プラム・シャサ
とりあえず書き始めたので、話が纏まってないです。
ボチボチ書いていきます。
プラム・シャサは大きくため息を吐いた。
「困ったな~」
鬱な声で呟いた。
目の前にある、封筒に入れられた紙の束。
表題には魔導学院、入学案内と記されていた。
プラムは後悔しながら手にある石を見下ろした。
「これのせいだよね」
定期検査をしたその日、プラムは死んだ母からいつも身につけておくよう言われていた石を忘れたまま(それ以外にも間々あるが)受けてしまい今回に至った。
●
そして話は遡る。一日前に・・・
「あなたがプラムさんね」
パン屋での仕事終わり、自分を呼ぶ声に振り返ると、そこには金髪の軍服を纏った女性が立っていた。
「はい、そうです・・・が・・・あの」
プラムは戸惑いながら頷いた。
「警戒させてごめんなさい。私はジュリア・トークス。共和国軍、、第15魔導大体所属の大尉。同時に魔導学院の教官を務めているわ」
「軍人さんが、一体・・・」
戸惑うプラムの様子を伺いながら、ジュリアは一枚の紙をプラムに手渡す。
それは、先週行われた健康診断の結果を記していた。
「えっと・・・」
要領を得ないプラムに、ジュリアは一番下の特記事項を指さす。
魔導抵抗率 0.001
魔力量 S+
「簡易検査ではあるけど、測定限界を振り切ったのは貴方が初めてよ」
「魔力の検査?だってあれはただの・・・」
「ええ。ただ同時に魔導適格者を見つける為のものでもあるのよ。反発もあるから伏せてるけどね。だからこそ貴方もあまり口外しないでね。私たちと表だって対立するのはあまり得策ではないわよ」
二十歳までの毎年、義務付けられている健康診断。
そう、ただの健康診断だと思って油断をしていた。
(あの時、私は石をつけてなかった・・・なんで私ってこんな間抜けなの)
自らの迂闊さを呪いながらも、なんとかこの場を乗り切る為には――
(誤魔化す!!)
「何かの間違いでは?私に魔力なんて・・・」
「そうね、彼方に会うまではそれも考えていたわ。なにしろ、さっきも言ったけど前例がないからね」
ジュリアはそう言うとプラムの胸に手を当てた。
「な、何ですか」
プラムは驚き顔を赤くした。
「これでしょ、これで誤魔化していたんでしょ」
ジュリアの手のある所の服の下には首に掛けた石が丁度あった。プラムは観念した。
「ばれちゃいました…そうです。この石で力を抑制してました」
バツ悪く俯くプラム。
「私たち魔導師から見れば貴方は不自然なのよ。不自然な程に魔力を感じない」
ジュリはすまして言う。
「でも私今まで魔術なんて使った事無いし、これがあれば今まで通りに…」
プラムは石をジュリアに見せた。
「魔力というのはね暴走する危険を秘めてるの。だからこそ、魔導適正者は学院で制御する術を学ぶ必要がある。大きな力を持っていたらなおさらね」
ジュリは困った顔をした。建前ではあるが本当の事ではある。
「そうですよね」
それはプラムも知っていた。抜きんでた素質の持ち主は一定期間の教育が義務づけられていた。
暴走の危険があるから、魔力を持つ者は学院でその術を学ぶ必要がある。
現役の軍人であるジュリアが教官を務める時点でその狙いは瞭然でもあるが・・・
「わかり…ました」
プラムはしょぼくれた声で承諾した。
頭に過るのは母の言葉だった。
『貴方には大きな力がある。だけどね、それはこの先大きな火種になり燃え上がり、何もかにもを灰に変えてしまう。プラム、貴方は優しい子・・・だからこそ貴方はすべてを求めてしまう。私はね・・・貴方にそんな道を歩んでほしくないの・・・』