第20話 今度は私があんたにブチ込んであげる…
ガガガガ!
メリメリメリ! バキバキバキッ!
ガラガラガラーッ!
最初は何が起きたのか分からなかった…
私とパパの二人は
抜けた床ごと落下したのだ
幸いな事に私達が落ちたのは
階下のリビングに置かれた
ソファーのちょうど真上だった
すぐショックから立ち直ったパパは
私を助け起こしてくれた
「バキバキバキッ!」
まだ二階を壊す音が聞こえてくる
このままじゃ二人とも
屋敷ごとアイツに殺されちゃう…
何とかしなくちゃ…
そうだわ!
アイツが私を犯しながら
寝物語で話して聞かせたのよ
この王国は要塞だって
威張って自慢してた
銃もマシンガンも手榴弾もあるって
それに確か…
ロケット砲もあるとか言ってた
武器がどこにあるか
アイツは教えてくれなかった
当然よね
使われれば私に殺されるんだもの…
でも、今なら…
アイツは外にいて…
私達は家の中だわ
武器庫はどこにあるんだろう?
あっ、パパがリビングの壁を蹴って壊してる…
何か見つけたのね!
私はパパの傍に行き傍らに立った
何… これ…?
武器がいっぱいある… こんなにたくさん…
本当にアイツが言った通りだわ
ここに武器が隠されてて
ここは正しく要塞だったのね…
アイツ…
戦争でもする気だったのかしら…?
それぐらいの武器がある
私には教えてくれなかったけど
リビングの奥に隠し部屋があったのね
アイツが二階を破壊したから
武器庫の壁が壊れたんだ…
パパ…何やってるの?
その手にしてるのは何…?
その長い筒みたいなの…?
パパに聞いたら
帰ってきた答えは…
対戦車ロケット砲だって…
これがそうなのね…
これならアイツを
乗ってる重機ごと粉々にしてやれるわ!
でもダメ… パパは左腕を怪我してる…
ロケット砲を構えられない…
いいわ、私が撃つ!
パパ、やらせて… お願い
ここへ来る前から私は汚れてた
それは私の自業自得…
アイツのせいじゃない
でも…
あのクソ野郎はこの島で
人間としての私の尊厳を
踏みにじったのよ
絶対に許せない!
償いをさせてやるわ
今までアイツに殺された人達の仇も私が取る
あの人達は何も悪くなかったのよ…
ただ、私を好きになってくれただけ…
私と付き合っただけ…
ただそれだけなのに…
アイツは彼らを…
拷問して楽しみながら殺したのよ…
私に自慢げにそう言ってた
許せない!
私自身のために…
そして殺されたみんなのために…
私があのクソ野郎を!
パパ、お願い…
私にアイツを殺らせて
私はもうこれ以上落ちる所なんてない
死んだら地獄行きなのは覚悟してる
パパとママが行く天国には
私は行けないのよ…
でも…
アイツを殺して
いつだか分からないけど…
私も死ぬ時にはアイツと同じ所へ行く
だから、私が引き金を引くわ
パパの右肩にロケット砲を載せさせて
右手でしっかり押さえててね
これでいいわ…
ようし、準備完了よ
いつでも来い、クソ野郎!
「ダキューン!」「カンッ!」
「ダキューン!」「カキンッ!」
パパが撃った拳銃の弾丸が
簡単に重機に弾かれた
そうよ、そんな拳銃なんかで
簡単に死なないでね…
あんたには
もっといいモノあげる…
私の身体にあんたの汚いモノを
何度もブチ込んでくれたお礼に
私から百倍返しのプレゼントよ
今度は私があんたにブチ込んであげる
このぶっとい対戦車ロケット砲を
受け取れ、このクソ変態野郎っ!
「バッシュッー!」
「ドッカーンッ!」
ユンボのアームがふっとんだ
運転席は跡形も無い…
もちろんアイツも…
消えちゃった…
やった… やったのね!
神様…
ありがとうございます…
パパに逢わせて下さり…
アイツをやっつけさせて下さって
私はいつか地獄へ落ちるでしょう…
でも、後悔はしていません…
お力をお貸し下さり
心から感謝いたします
神様…
ざまあみろ
お前はもう
悪い事が出来ないのよ




