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グラフィス家にて

随分と久々の投稿です。お手柔らかにお願いします。

(どうしてこうなっちゃったのかしら)


 穏やかな春の日差し。

 見事なバラ園を前に、ロロは目の前に優雅に座ってお茶を飲んでいる恋人にバレないようにそっとため息をついた。


 ロロの目の前には赤髪を短く揃えた青い瞳をした精悍な青年が座っている。

 ロロの恋人であるドラフォンはこの国の3大公爵家の一つのグラフィス家の次男である。

 グラフィス家は代々優秀な魔法使いを選出している家系である。この国では魔法が存在するが、魔力持ちはそう多くない。魔力にはランクがあり、上からSSA→SA→A→B→Cとなっている。大抵のものはA~Cのランクにいるが、そもそも魔力持ちである時点でこの国では重宝がられる。

 その中でもグラフィス家は、その家系の皆がランクA以上の魔力持ちであることで有名だ。

 特にドラフォンの両親は世界を探しても10人程度と言われている魔番まつがいである。魔番とは、ランクSSAの中でも特に強力な魔力を持った魔力持ちのペアと考えれば良い。

 ただその中で、ドラフォンには魔力がなかった。名門グラフィス家始まって以来の出来事だという。

 彼の場合、双子の妹がおり、妹は魔力持ち、またグラフィス家特有の赤髪青い瞳であったため、庶子ということも考えられなかった。


 そんな彼は幼い頃こそ魔力がないことに劣等感を覚えていたが、剣術の方面で力をつけ、12歳になると学園を去って騎士団に入団してしまった。

 その中でも更に頭角を示し、来週行われる王家主催の剣術大会で好成績を抑えることができれば、史上最年少15歳という若さで近衛騎士団に召し上げられるのではないかと言われていた。


 ドラフォンが学園にいたころは毎日一緒にいたものの、騎士団に入ってからは会う機会が激減してしまった。特に最近は剣術大会の練習のため忙しく、会うのは実に3週間ぶりである。


 (いつからこうなってしまったのかしら)


 目の前の凛々しい恋人との会話が弾まず、ロロは苦い気持ちで冷めた紅茶に口をつけるのであった。

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