最終回
私はノアと両想いになれたことが本当に嬉しかった。
あのタキシード仮面様ですら私のためにやっていたのだと思うとかわいくて仕方なかった。
そして私たちは遊びのように毎晩仮面をつけておしゃべりをした。
「ところでミアって本当にどんな子だったの?」
毎日好きな仮面を選んだが黄色い仮面を見て思い出した。
ノアの好きな子だと思っていた女の子だ。
「え、ミア…?
…恋愛に興味津々の元気な子、かな。」
ノアは水色の仮面をつけている。
「…その仮面は誰がくれたの?」
「メイ、だったと思う。」
また女の子の名前だ。
「友達ってほとんど女の子だったの?」
「ううん。半々だよ。
向こうだとあんまり男女の垣根がなくて…。」
留学を思い出したのかノアがちょっと楽しそうだ。
「ふーん。」
私は自分で聞いておいてなんだか面白くないなと思った。
「…怒ってる?」
「…ちょっとだけ。」
私はちょっとノアをいじめたいという気持ちになった。
立ち上がって椅子に座るノアの前に立つ。
「…ニーナ?」
そのままノアにゆっくり長いキスをした。
離れた時には上を向かされたノアの黄色い瞳がキラキラしていた。
下を向いた私の髪がノアの肩に当たる。
「もう他の女の子と仲良くしないで。」
ノアが一瞬キュッと唇を噛んだ。
「…もう絶対しない。」
私は満足して触れるだけのキスをした。
「ニーナ…」
私が身体を離そうとするとノアが立ち上がった。
突然のことに驚く。
そのまま私の肩をゆっくり押して後ろのベッドに押し倒した。
ドサっという音とともにノアの髪がさらさら揺れるのが見えた。
ノアは優しく私にキスをした。
目元は仮面で隠れているが口元はにやりと笑っている。
「ふふ」
ノアの金髪が月明かりで輝いている。
「ニーナも他の男と仲良くしないでね。」
ちょっとだけ鋭い視線がいつもと違ってドキドキした。
「…も、もちろん。」
ノアが私の顔にかかった髪をよけるように頬に触れた。
「愛人も作らないで。」
ノアが男の人に見えてとんでもなく緊張した。
私は頷きながらもどこを見ていいか分からず目が泳ぐ。
それを抑えるようにノアが私の顔を両手で包んだ。
「僕も男なんだから簡単に煽らないで。」
ドキッと心臓が高鳴った。
ノアは笑っていたけどもしかしたら怒っているのかもしれない。
水色の仮面の下の目が真剣だ。
私は間違えてしまったと思っていた。
「ご、ごめ…」
「それとも、いいの?」
ノアが熱っぽい声で呟いた。
私は限界だった。
頭が沸騰しそうに熱かった。
「無理無理無理無理」
両手で顔を隠してバタバタと小さく足を暴れさせた。
手の甲に柔らかい感触がありノアがキスをしていると気づく。
そのまま腕を取って押さえつけられた。
「ニーナ好きだよ。」
本当にかっこよかった。
ノアはかわいくもかっこよくもなれるのだと感動していた。
胸がぎゅうっと痛くなってたまらない気持ちになった。
気持ちが抑えられない。
そのままぐるりと回ってノアをベットに押さえつけた。
「え、」
ノアの綺麗な髪がベットにさらさらと流れ落ちる。
「私の方が好き。」
この人は私のものだ、という気持ちになった。
私が身体を傾けるとベットが沈んだ。
そのまま驚いて開いている唇にキスをした。
「ノアこそ私を煽らないで。」
ノアの水色の仮面を外す。
目元と耳が真っ赤だった。
口をパクパクとさせている。
私はただこのかわいい人が自分のものだということに喜びを感じていた。
一生守ろうと思った。
私がこの人のタキシード仮面なのだ。
仮面が私を強くしている気持ちになってまたノアにキスをした。




