顔色が変わった。

ホームズには、それだけで充分だった。

「ワトソン、物語を早く書け!

ホームズは部屋から出ようとした。

ワトソンに視線を向けた。

「ーーライバルがいるぜ!」


ホームズはーーそこから、一歩部屋を出ようとして、彼は立ち止まった。そして、ゆっくりとワトソンの方に顔を向けた。

「ーーワトソン。一緒に行こう」

ホームズはワトソンを誘った。

それを聞いたワトソンの目は輝いた。

「もちろん!」と声を弾ませた。

「リボルバーに弾をこめてくれよ。必要になるーー必ずね」


(こうして、第十二幕はドーバー港行きの急行列車で幕を閉じる。)

ホームズに頼られたワトソン博士の喜びようは、

見ていて笑えたよ。

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