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2030→2024 渋谷スクランブル交差点で二人が出会うまでの物語  作者: Haruno
第二章 近づく 2030年8月

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2030/8/18 美咲(2)

「なんだか知らない過去に振り回されるっていうのも嫌ですね」


「本当にね」


「過去と言えば……LYNXリリース直後くらいの話しなんですけど。だから一ノ瀬さんと、その、色々あった頃だと思うんですけど」


話したからどうなるでもないのに、聞いて欲しかった。


「私、元彼とヨリを戻したらしくて…」


「元彼と?……そうか、だから俺は振られたのかな」


ただヨリを戻したんじゃない。一ノ瀬さんを振ってヨリを戻してるんだから信じられない話しだ。


「でも、私からしてみたらヨリを戻したというのがあり得ない話しなんで……すっっごく無理だと思うことがあって、嫌で別れたので今でも二度と会いたくない人No. 1です」


「彼の何か同情するような事情を知った、とか」


私は頭を振った。


「ないです。何を聞いても多少同情したとしても私の知ったことじゃないです。存在を思い出すだけで不愉快になってきました」


「いつ別れたの?って聞いてもいい?」


「終戦記念日だから覚えてるんですけど、タイムリープした日のちょうど一年前に知り合って、でも嫌なことがあって耐えられず……、すぐ別れました」


「2024年か…LYNXリリースは2027年…」


「あっ、LYNXと言えば、交差点でのことを色々調べていた時に驚く事をLYNXに言われたんですけど……

タイムリープした日ですけど、もしも私が定時出社していたらってLYNXに聞いたら、その人が会社の前で待ち伏せしていたらしくて、遭遇して不快度MAXだっただろうってLYNXに言われたんです」


「とはいえ、何かあってその気持ちが変わったはず……なんてことはなさそうだね」


私がしかめ面をしたから一ノ瀬さんは言葉尻を変えた。


「知りようのないことなのに、もう自分を軽蔑して、嫌でたまらない気分になります」


なんで付き合ったんだろう、どう別れたんだろう。知ろうと思えば答えはすぐ手に入るはず。ただ、それをどう聞けというのか──自分のことなのに。

忘れようもないはずのことを。


「一応聞くけど、彼は今は?」


考えたこともなかった。


「今の私の周りに影を感じないので、円満に別れたのかなと思ってますけど……」


「そっか……、もし何か怖いことあったらすぐ呼んで、深夜でも走れば10分くらいで行けるから」


「はい……ありがとうございます」


一ノ瀬さんに知られたくない。こんなに優しい人に失望されたくない。どうしてあの男がそんなに嫌なのか、別れた理由でもあるけど、言いたくない。

自分でも思い出したくもない。


──私は目を閉じて、嫌な記憶を頭から追い払った。


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