ゆめリボン 『とある吹奏楽部の記録』
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります
手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています
関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております
小説は毎朝6時に投稿いたします
ぜひ、ご覧下さい♡
Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい
hhtps://www.instagram.com/iroit0
『今年は全国!』
『金賞!』
『全国行くぞーーーーー!!!!!!』
口々に出てくる言葉は『全国』『金賞』
と言っても、その全国へ行ったこともない弱小吹奏楽部である
『最後なんだから絶対行くぞーーーーー!!!!!!』
そう今年最後の高校生活なのだ
弱小吹奏楽部で過ごす私を変えたのは、高1の夏に塾で出逢った全国1位の吹奏楽部の女の子だった
流れ作業のように演奏練習している自分の部活と比べて、まず練習の方法から全く違っていた
一音ずつ確かめるように出す音色、刻むリズム、曲の情景、様々な角度から演奏を見て聞いて練習していた事に驚いた
そして、私は全国へ行った時の話を聞いているうちに、それがいつしか自分達で掴み取りたいと思い始めたのだった
さっそくその情熱を学校に持って帰ったが、なかなか部員は話を聞いてくれない
何せ毎年銅賞止まりの弱小吹奏楽部なのに、そんなの無理だと初めから諦めていたからだった
ほぼ1年かけて全員が今のこの情熱になったのは、毎日私がいつもと違う練習や思いを一生懸命伝え、少しずつみんなが一緒にやろう!って思ってくれたからだ
『大丈夫!この1年やってきたもん!』
『そうだよね?練習もたくさんしたし、出来るよね!』
『こないだは銀賞だったもん!1年でこれだけ成長出来るってすごいよね?後少し!!』
全国大会への切符を手にするべく、コンクール会場で最後のミーティングと調整をする
自分たちの出番の前に先生がみんなを集めた
『みんな大丈夫!金賞取れるよ♪今までやってきた事を全力で出そう!!』
『『『はいっ!!』』』
『そうだそうだ、これみんなに・・・』
そう言って、先生はパート毎に分かれている私達一人ずつに可愛らしいお揃いの『ゆめリボン』を渡し始めた
フルートは水色
クラリネットは、少しくすんだ青
オーボエは、コバルトブルー
サックスは、緑
ホルンは、赤
トランペットは、黄色
トロンボーンは、オレンジ
ユーフォーは、鴇色
チューバは、紅色
コントラバスは、茶色
パーカッションは、ラベンダー
『これはね、夢を一緒に叶えていこうねっていうストーリーがある、ゆめリボンていうリボンなの!この間、先生見つけてきてみんなの分買ってきちゃった♪』
何色もあるリボンも、これだけお揃いでみんなで付けていたら気持ちも高ぶってくる
『吹奏楽ってみんなで1つの目標に向かって行くじゃない?個人プレーじゃなくて、団体戦。誰かが泣いている時は、助け合って、誰かが笑っている時は、みんなで笑い合う。いつでも気持ちは1つだよ!大丈夫!ここまでやってきた!全く出来なかった私達が銀賞まで取れたんだよ?今年は金賞♪全力出して良い時も悪い時も、今のこの瞬間を大切に後悔ないようやりきろう!!!!!いくぞーーーーー!!!!!』
『『『おぉぉぉぉぉおおおお』』』
『ゆめリボン』をポケットに入れてギュっと楽器を握りしめる
目の前には眩しく輝く光の渦
『さぁ!!いっといで!!』
熱く眩しく光り輝くステージが、私達を手招いている
終
最後まで読んで下さり、ありがとうございます
色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです
また明日、6時にお会いしましょう♪