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小品

ことわりつむぎ

作者: 星野☆明美

私が生まれたとき、「この子はことわりつむぎの素質がある」と言われたそうだ。

いまいち自覚がないまま高校生になっちゃった。

けれど、今日、古典の時間に口語をすらすら読んでいたら、居眠りしていた生徒がうわっ!と叫んで飛び起きた。

「なんだなんだ?」

その生徒が言うには、古典の物語の世界観がリアルに目前に迫ってきたんだそうで、みんな、なんのこっちゃ?と首をひねっていた。

あー、次、外で体育だーかったるい。

「風よ吹け!雨よ降れ!」

なんの気なしに唱えると空が途端にかき曇った。

ぽつ、ぽつ、ザアー。

「今日の体育、体育館で男子と合同だって」

え?ほんと?嬉しい。大好きな高橋くんが間近で見れる。


「ちょっと待て。外山莉子」

誰かが私を呼び止めた。

「あんたの言魂が世界を変える」

「?なんのこっちゃ」

「理不尽な予言をなかったことにして、世紀末を乗り越え、幾多の困難をくぐり抜けてはるか未来を目指せ!」

はいはい。わかったからさよなら。私、忙しいの。

無視してすたすた歩み去る。なんか、あの手の人、多いんだ。

その後の人生で大恐慌をなかったことにしたり、パンデミックを収束させたりいろいろあるんだけど、今の私は、「高橋くん(はあと)」で胸がいっぱいだった。


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