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転送術士候補生III  作者: よのもり せいう
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その5 挨拶(Part. H)

「あっ!フィオリちゃんっ!ハーヴィー先生知らない?」


先生達を追いかけようと、その足で向かったのは、園芸部の部室。

勝手に私までいなくなっては悪いので、顧問に挨拶をして行こうと思ったのだ。

部室を覗けばそこには、水撒きの準備をする同級生がいた。

今日の当番はフィオリちゃんだったのね。


彼女は魔術と剣術を学び、貴婦人の警護に当たる女性騎士を目指している子。

入学初日に貧血で倒れそうになった私を支えてくれたのが縁で、仲良くなった。

あれもポケット先生の失踪を聞かされてのことだったな…;


「多分農園に出ているはずよ。」「ありがとうっ―!」


お礼を言うなり駆けだせば、野菜の様子を見て回る小さな背中を見つけた。

ローブから鞄まで、植物由来の装備をいつも全身にまとっているので、大きな苔玉みたいな恰好をしている。


そんな先生に声を掛ければ、ふむ、と唸ってこっちに振り向く。


「先生、私、ディアス先生を探しに行って来ます―!」


それからしばらく、これまでに聞き知った事情を話す。

嘘ではない証拠に研究室の残像をもう一度起動して一緒に見ようと提案すると、先生はそれを確かめるまでもなく信用してくれた。


「ポケットを追って、ディアス先生が…」


ハーヴィー先生の顔つきは、神妙そのもの。

ポケット先生を呼び捨てにするあたり、二人は仲が良かったのかもしれない。

畑の真ん中で、しばらくハーヴィー先生は思案すると、うん、と深く頷いて、


「図書館に行ってみようかね。」


ついておいでと言うや否や、先生は転がるようにすごい速さで歩きだす。

図書館に何か手がかりがあるのかな…?


とりあえず一生懸命小走りでついていった。




その5 終

ひとこと事項


・フィオリ

金髪碧眼の凛々しい女生徒。礼儀を重んじる性格で、ハーミアとは部活動も同じあることから、仲の良い友人となった。


・ハーヴィー・クレッソン

スコラ・リンデの薬草術科の教師。様々な効能の薬草を自在に操る薬草術と、樹木を操る地属性の魔術を有する。ポケットとはソリが合うようで、昔から公私にわたって親睦を深めてきた。これまでに数冊の植物図鑑を出版し、学園では園芸部の顧問を務めている。

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