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2030→2024 渋谷スクランブル交差点で二人が出会うまでの物語  作者: Haruno
第三章 LYNXは語る 2030年8月

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美咲(11)

深夜0時


「さて、日が変わってしまったな。今日はここまでにしよう」


「社長、ひとつだけLYNXに確認してもいいでしょうか?」


私はホログラムの残光がまだ天井に滲んでいるのを見ながら、LYNXに問いを入力した。


「行動トレース上で、CとDに接点はある?

 直接でも、間接でもいい。SNS、メッセージ履歴、位置情報、交友関係、全ての範囲で。」


数秒の沈黙。


『解析中……』


ホログラムの光が一瞬だけ揺らめき、淡く収束する。


『確認結果:該当なし。

 両名の行動範囲、通信履歴、交友ネットワークに交差点は検出されません。

 接点の存在確率:0.003%。』


「……ゼロ、ですか」


私は小さくつぶやいた。


LYNXが表示を閉じると、社長室には再び静寂が戻った。


「この先は2人の未来予測シナリオを確認するしかないな。明日、って今日か、夜は大丈夫かい?」


「はい、よろしくお願いします」


「一ノ瀬君はやはり来れないかな、呼んで構わないよ。セキュリティ側には知られたくないから君の部署に打ち合わせとでもダミー案件を用意しておくけど」


「ありがとうございます、一ノ瀬さんに聞いてみます」


ホログラムの残光が消え、

システムの表示が浮かび上がった。


『セッション終了手続きに入ります。

 管理モード通信を遮断。

 KeySeal操作ログを監査部へ自動送信。

 倫理審査未通過操作として再審議対象に登録。

 セキュリティ監視スレッドを停止。』


冷たい電子音が一度だけ鳴り、LYNXのロゴが静かにフェードアウトする。


それで終わりだった。

ホログラムの光が完全に消え、社長室に暗闇と時計の針の音と夜の色だけが残った。


データの海の底に、まだ見つかっていない何かが眠っている気がした。


※※


家に帰って、畳に体を投げ出した。

ゼリーが食べたい…

シャワーをして、明日のゴミを…

あとやることは…

このまま眠ってしまいたい。


でも頭の片隅ははっきり覚醒していて、2人の情報が消えないまま残っていた。

今、家で2人のことをLYNXで調べたらすぐにセキュリティに引っ掛かるだろう。

PCを立ち上げたら誘惑に勝てない気がして、その夜私は初めてPCの電源をいれないままベッドに入った。


悠真くんに連絡しようと思った時には深夜2時。徹夜ならメッセージは送ってもいいだろうか。


「徹夜で作業してると聞きました。心配です。

ごはんしっかり食べて体に気をつけて下さいね。」


するとすぐに返信が来た。


『ありがとう。俺はメシは抜かないから大丈夫だよ。誰かさんと違ってね。』


私だってちゃんと食べてるのに。

糖分摂取は欠かしていない。

明日の夜のことを聞いてみようと思ってメッセージを打ちかけて消した。

仕事の邪魔になりたくなかった。


「あの二人が何者か分かりました。

明日以降なぜあの二人が原因なのか探りますね。ちゃんと正攻法で攻めてますので、心配しないで下さいね。おやすみなさい」 


報告だけ打ってそのまま寝落ちした。

メッセージの返事に気がついたのは会社に着いてからだった。


『会社に泊まり込むのは今夜までです。明日以降は夜は空くので美咲の都合がいい時に会いましょう』

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