ぶっ生き返す
レビュー執筆日:2021/1/19
●大きく好みが分かれそうなハードな音楽性でありながらも、徹底的にキャッチーさを追求した一枚。
【収録曲】
1.ぶっ生き返す!!
2.絶望ビリー
3.糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィー
4.ルイジアナ・ボブ
5.ポリスマンベンツ
6.ブラック¥パワーGメンスパイ
7.アカギ
8.恐喝~kyokatsu~
9.ビキニ・スポーツ・ポンチン
10.What's up, people?!
11.チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ
12.シミ
13.恋のメガラバ
今から10年以上前の話になりますが、当時ヒットしていた今作を聴いてかなりの衝撃を受けた記憶があります。日本語中心でありながら英語的な語感をまとった独特な歌詞、目まぐるしく入れ替わる3種類のボーカル、ハードでありながらもどこかコミカルなところもある世界観、ブックレットに記載されているソングライター・マキシマムザ亮君のやけに熱い曲解説……等と様々な「濃い」要素が詰め込まれており、「こんな音楽があるのか」と驚いた経験は今でも忘れられません。
また、これは当時気付かなかったことなのですが、彼らの楽曲はとにかく「キャッチー」なんですよね。それも、「サビが覚えやすい」とかそういうレベルの話ではなく、ボーカル・ダイスケはんの甲高いデスボイスだったり、「WHAT'S UP 不安材いっぱい」(What's up, people?!)や「ビーチ ユーロ 消えろ! ケチ遊泳」(恋のメガラバ)のようにメロディと歌詞が上手く結び付いたフレーズだったり、『ポリスマンベンツ』の終盤や『ビキニ・スポーツ・ポンチン』のサビのように急に曲調が変わる展開だったりと、徹底的に耳に残る要素で埋め尽くされており、リスナーに退屈する隙を与えてくれません。
個人的にその要素を最も強く感じられたのは11曲目に収録されている『チューチュー ラブリー(長いので以下略)』。女性ボーカル・ナヲがメインボーカルを担当する明るいパンク調で始まったかと思いきや、そこから「マキシマムザ亮君のシャウトを強調させたパート」→「ダイスケはんのデスボイスを強調させたハードなパート」→「再びナヲのボーカルが出てくるポップなパート」→「ベーシスト・上ちゃんのスラップ奏法が炸裂するパート」等と移り変わっていき、そういった複雑な展開を違和感無く見せる手腕には目を見張るものがあります。
このバンドでしか作り得ない強烈な「個性」を「キャッチーさ」に見事に結び付けた傑作。大きく好みが分かれそうなハードな音楽性でありながら数十万枚のヒットを飛ばしたのも頷けるアルバムになっていると思います。
評価:★★★★★