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2つの世界の物語 ~魔力の化け物と呼ばれた少女の物語~  作者: 星あんず
第3章 とまどいの一歩(後編)
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26 ラケムの報告

「我の右にいる者はこの国の宰相のクリフト、左は総大将軍のザクテル、それから右の者はラケム、左はリーシャ、2人はジャイロの友人……だ」


 友人? そのくくりは何だろう? 王様の家臣っていうことなのかな・・・

 でも、宰相と総大将軍って、国を支えて守っている人たちだよね……? すごいところに来てしまったと思う。

 私が考えごとをしていると・・・・・・


「かあさん・・・・・・!! なんで?・・・・・・いや……違う」


 レイスさんがラケムさんを見て、目を丸くして驚いている。なんだか様子がおかしい。

 ラケムさんって、確かに女性っぽい感じの人だけど、ジャイロさんと同じ年くらいの男の人だし、きれいなストレートの金髪だから、どうみてもスーおばさんになんか見えない。


「「レイス(さん)!?」」


 私とジャイロさんが同時に声をかける。他の人たちは怪訝な顔をしてレイスさんを見ている。


「あっ……すみません。かあさんに、いや、とっても似てる人に視えてしまって……

 あぁぁあ!! しまった!! 

 言っちゃダメだったんだよね? マルルカ!!」


 レイスさんは慌てて口を押さえたけど、しっかりみんなに聞こえてる。――もう遅い……たぶん。

 この面子でごまかせるはずがない。

 私もなんて言ったらいいかわからず、レイスさんに目を瞑って軽く首を振るくらいしかできなかった。



「レイス君、かあさんってどういう意味かな? ラケムは君の母上、プーレフェミナに似ているということか? そしてそれは言ってはいけないことだったと?」


 王様の隣りに座っている、この中では一番年を取っている感じのグレーヘアの宰相のクリフトさんがレイスさんに問いただす。口調は柔らかいけど、レイスさんを見る目は鋭くて、とても嘘をつきとおすことを許さない雰囲気だ。



「いえ……その・・・・・・あの・・・・・・」


「レイス君、プーレフェミナ、君の母上は、もしかしたら君と同じくこげ茶色の髪に紫水晶のような瞳をしているんじゃないのかなぁ?

 僕はなんとなくそんな感じがしたんだけどね。 間違ってたらごめんね」


 すっかり怯えたように口ごもってしまったレイスさんに、ラケムさんがのんびりとした口調で問いかけてくる。レイスさんを見る眼差しは柔らかくて、とても男の人の眼差しには思えない。


「いえ・・・・・・そんなことないです。

 かあさんの髪の色は僕と同じですけど、茶色の瞳です…… 紫水晶のような瞳なんかじゃなかったです。

 俺が今、視ている人は――おんなじ紫水晶の目だ!! 」


 レイスさんはラケムさんのやさしい口調と微笑みにすっかりと安心したようで、戸惑う様子もなく答えている。

 完全に隠すのをあきらめたか、それとも無意識なのか・・・・・・

 

 他の人たちは、レイスさんの言葉に一層困惑の色を濃くしていた。そんな中、ラケムさんだけは、変わらない温かな眼差しでレイスさんを見てくれている。


「ふむ、そうなのか…… 王様、私が先に報告をしたほうがよさそうですね。レイス君も一緒に僕の話を聞いてくれるかい?」


 ラケムさんは気安い感じで皆に言うと、レイスさんの失言がなかったように、全員の注目を自分に集めていた。レイスさんは、ラケムさんが自分を助けてくれたと思ったのか、すっかり心を許してしまったのか、大きくうなずいてみせた。

 でも、これってすっかりラケムさんの手玉に取られちゃったっていう?――ジャイロさんと違った意味でラケムさんもコワイ人だ。


 ラケムさんは、王様とここにいる人たちに向かってタミネアであったことを話始めた。




 ジャイロがレイスを探していた頃、プーレフェミナの子を探しているタミネア王国の真意を探るために、クローネ王の名代(みょうだい)として、ラケムはタミネアへと出立していた。


 ラケムはタミネア王国の王、トガバル・タミネアに謁見したのだが、そこにセフィスの巫女と名乗るアメリアという女性が同席していた。

 セフィスの巫女アメリアはセフィス様と同じ神の力を宿し、その力である遠見(とおみ)により、プーレフェミナ・スザンナの子レイスとメイを知ったのだと言う。そしてセフィスの巫女とプーレフェミナが姉妹であり、セフィス様の子孫なのだと……

 プーレフェミナ・スザンナの本来いるべき場所は、タミネアの他なく、その子であるレイスとメイもまた、タミネアの地にいるべき存在。それこそが、この世界の安寧を約束することにつながるのだと、セフィスの巫女アメリアはラケムに伝えた。


「セフィス様の降臨されたこの国タミネアこそが、この世界を統治する。そしてその責務がタミネアにある。

 御使い様がクローネに降臨し、スザンナ様をセフィス様の下へ導いた。つまり、セフィス様が降臨された地タミネアへと導いたということだよ――この事実がすべてを物語っているではないか!

  我がタミネアがそれを証明する機会を御使い様は与えてくださったのだ!」


 タミネア王がアメリアの言葉に付け加えるようにして、言ったのだ。




「セフィスの巫女だと? 神の力……? そんなものが本当にあるのか?」

「タミネアめ! 何をたわけたことを!!」

「タミネアに目にもの見せてくれようぞ!」


 宰相のクリフトとクローネ王、総大将軍ザクテルが苦々しい様子でつぶやく。


「そしてレイス君、そのセフィスの巫女アメリア様が、君と同じ色のこげ茶色の髪と紫水晶のような瞳をしていたんだよ。

 そして、君は僕にその姿を見たんだよね?」




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