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なろう的異世界のゲマインシャフト

作者: 夢野ベル子

基本的に少子高齢化の社会というのは、子どもが少ない社会なわけで、つまりは結婚しない人が多い社会なわけだから、現代の日本は結婚しない人が多いわけで、今後もこの傾向はおそらく続くだろうと考えられます。


だいたい30%くらいは結婚せず、子どももなさずに死んでいくわけです。

そんな社会が近々到来する予定です。


そして、そのような結婚せず子どももいない人が親を亡くしたとき、親族が周りにおらず、地域社会ともつながりがない人がどんどん増えていくことになります。


この無縁社会においては、縁もまたひとつの希少価値なのだろうと考えます。


家族がいる親族がいるというのは最高の財産であるし、子どもを育てることができるのは最高のエンターテインメント。


縁があるというのが上流家庭であり勝ち組であり。

縁がないというのが下流過程であり負け組である。


というそんな思想です。


人間は生物的本能として、誰かとセックスしたかったり、子どもを持ちたいと考えています。

違うそうじゃないっていう変わり種の人もいるでしょうが、大多数はそう考えています。

なので上記のような考え方は、わりと強固な欲望ということになるでしょう。


では、なろう的異世界においても、縁というものは求められているのでしょうか。


求められているだろうと考えられます。


この縁という概念で結びついた集団を共同体というのですが、社会学的には家族的な共同体『ゲマインシャフト』と、利益的な共同体『ゲゼルシャフト』の二種にわかれるそうです。


我々の社会は家族的な共同体が壊れ、利益的な共同体にシフトを置いています。例えば株式会社などの営利法人はお金という利益を追求する組織ですからゲゼルシャフトといえるでしょう。


なろう小説における共同体は、例えばオーバーロードや転スラのような共同体においては、敵に勝つという意味ではゲゼルシャフト的な側面もあるのでしょうが、メインとしてはゲマインシャフトとしての在り方が強いと思います。


つまり、家族として、仲間としての縁や忠誠心といったものが強調されます。したがって、共同体の首長を務めるものは、家長的な立場をとるでしょう。


会社や領主経営ものにおいても同様に、ゲゼルシャフトとしての側面は鳴りをひそめ、もっぱら主人公や部下たちの生来的な優秀さによって利益はカンタンに確保されてしまう。


原理としては不遇に付されていた部下がゲマインシャフト的な共同体に参画することで、主人公側が利益を得て、縁も得るという感じです。


よって、たとえ部下が失敗したとしても、主人公は寛大ですし、そもそも部下は優秀なのであまり失敗しないという方向性になるでしょう。


ハーレムものについてはどうでしょうか。これも基本的にはゲマインシャフトを構成する要素に他ならないんのではと考えられます。


つまり、ハーレムとはいっても、家族的な共同体ですし、特に性的な関係は持ち出さなくても読者の欲望は達成されるのです。


なぜ、ハーレムなのか。つまり美少女ばっかりなのかというと、まあこのあたりは性的な欲望があることは否定できませんが、あくまでベースになっているのは縁であると考えます。性的関係は結婚し、家族を形成するということにつながりやすいですし、これもわかりやすい縁の結び方ですしね。


追放系や婚約破棄もですね。なんといえばいいかゲゼルシャフト的な利益を追求するだけの相手方から逃れて、最終的にはゲマインシャフト的な家族的きずなを獲得するというのが骨子としてあるんじゃないかと思います。ざまぁもするから、そこでの爽快感もあるんでしょうけど、かわいい相方を得て、自分は勝ち組になるんだという考えが基礎にあるような感じ。


現実世界で家族がおらず、幻想の世界で家族を求めるというのが、なろう小説が読まれる理由かもです。

さみしいです。

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