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第6話 卑怯でなんぼ

 ところ変わって、ウエストフォルド・セントラルから3キロ離れた時計塔。


 高さ100メートルの位置でライフルを抱えたレイヴは、獣化スキルでショッピングモール方面へ飛ばした烏と視覚を共有。アシェルの無事を確認する。


 いつも彼女が背負っているケースはコンクリートの床に置かれていた。

 

「お2人とも大丈夫でしょうか……」

「見た感じ、あの2人結構やるみたいですし、きっと大丈夫っすよ」

 

 セリアが不安そうに眉を下げていると、レイヴは笑みを浮かべながらライフルをケースへと仕舞う。

 

 チャックを閉めたレイヴはケースを背負い、周囲を見渡した。

 

「それはそうと、オタクらが隠れてることなんてとっくに分かってるんで、そろそろ出てきて貰えないっすかね?」


 セリアを庇うようにして前へ出たレイヴがそう言うと、柱や壁の影から銃器を持った構成員が複数人出てきた。


 数は12。この状況でここにいるということは、組織に準ずる者たちで間違いないだろう。

 

「大人しくセリアをこちらに渡せ。そうすればお前だけは殺さずに去ってやる」

 

 構成員の頭である女がレイヴに向かって言い放つ。女の腕にはマシンガンが抱えられていた。この分だと返答次第では、問答無用で銃撃戦になる。


 背後のセリアから視線を感じる中、レイヴはニィと歯を見せて笑う。

 

「そんなの、NO以外の選択肢なんてにないに決まってるじゃないすか!」

 

 レイヴはそう言うと、手に忍ばせていた手榴弾を敵に向かって放り投げた。刹那、構成員から発射された銃弾が当たり、爆発が起こる。


 それを開始の合図とするかのように、銃弾が2人に向かって放たれた。レイヴは背中のケースを前にして、セリアともども防御。中に鉄板が仕込まれているため、銃弾がレイヴの足元に落ちる。

 

「すいません、わたしがUSBを拾ったばかりに……」

「良いんすよ。それより、あそこの中にイルマさんが待機してるっす。地下までいけばもうそこはインベスターだらけなんで、大丈夫すよ」

 

 レイヴは銃弾の雨を凌ぎながら、時計塔内へ続く扉に目を向けて言った。

 

「で、でも……」

「あっしのことは良いんで、早く行くっす!」

 

 銃弾が止んだタイミングで、躊躇するセリアに発破をかけ、彼女の背中を押す。と、扉に向かって走るセリアに複数の銃口が向けられた。

 

「セリアさんを殺させはしないっすよ……!」

 

 レイヴがそう言った瞬間、彼女の背後に無数の烏の羽根が出現。構成員たちに向かって一斉に放たれる。構成員は引き金を引く間もなく、視界を奪われ、その場で攻撃を凌ぐ。

 

 その間にセリアが中に入るのを確認したレイヴは、再び獣化し、翼を広げ、手元にマシンガンを持って空へ飛んだ。


 マシンガンの引き金を引き、下にいる構成員を蹂躙。身動きが取れなくなったところで、地面に降り立ち、ワイヤー銃で構成員の1人を柱に拘束。


 他のメンバーが反撃しようとする中、レイヴは烏の羽根を受けた構成員の1人の腕を掴み、引き寄せる。

 

「ほらほら、お仲間さんが撃たれても良いんすかぁ?」

「痛い痛い!」

 

 構成員の腕を捻じり、煽るレイヴ。

 

「おい、卑怯だぞ!」

 

 頭の女が声を荒げる。

 

「卑怯でなんぼっす。戦場において、使えるものは使わないともったいないっすからね」

 

 レイヴは満更でもない表情を浮かべ、人質に取っていた構成員の背中に銃弾を撃ち込み、放り投げる。


 直後、敵陣に向かってマシンガンを容赦なくぶっ放し始めるのだった。

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