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僕の私の創る世界  作者: 十六夜 あやめ
間奏曲《アントラクト》
6/17

~記憶の中で~






 薄暗い部屋の中。

 リオンの机の上に足を伸ばしながら座っているレウ。正面の窓から見える月の光に照らされ、静かな夜空を見上げている。

 リオンは一定のリズムを刻みながら寝息を立てて眠っている。


「今日はリオンにとって長い1日になったようだな。無理もないか……転校初日だったからな。それにしても、今宵は綺麗な星月だな――」


 流れる星を眺め、ゆっくりと目を閉じた。






 ========================================





 深い。深い。



 ――ここは……水の中か?



 でも、冷たくないし暗くもない。

 しかし、自身の姿を捉えることはできない。

 さまざまな意思が形をもたないで浮遊している――そのような場所。



「無謀ね」



 あの日の彼女の言葉がこの空間に響いた。



「無謀でも構わない」


 ――あのとき、ほんとうにそう思ったんだ。だから、即答できたんだ。


 綺麗な夕陽の空も

 星月の瞬く夜空も

 たとえ小さな物でも、


 強い想いがなければ創れない。



 ――けれど、僕らは必ず創れる――そんな気がしたんだ。


 あれからずいぶんと時間が過ぎてしまった。

 いま彼女はどうしているだろうか――


 それよりも、彼女は創り出せたのだろうか……。

 それとも、叶わなかったのか……。


 僕自身は未だ創り出せずにいるが……だけど、なぜだろう。

 きっと彼女は創り出せた気がする。

 そして、僕も創り出せる気がする。



「絶対に魅てよね――」




 あぁ、もちろんさ。 





 ========================================






 レウは閉じていた目を開いた。

 空に浮かんでいた月はいつも間にか姿を消していた。月明かりを失った部屋の中は真っ暗になっている。

 

「ふっ、意思の強さか――」


 寝息しか聞こえない部屋にレウの声が小さく響いた。レウは立ち上がり、リオンが作った専用のベッドに横になった。目を閉じてリオンと同じリズムの呼吸を刻む。




 そうして――夜は更けていった。













 

 




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