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転送術士候補生III  作者: よのもり せいう
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その1 戻る(Part. H)


ある放課後のこと。

ライ君を抱いた私は、夕飯の買い出しに、いつもの商店街を歩いていた。


「ライ君、何か食べたいものある~?」


道行く人たちの賑わいの方向を見定めながら、ちょっときょろきょろ。

どうやら、お肉屋さんが繁盛しているようだ。

今日はハンバーグでも作っちゃおうか。


「挽肉買って何か作る…?」


「…あれ、ライ君?」


返事がないので、抱いたわんこの様子を確認する。

ちゃんと起きているし、ハナをひくつかせて、お肉の匂いもかぎつけている様子。

もしかして、寝ぼけてる?


「ワンッ!」「え…?」「ワンワンッ(’’ω’’)!!」


おいしそうな匂いに、急に鳴き出して暴れるライ君。もう完全にただのイヌウサギである。

いきなり身をよじるので、思わず手を離してしまうと、ナイス着地。

それから私を見上げて、しっぽを振り振り、くるくる回る。


「ねえ、ライ君…どうしたの?」「ワンワンッ!」


澄んだ目をキラキラさせて、お腹が空いたアピールをする彼は可愛かった。

でも、そこにいたのは、本当に本当に、ただのイヌウサギ。

まるで“中身”がなくなっちゃったみたい…。


いきなり喋らなくなってしまったライ君に、ふと怖い予感がよぎる。

飛びつく愛犬を抱く手に、震えが走った。




その1 終

ひとこと事項


・ハーミア

転送術士になるために魔術学校スコラ・リンデに通う学生。王都に下宿しつつ、夕方は転送術士協会で働き、仕事を覚えている。


挿絵(By みてみん)


・ライト

あだ名はライ君。ハーミアの師であるディアスが彼女に護衛役として与えた使い魔のイヌウサギ。いくつかの魔術を行使できる。言葉を介し、軽口を叩きながらも面倒見よく見る姿は、飼い主の下宿生活の心の支えにもなっていた。


・5番商店街

リンデ通りから一本入ったところにある商店街。野菜、魚、肉、果物、パン等、5番街に暮らす人々の生活に必要な食糧を扱った店が多い。スコラ・リンデからハーミアの下宿先の間に位置しており、彼女はよくここで買い物をしていた。

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