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21 取り調べ ※

※ 残酷な描写があります。苦手な方はご注意ください。

 薬草畑の手入れをして、おうちを片付けてから、メイちゃんと一緒にブリドニクに戻ることにした。

 余ったパンでサンドイッチを作った。もしかしたら、ごはんを食べる時間がないかもしれないし、スーおばさんがちゃんと食べていないかもしれない。

 スーおばさんが心配。ひどい目にあってないといいけど・・・・・・




 いつもはおしゃべりなメイちゃんなのに、ブリドニクに戻る間は、口数も少なく前をじっと向いてひたすらに足を進めていた。


 ブリドニクに着いた頃には、お昼を大きく過ぎていた。日が伸びてきているけど、今日中におうちに帰ることはできないなと思う。

 スーおばさんのところに行く前に、メイちゃんの家に寄ることにした。着替えとかスーおばさんに必要と思われるものを、メイちゃんが準備する間、メイちゃんの家のリビングでオルト兄ぃと待つことにした。




****************************************





 街役場の半地下にある尋問室、小さな明かり取りの窓から陽の光が入ってくる。風はまったく入ってこず、狭い部屋の中はムッとしていて空気はよどんでいた。


 そこに黒いローブを着た審問官が3人と教会の神父、そして弱り切ったスザンナがいた。審問官2人は尋問室の扉の前に立ち、入り口をしっかりと守っている。



「さぁ、スザンナ、すべて何もかも、神の御名の前に正直に答えるのです。これらの道具はあなたのものですね?」


「ちがいます。エリザ様が持ってきたものです。亡くなった者の魂を呼び出せる、デイビッドと会えるからと・・・・・・」


「スザンナ! あなたはエリザ様を陥れる気ですか!? そんな見え透いた嘘が、神に仕えし私たちに通用すると思いますか?」


 一人の審問官がスザンナに問いかける、スザンナが答える、それを聞いた神父が怒る・・・・・・



 スザンナの前には、テーブルをはさんで審問官が一人と神父が座っている。テーブルの上には薄茶色の羊皮紙が1枚、そこには何やら記号のような文字のようなものが円形に描かれていて、真ん中にデイビッドの名前が書いてある。


「これは悪魔からしか手に入れられぬもの。人であるエリザ様から手に入れられるわけがない。それに、眠れる死者の魂を起こす呪文がかかれているこれが、お前の家からでてきているのだぞ?」


「ですから、エリザ様がやってきて置いていったのです。私はお返ししようとしたのです。

 エリザ様が、『考えてみて……』と。みんなもっているし、いらなかったのなら後で返してくれればいいと……」


「ずっと嘘を通す気ですか! どこまでもエリザ様に罪を着せようとするのですね! 

 私は、夜、教会の墓地で、あなたがデイビッドの墓の前にいたのを見たと言っているのに。

 ここまで強情では話になりません。

 しかたがありません。体に聞くことにしましょう。本当のことを白状させてあげます!」


 目の前にいる一番偉そうな審問官――コラモ・バンクスが 声を低く響かせてスザンナに詰め寄った。



 昨日から何度、同じことを繰り返してきたことだろう。

 スザンナは疲れていた。何を言っても「嘘」と言われる。


「真実は力のある者によって作られる」

 本当にその通りだと思った。弱者は決められた筋書きに乗せられ、踊らされ、ありもしない罪を着せられる。



「強情な女だ。悪魔との契約の印を探すこととしよう。服をはぎ、手足を縛れ」


 それまで静かな声で話していた審問官――コラモは、残忍な笑みを浮かべながら、入り口のところに控えていた二人の審問官に声をかけた。二人の審問官は表情を変えずに、スザンナの両脇に立ち椅子から強引に立たせると、そのうちの一人が両手を後ろ手に縛りあげて、もう一人は両足を縛っていく。

 神父はこの場にとどまるべきか、どうしようか一瞬躊躇したものの、逃げるように部屋の片隅にいき、じっと様子を見ていた。



「いやぁぁあー!! やめてー!!」


 スザンナの懇願する絶叫を気にすることもなく、手足を縛った男たちは持っていたナイフでスザンナの着ている服を切り裂いていく。

 スザンナは恥ずかしさのあまり、身をかがめることしかできない。



「審問官様、悪魔の契約の印が見つかりました」

 男の一人が、スザンナの右肩にあるほくろを指さす。


「ほほう……確かにこれは悪魔の契約の印によく似ている。その真偽を確かめるとしよう」


 コラモの言葉に、控えの審問官の一人が細かい棘が編み込まれた鞭をコラモの手に渡した。



「これはな、セフィス様の慈愛が編み込まれている神器でね、セフィス様の愛を受け取り信じている者は決して傷つけないんだよ。だが、悪魔に魅入られている者や悪魔と契約している魔女は皮膚が裂け、血がにじむ」


 審問官は嬉しそうに鞭を愛でるように抱きかかえて、うずくまっているスザンナの耳元に声をかけた。


「お願いです。おやめください。私は本当にセフィス様の信者です! 教会の神父様もよくごぞんじです」


「はい、スザンナさんは、毎週のように娘を連れて教会に祈りを捧げにいらしてました」


 スザンナの悲痛な叫びに、教会の神父が部屋の片隅から審問官に口を添えた。

 神父は、この場にいたくなかった。とんでもないことになってしまった……

 上位の神職者には決して逆らえないが、これではあんまりだ……


「ほう? 娘もいると・・・・・・? 娘にも悪魔の契約を結ばせている可能性もありますねぇ。

 後で確認することにしましょう」


 審問官の痛めつけることへの喜びを隠しきれない声に、神父はしまった! っとばかりに口を覆った。


「やめてぇ! 娘だけは、メイだけには・・・・・・」


 スザンナが顔を上げ審問官に懇願したが、審問官は嬉しそうに残忍な笑顔を向けているだけだった。




「これより、神の御名の下、審問を始めます。セフィス様のご加護を」


 審問官はスザンナに鞭を打った。


「あぁぁあああー!!!!!」


 スザンナはうずくまる体をますます小さくして、絶叫する。叫び声が小さな部屋いっぱいに響く。

 スザンナの皮膚が裂けて肉を切る程に、深く赤い線がスザンナの体に刻まれ、血がにじむ。


「おぉぉぉ! 悪魔と契約した魔女めぇ!!」


 上気した顔で興奮した様子を隠さない審問官は、さらに強く鞭を打つ。


「ヒャヒャヒャ  魔女めぇー! こうしてくれるわ! 神の愛を受ける光栄に身もだえよ!」

 

 審問官は、スザンナの返り血を浴びるたびに、ますます興奮し、歪な笑みを浮かべながら、取り憑かれたように激しく鞭打つ。


 小さな部屋の中は、鞭を振るう音とスザンナの苦痛の叫び声しか聞こえない。そのうち鞭を振るう音だけが聞こえ、そして静寂が訪れた。


 皮膚は裂け、肉がちぎれるほど体中傷だらけになったスザンナは、血だまりの中、気を失っていた。


「やはり神のご加護はありませんでしたねぇ。

 神の御名の下、この女スザンヌを魔女と認定します。

 明日までに傷が癒えていなければ、完全に魔女と認定し、明日の夕方魔女裁判を行い、悪魔の断罪を執り行います。神父よ、教会に記録を残しなさい」


 小部屋の中の暑苦しい程の肌にまとわりついていた空気は、一瞬で神父を凍らせてしまいそうなほど、冷え冷えとした重い空気へと変わった。



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