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それでも世界は廻ってる。

作者: 晴彦

姉さんが死んだ。


僕の世界はひっくり返った。






道で猫が死んでいた。


埋めてやろうと思った。


猫の死体に近付こうとした瞬間


バイクが猫をひいていった。


バイクは少しだけよろめいた後、猫か僕にかはわからないが


『シネ』。


そう叫んで走っていった。


ニュースを観た。


バイクの事故で運転手と、近くを歩いていた人が亡くなったらしい。


次の日、僕の隣の机の上に花瓶が置いてあった。


白い花が刺さっていた。





最近右の耳が聴こえづらくなってきた。


病院に行った。


病院の先生はストレスが原因だと言っていた。


どうでもよかった。


車椅子に乗った女の子と友達になった。






親友が転校した。


父親が亡くなったらしい。


親友は別れる時、笑っていた。


僕もヘラヘラと笑っていた。


僕たちは笑うことしかできなかった。






新聞を読んだ。


今日もどこかで人が死んだらしい。


最近母親の調子が悪い。


右の耳が聴こえなくなった。






車椅子の女の子はリハビリテーションとして松葉杖で歩くようになった。


僕も女の子の付き添いで歩くようになった。


彼女は泣いていた。


私は一生普通に歩くことは出来ないと言っていた。


僕は彼女にかける言葉を見つけることが出来なかった。






転校生がやって来た。


何故かそいつは僕に友達になろうと言ってきた。


僕に新しい友達が出来た。






埋めた猫のお墓に行った。


先客がいた。


死んだ猫にそっくりな子猫だった。


あの猫の子供なのかもしれない。


帰ろうとすると、子猫は僕についてきた。


僕に新しい家族が出来た。






車椅子の女の子が歩けるようになった。


まだぎこちなくだが、自分一人の力で歩けるようになった。


僕は自分のことのように喜んだ。


女の子は顔を赤らめながら言った。


今まで私に付き合ってくれてありがとうございます。


私はあなたのことが好きです。


ずっと私と一緒にいてください。


僕は女の子から告白された。






僕に妹ができた。


母さんがこの頃具合が悪かったのは妊娠していたからだった。


来年の今頃、僕はお兄ちゃんになっている。






転校した親友から手紙が来た。


親が再婚したらしい。


新しい父親にはまだまだ他人行儀だが、いずれ本当の親子になれるだろうと書いてあった。


いつか親友のところへ遊びに行きたい。


新しい家族や恋人と一緒に。

姉さん。


姉さんが死んでから僕の世界は変わりました。


世界中でたくさん生き物が死んでいきます。


今、この瞬間にも死んでいます。


それは仕方のないことです。


形あるものはいずれ死にます。


それよりも今を生きることが大切なのです。


それに、世界は何も死だけで廻っている訳ではありません。


死の裏には生があります。


何かが死ねば何かが生まれる。


何かが生まれれば何かが死ぬ。


世界はそうやって過不足なく廻っています。






僕の世界はたくさん悲しみで溢れています。


姉さんが死ぬまではそのことには気付きませんでした。


心無い人が死んだ猫をひく。



昨日まで笑っていた人が事故に巻き込まれ死ぬ。


事故によって一人の女の子が歩けなくなり心を閉ざす。


耳が聴こえなくなる。


大切な友達が離れていく。


でも、その悲しみと同じくらい世界には喜びがありました。


だから姉さん。


僕は言います。


僕は今、






幸せです。

暗い話ですいません。


僕はこういう暗い話があまり好きじゃないんですが、勇気を出して書いてみました。


形あるものはいずれ死にます。

この作品を読んで家族や友人、恋人やペットのことを今よりも大切に思えるようになって頂けたら僕はうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 泣いた。 そう、世界は回ってるんだ。 いつかは・・・ いつかは笑えるよな!? ちょっと元気出た ありがとうございます by.友厨
2010/08/19 23:08 退会済み
管理
[良い点]  個人的に、こういう感傷に浸れる作品は大好きだったりします。 暗い話、と氏は仰りましたが、喜怒哀楽の表現をストレートに出来る作品を描ける方は素晴らしいと思いますよ。 [一言]  いつも笑…
[良い点] なんと言うか、もうこの話のストーリーが好きです。 個人的にマイナスで終わる作品はあまり読みたくないし、書きたくないんですが、この作品はどんどん希望が膨らむのが感じられて面白かったです! ゼ…
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